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野田 尚史 氏 書籍『「は」と「が」』(くろしお出版 刊)より

このページは、書籍『「は」と「が」』(野田 尚史 著、くろしお出版 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・「は」は主題を表す(中略)

(5) 子供たち は カレーを作っています。
(6) カレー は 子供たちが作っています。


(5)が使われるのは、聞き手が子供たちについて知りたがっているような状況で、話し手が「子供たちは何をしているのか」あるいは「子供たちは何を作っているのか」ということを知らせようとするときである。


一方、(6)が使われるのは、聞き手がカレーについて知りたがっているいうな状況で、話し手が「カレーはどうしたのか」あるいは「カレーは誰が作っているのか」ということおを知らせようとするときである。


これをまとめると、「は」は、聞き手にとって関心がありそうな名詞の後について、その名詞がその文の「主題」であることを示す働きをするのだと、とりあえず、いうことができる。(中略)


このようにみてくると、「は」は、格を表す「が」や「を」などとは違い、文の主題を表す助詞だということがわかる。


・「が」は主題でないことを表す(中略)

(4) 八木 は ホームランを打った。(中略)
(5) 八木 が ホームランを打った。(中略)


(4)の「八木は」はこの文の主題になっているのにたいして、(5)の「八木が」がこの文の主題になっていない点では、対立している。


・「は」と「が」の使い分けの原理(中略)

5つの原理(中略)

1)新情報と旧情報の原理------新情報は「が」、旧情報には「は」
2)現象文と判断文の原理------現象文は「が」、判断文には「は」
3)文と節の原理------文末までかかるときは「は」、節の中は「が」
4)対比と排他の原理------対比のときは「は」、排他のときは「が」
5)措定と指定の原理------措定には「は」、指定には「が」


・新情報と旧情報の原理(中略)

大野晋(1978:3)や北原保雄(1981:第七章)は、「既知」と「未知」という用語を使って、「は」と「が」の使いわけを説明しようとしている。


・「象の鼻」を主題にするのか、「象」だけを主題にするのかという問題である。「象の鼻」を主題にすれば、その次の(34)のような(中略)構文になり、「鼻」を主題にすれば、その次の(35)のような、「象は鼻が長い」構文になる。


(33) 象の鼻が長い(こと)
(34) 象の鼻は長い
(35) 象は鼻が長い。


●書籍『「は」と「が」』より
野田 尚史 著
くろしお出版 (1996年11月初版)
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