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永田 宏 氏 書籍『実はすごい町医者の見つけ方~病院ランキングでは分からない』(講談社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『実はすごい町医者の見つけ方~病院ランキングでは分からない』(永田 宏 著、講談社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・日本には、約17万7000もの医療機関がひしめている。全国のコンビニを全部集めても4万5000店舗くらいにしかならないのだから、いかに多いかが容易に想像できるはずだ。


・逆にみれば、大学病院などでは40〜50代のベテラン医師は少なく、大半が20〜30代の若手だということだ。(中略)


高度な検査や手術にはエース級の医師が当たるが、それ以外は経験不足の医師が担当しているのである。そのため、重大な病気やけがには確かに強いのだが、ありふれた病気がけがに関しては強くない。強くないだけならまだしも、危ない。重大な医療ミスや事故は、大学病院の方が多いのである。


・問題は、ほかにもいくつかある。たとえば、「病院に行きたいけれど、何科を受けたらいいか分からない」というものだ。(中略)


つまり「診療科目→病名・臓器名」はだいたい分かるのだが、「病名・臓器名→診療科目」のほうはダメなのである。こういう人が意外と多い。糖尿病は? リウマチは? 痛風は? というように病名から診療科目を決めようとするとだんだん怪しくなってくる。ちょっと難病の甲状腺などになると、ほとんどの人がお手上げだ。


・病院と診療所の違い(中略)

病院……入院病床が20床以上のもの
診療所……入院病床が19床以下のもの(中略)

要するにベット数によって、「病院」か「診療所」かが分けられているだけである。(中略)


○○診療所
○○医院
○○クリニック

などとなっているものは、すべて「診療所」だと思っておけばいい。

○○病院
○○ホスピタル

というようになっていれば、「病院」と思って間違いない。


・日常的な病気や症状・臓器と診療科目

病名・臓器名       診療科目

糖尿病       内科
高血圧       内科、循環器科、脳神経外科、心療内科
低血圧       内科、循環器科
脂質異常症     内科、循環器科、脳神経外科
動脈硬化      内科、循環器科、脳神経外科
貧血        内科、循環器科
リウマチ      リウマチ科、整形外科、内科
痛風        内科、リウマチ科、整形外科
肝臓・肝機能障害  内科、消化器科
膵臓・膵炎     内科、消化器科
胆嚢・胆石     内科、消化器科
腎臓・腎炎     内科、泌尿器科
甲状腺機能障害   内科
花粉症       耳鼻咽喉科、内科、眼科、アレルギー科
アトピー性皮膚炎  皮膚科、小児科、アレルギー科
喘息        内科、呼吸器科
脳卒中のリハビリ  リハビリテーション科、整形外科、脳神経外科
動悸・息切れ・不整脈   内科、循環器科
血便        消化器科
血尿        泌尿器科
頭痛        神経科、脳神経外科、神経内科
めまい       耳鼻咽喉科、脳神経外科、神経科
のぼせ       内科、婦人科(女性の場合のみ)
むくみ       内科、循環器科、泌尿器科
咳が続く      内科、呼吸器科
微熱が続く     内科
不眠症       心療内科、精神科、神経科。神経内科
精神不安      心療内科、精神科、神経科。神経内科
摂食障害      心療内科、精神科、神経科。神経内科


・読者のなかには、「診療科目に迷ったら、大病院の総合診療科を受診しなさい」と新聞や雑誌で見かけた方も多いと思う。(中略)


経験豊富なジェネラリストの医師がおり、個々の患者に適した専門科目を決めてくれる。その“ジェネラリストの医師“というのが、やはり内科医である。行き先がわからない患者を、内科医が診察して交通整理していると思えばいい。


・国の政策によって、大病院は紹介患者を優先するようになってきている。診療所や中小病院から紹介された患者を優先的に治療し、専門的治療が終わればもとの診療所や中小病院に戻すというふうに、役割が分けられているのである。


・子どもはもともと風邪、喘息、下痢、アトピー性皮膚炎などが多い。そのため普通の小児科医であれば、これらの病気をすべて扱うことができる。しかし、喘息やアトピーなどはアレルギー性疾患なので、「小児科・アレルギー科」という組み合わせがベストになる。


40代、50代になると、生活習慣病が気になってくる。高血圧、脂質異常症、糖尿病、痛風などである。これらは普通の内科で十分だが、少し気になる方は、「内科・循環器科」という組み合わせを選ぼう。また胃炎、胃腸炎、十二指腸潰瘍などになったら、「内科・消化器科」が基本である。ストレス性の体調不良やうつ病などは、心療内科を中心とした組み合わせが有効だ。「心療内科、内科、消化器科」とか、「診療内科、神経科」などである。


・がんが心配な人はこれらの組み合わせのところを探せばいい。具体的には、「外科・消化器科」なら胃がんや大腸がん、肝臓がんなどの検診にもってこいである。「外科・呼吸器科」という組み合わせなら肺がんや食道がん、乳がんなどがバッチリだ。肺と乳腺は場所が近いから、呼吸器外科出身の医師ならどちらも診られるのである。また、「外科・産婦人科」であれば子宮がんや卵巣がん、「外科・泌尿器科」なら腎臓・膀胱・前立腺がんといった具合だ。


・女性の医師が急増しており、とりわけ30歳では32パーセントになる。3人に1人の女性である。だから、30歳そこそこの女医さんが泌尿器科をやっていても、いまでは少しも驚くには値しない。患者としてもそういう認識を持っておく必要がある。


・太っている医師はたいてい、そうした生活習慣病に対しても寛大だ。患者に対してあまり無理な注文は言わないし、それどころか「まだまだ大丈夫ですよ」が口癖だったりする場合もある。そのため人気があって、患者から慕われている医師も多い。


・一戸建てで開業している場合は、親の代からそこで開業している確率が高い。とりわけ首都圏など大都市の住宅地では、その確率がさらに高くなる。(中略)


まして大都市の市街地に土地を買って家を建て、その一部を診療所として使うとなると1億円を超えるお金がかかってしまう。(中略)


つまり、一戸建ての診療所は名実ともに地域密着型の診療所ということがいえる。


・「医師の専門科目」は割といい加減(中略)

実はこの外科医とか内科医というもの自体が、さほど厳密なものではないのである。少なくとも医学的に決まっているものではないし、法律的に決められている資格でもない。(中略)


さらに免許更新の際に、それまでの科目を変更していいことになっている。いままで「外科」を選んでいたけれど、今年から「内科」に変更する、というようなことが許されている。


・医師の職歴を見れば、だいたいのことは分かる。たとえば、長年にわたって病院の内科で勤務してきたとすれば、内科医であることをに間違いはない。ずっと眼科で仕事をしてきたなら、眼科医であることに疑問の余地はない。


・専門医を探すには学会のホームページ(中略)

学会は専門医名簿を公表しなければならないと言う決まりになっているからである。そのため、名簿ホームページに載せているのである。


・現役世代に多い病気(外来・男性)

順位  15~29歳    30~39歳

1  虫歯         歯列矯正
2  風邪         虫歯
3  歯列矯正       歯肉炎及び歯周疾患
4  歯肉炎及び歯周疾患  風邪
5  脱臼、捻挫      脱臼、捻挫
6  切り傷・擦り傷・打撲    総合失調症
7  風邪         切り傷・擦り傷・打撲
8  予防接種       気分障害
9  近視・乱視      歯の補てつ
10  アレルギー性鼻炎  椎間板障害
11  アトピー性皮膚炎  予防接種
12  歯の補てつ     喘息
13  自治体などの保健所サービス    アトピー性皮膚炎
14  総合失調症     神経症性障害
15  喘息        脂質異常症
16  四肢の骨折     高血圧
17  神経症性障害    アレルギー性鼻炎
18  気分障害      四肢の骨折
19  ニキビ       近視・乱視
20  下痢及び胃腸炎   慢性腎不全
21  椎間板障害     湿疹
22  ヘルペス等     自治体などの保健所サービス
23  その他の皮膚病   インスリン非依存性糖尿病
24  皮膚及び皮下組織の感染症    腰痛症及び坐骨神経痛
25  てんかん      ヘルペス等
26  精神及び行動の障害    てんかん
27  挫滅損傷及び外傷性切断  脊椎障害
28  四肢以外の骨折      頚腕症候群
29  急性副鼻腔炎       下痢及び胃腸炎
30  結膜炎          慢性副鼻腔炎


順位  40~49歳       50~59歳

1  歯の支持組織の障害     高血圧
2  歯肉炎・歯周疾患      歯肉炎・歯周疾患
3  虫歯            支持組織の障害
4  歯の補てつ         歯の補てつ
5  高血圧           虫歯
6  椎間板障害         慢性腎不全
7  総合失調症型障害及び妄想性障害      インスリン非依存性糖尿病
8  脱臼、捻挫         脊椎障害
9  気分障害          椎間板障害
10  脂質異常症        総合失調症
11  慢性腎不全        脂質異常症
12  切り傷・擦り傷・打撲   脱臼、捻挫
13  風邪           気分障害
14  インスリン非依存性糖尿病      インスリン依存性糖尿病
15  脊椎障害         切り傷・擦り傷・打撲
16  神経症性障害       関節症
17  予防接種         湿疹
18  喘息           四肢の骨折
19  四肢の骨折        肩の障害
20  インスリン依存性糖尿病      胃潰瘍
21  アレルギー性鼻炎     胃炎及び十二指腸炎
22  湿疹           神経症性障害
23  睡眠障害         脳梗塞
24  胃炎及び十二指腸炎    風邪
25  内分泌、栄養及び代謝疾患      腰痛症及び坐骨神経痛
26  腰痛症及び坐骨神経痛   軟部組織障害
27  痛風           喘息
28  肩の障害         睡眠障害
29  胃潰瘍          緑内障
30  アトピー性皮膚炎     アレルギー性鼻炎

平成23年 患者調査(厚生労働省)をもとに著者作成(一部受診理由含む)


●書籍『実はすごい町医者の見つけ方~病院ランキングでは分からない』より
永田 宏 (著)
出版社: 講談社 (2013年2月初版)
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