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宮崎 駿 氏 書籍『本へのとびら~岩波少年文庫を語る』(岩波書店 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『本へのとびら~岩波少年文庫を語る』(宮崎 駿 著、岩波書店 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・良いおはなしにはどれほど人をしわあせにする力があるか


・ケストナーは『飛ぶ教室』を入れました。(中略)この作品には、吉野源三郎さんの『君たちはどう生きるか』と同じようなものを感じました。


・石井桃子さんという人は、子どもの本にとって、なんて言うか尊敬せざるを得ない、別格カンペイタイシャ(官幣大社)の人ですね。石井桃子さんが訳した、といったらもう読まざるを得ない。石井さんが翻訳したことで生き残っている本はずいぶんあるんです。


・別格ということでは、中川李枝子さんもそうです。なかでも一番衝撃を受けたのは『いやいやえん』です。


・不信と依存は同時にあるものですけど、依存を認めなければ、子どもの世界を理解したことにはならないんです。子どもが成長して自立していくのがいちばん尊い、なんていうのは、それは違う。人生修行をして、あるところまでいったらもう立派に大人になったねって線を引いていくような、ドイツの教養とは違うんです。


子どもというのはそうでない。子どもは賢くもなるけど、何度もばかをやる。繰り返しばかをやる権利を子どもは持っている。幼児の世界はとくにそうですよね。


そういう世界を何のてらいもなしに、ポンと投げ出すように書いたのが『いやいやえん』なんですよ。そして中川さんに「そういうことを書いてみたら」って言ったのが石井桃子さんだ、というのはすごい話です。石井さんは中川さんのお師匠さんにあたる人です。


・アニメーションの原作

楽しむために読んだというよりも、とにかく何かを仕入れるために怒涛の如くっていう、ばかげた読み方をしたものですから、ほんとの読書と言えるかどうかよく分からないところがあります。(中略)


何だか自分のなかに抽斗(ひきだし)があるぞって思いました。いつ読んだのかは自分でも覚えていないんですけど。


・「借りぐらしのアリエッティ」の原作、『床下の小人たち』も、読んだのは二二、三歳のときです。(中略)ずっと企画をあたためいたというわけではないんですよ。冷めていたわけだから、長年放り出して(笑)。映画の企画というのは、いい本だなあと思うけど、今これをつくってはいけない、っていうことはしょっちゅうです。


・サブカルチャーというのはさらにサブカルチャーを生むんです。そして二次的なものを生むときに、二分の一になり、さらに四分の一、八分の一になり、と、どんどん薄まっていく。それが今です。そう思います。


・僕は豆本(注・小冊子「岩波少年文庫の50冊」)の文章を、基本的に、一人の読者を想定して書いたんです。ある小学生の友人です。彼がもし読んだら、彼に伝わるように書こうと思って書きました。


・いろんな漫画も見ましたけど、杉浦茂のナンセンスさはただごとではない。毒があるものではない、きわめて善良なナンセンスさなんです。これはやっぱり、日本の児童漫画史のなかの白眉です。


・ほんとうを言うと、本はいっぱい要らない、五〇冊じゃなくて一冊あればいいとも思っているんです。たとえばすごいハードカバーの重い本でね、世界のことは全部書いてあるという、そういう本ができないものだろうか、ということを夢見ていますね。それは聖書じゃないか、と言う人がいるでしょうが、それではなくてもっと楽しめる本を夢見ています。


・子どもを木に登らせるというのは、ほんとうにおそろしいことです。はじめのうちは用心深く登ったり下ったりしていますけど、だんだん大胆になっていく。すると落っこちる。じっさいにやってみると大変です。それでもたき火をやらせてあげなきゃいけない。


・どこか気になった本を見つけて、その世界のなかにほんとうに入り込むくらいまで読んでみると、日本語しか見ていないのに、「この翻訳はおかしい」と指摘できるようになったりします。


・今、映画は過剰になりすぎているのです。色彩、効果音、セリフ、音楽、どれもがひしめいていて、前から脇から後ろからと音がうずまき、とび出したり、振動したりしています。(中略)この減らしていく方向に自信を持ちました。


・石井桃子さんたちは、敗戦後の困難を乗り越えようとして、少年文庫をつくった。「児童文学はやり直しがきく話である」ということです。(中略)何かうまくないことが起こっても、それを超えてもう一度やり直しがきくんだよ、と。たとえいま貧窮に苦しんでいても、君の努力で目の前がひらける、君を助けてくれる人間があらわれるよ、と、子どもたちにそういうことを伝えようと書かれたものが多かったと思うんです。


●書籍『本へのとびら~岩波少年文庫を語る』より
宮崎 駿 著
岩波書店 (2011年10月初版)
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