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越川 禮子 氏 書籍『商人道「江戸しぐさ」の知恵袋』(講談社 刊)より

このページは、書籍『商人道「江戸しぐさ」の知恵袋』(越川 禮子 著、講談社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・下町の人口密度が現在の数倍もあった江戸の町で、人々(大半は商人)がどうしたら気持ちよく生活できるか、将軍家御用達の大手商人をはじめ、町衆(町人のリーダーのような立場の人)たちは知恵を絞り、いろいろなノウハウをつくり上げた。「江戸しぐさ」はノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)の精神から生まれたといってよい。


・「江戸しぐさ」は互助、共生の精神から生まれた。この世に生きている人間は、みんな仏さまやご先祖さまに見守られながら生きている。だから、お互いに教え合い、助け合って、顔を赤らめたりしないですむように、楽しく、明るく、いたわりあって暮らしていこうというセンスだ。


・忙しいという字は、(中略)りっしんべん(忄)に亡くすと書く。江戸では(中略)心を失った人は木偶の坊(でくのぼう)(中略)として、人間扱いにしなかった。だから「忙しそうですね」といわれると、顔を青くして怒った。江戸っ子に「忙しい」は禁句だった。
(中略)


そんなときは「ご多用のところ・・・・・・」と問いかけ、答えるほうは「雑用に追われています」「今がかきいれどきでございまして」といって、忙しいという言葉は避けた。


・江戸では初めて会った人に「初めまして」という挨拶はしなかった。それは、われわれのご先祖さまたちは、大昔から大の仲良しで、前世から親しかったから「初めまして」といった他人行儀な言葉づかいは、ご先祖さまに申しわけないという心情のあらわれ。(中略)町衆たちは「先祖がお世話になりまして」という言い方をした。


・現代っ子は顔を小さくて足が長い一〇頭身を喜ぶが、江戸商人の理想的な体形は福助、いわゆる六頭身ぐらいだった。(中略)手が長いというの表現は、手ぐせが悪い人に通じると考えていて、いわれたほうはばかにされたと思い、喧嘩になったとか、ならなかったとか。


・子どもが転んだときなど、江戸っ子は「見て見ぬふり」がうまかった。すぐに起こしたら自立の芽を摘んでしまうことになる。ようすを見て、けがをしていないようなら、自分の力で立ち上げるまで放っておく。


・画家で蘭学者の渡辺崋山(中略)が残した『商人八訓』を記しておこう。

一、まず朝は召し使いよりも早く起きよ
一、十両の客より百文の客を大切にせよ
一、買い手が気に入らず返しにきたならば、売るときよりもていねいにせよ
一、繁盛するに従ってますます倹約せよ
一、小遣いは一文より記せ
一、開店のときを忘れるな
一、同商売が近所にできたのなら懇意を厚くし、互いをつとめよ
一、出店を開いたら三年は食糧を送れ


・うだつとは、建物の両側に卯の字形に張り出した小屋根つきの袖壁のこと。俗に、うだつが上がらないというのは、防災対策のひとつも施せない人間という意味で、社会性のない一人前でないことをさす。


・「人間みんな違って当たり前じゃないか」と江戸っ子は悟っていた。そのうえで、相手の言い分や立場に十分に配慮する人と人とのつき合い、いわば共生、共存するためのモラルやノウハウを、町衆はつくり上げていった。


・見てわかることはいわない

一、江戸商人は「見てわかることはいうべからず」(中略)

「おやせになったようですね」(中略)とはいわない。そういえるのは稚児だけだった。やせている、太っているは、牛馬の査定語で、人間につかう言葉ではなかった。


●書籍『商人道「江戸しぐさ」の知恵袋』より
越川 禮子 (こしかわ・れいこ) 著
講談社 (2001年9月初版)
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