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樋口 満 氏 書籍『女は筋肉 男は脂肪』(集英社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『女は筋肉 男は脂肪』(樋口 満 著、集英社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・女性のほうが長生きする理由(中略)

男性のほうが女性より危険な行動に走りやすい(中略)
健康に対する意識が高い


・体力とは(中略)

①全身持久力(全身持久性体力)
②筋力
③バランス能力(平衡性体力)
④柔軟性(柔軟性体力)
⑤その他(敏しょう性体力など)
の5つで構成されると定義されています。(中略)

体力にはもう1つ、「防衛体力(fitness for protection)」があり、体の機能を正常に保つための病気やストレスへの抵抗力、環境への適応力といった意味がありますが、客観的・定量的に測定するのがむずかしいため、体力といえば行動体力を指すのが一般的です。


・筋肉には、体を動かす「骨格筋」、心臓の壁をつくる「心筋」、血管や内臓諸器官の壁をつくる「内臓筋」の3種類があります。


・筋力の低下は上半身より下半身が著しい


・「動けなくなってしまう」(中略)ベッドからまったく降りないで暮らす「ベッドレスト」という実験の結果、動かないことで筋量が著しく減少するのは、やはり下半身の筋肉でした。特に、ふくろはぎにあたる下腿三頭筋の減少率が大きく、抗重力筋が日々の暮らしでどれほど機能しているか、身体不活動の影響がどれほど大きいかをあらためて示しています。

この実験による筋力の低下の度合いに、男女差がみられませんでした。


・内臓脂肪が悪さをする(中略)

内臓脂肪がたまることによって、脂肪組織でつくられる「アディポサイトカイン(adipocytokine)」と呼ばれる物質が分泌調節不全をきたし、血液中の悪玉物質が増加し、血液中の善玉物質の濃度を低下させて、生活習慣病のリスクを高めてしまいます。


・骨は常に生まれかわっている(中略)

いつも骨吸収と骨形成のバランスは保たれ、機能的に連係(カップリング)しています。しかし、加齢や、女性の場合は閉経、栄養、遺伝的・環境的要因などによってバランスが崩れ、骨吸収が骨形成を上回るカップリング障害の状態が続くと、骨量は減少し、骨密度は低下してしまいます。さらには、骨の素材(材質特性)と、その素材をもとにつくられる構造特性(微細構造)によって決まる骨質にも悪影響が出ます。


・骨粗鬆症を予防するには、閉経期に骨量の減少をおさえることが重要です。エストロゲンの減少を補うには、エストロゲンに似た働きをする大豆イソフラボンの効果が注目されています


・実は、全身の筋量を反映している握力と全死因死亡率の間には密接な関係があり、握力が5kg低下するごとに死亡率が16%増えてしまいます。また、55歳未満での筋力と早期死亡率との関係では、筋力が高いと心血管疾患による早期死亡率が20~35%低下することも明らかになっています。


・今、気にすべきは女性は「筋肉」をつける・男性は「脂肪」を減らすこと


・基礎代謝量は、生まれてから体重の増加とともに増え、思春期に入ると急増します。個人差はありますが、男子では16歳、女子では14歳でピークを迎え、その後加齢とともに少しずつ減っていきます。


・基礎代謝量を増やすには、どうしたらいいのでしょうか。(中略)

特に、おしりの大臀筋、太ももの大腿四頭筋やハムストリングス、ふくろはぎの下腿三頭筋(ヒラメ筋や腓腹筋〈ひふくきん〉)といった比較的大きな筋肉の量を増やすことが効率的です。


・比較的男性に多い「内臓脂肪型(りんご型)肥満」は、筋肉の内側の腹腔内に体脂肪が多く蓄積しているのが特徴です。日本人の死因の約6割を占める生活習慣病の発症リスクを高めますが、皮下脂肪型肥満の人には生活習慣病の症状はあまり見られません。


・メタボリックシンドロームによる内臓脂肪の蓄積は、不都合な悪玉物質の分泌を増やすだけでなく、善玉物質の分泌を減らしてしまうアディポサイトカインの分泌異常を引き起こし、直接的に動脈硬化の進行を促進して、生活習慣病の発症リスクを高めてしまうのです。内臓脂肪を軽く見てはいけません。


・筋肉を増やす運動・内臓脂肪を減らす運動(中略)

最強のトレーニングは「ローイング(ボート漕ぎ)」(中略)

ローイングは、欧米ではシニアの健康増進運動として長年注目されてきましたが、その健康効果についてほとんどエビデンスがなかったために、私たちの研究グループは十数年前から検証を行ってきました。


・自宅でもできるチューブを使ったローイングエクササイズ
(1セット:①~④の動作を1分に20回くり返し、5分間続ける) × 1日2セット

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※画像は、同書130ページより


・ローリングは、筋トレ的な要素によって筋量を増やし筋力を向上させるだけでなく、有酸素運動的な要素によって、体脂肪の減少、心肺体力の向上、肥満・動脈硬化・心筋梗塞・糖尿病といった生活習慣病の予防にもつながる可能性を持ったエクササイズです。

また、座って行うので、ひざに大きな負担がかかりません。そのため、ひざに痛みなどを抱えているシニアの女性にとっても無理なくできます。


・特にアスリートに近い高強度の筋トレを続けていると、動脈硬化につながりやすいことが示されています


・筋トレと有酸素運動を組み合わせたトレーニングでは、こうしたマイナスの影響は認められていませんので、ぜひおすすめします。前途のローイングも、同じ効果があることが報告されています。


・閉経期になるとその分泌は激減して骨密度が急激に低下するために、男性に比べて骨粗鬆症の発症リスクを約3倍にまで高めてしまいます。(中略)

そこで注目されるのが、閉経によるエストロゲンの減少を補うために、エストロゲンに似た働きをする大豆イソフラボン(大豆胚芽に多く含まれるフラボノイドの一種)を摂取することです。


・大豆イソフラボンを多く含む食品

食品名 平均含有量(mg/100グラム)

きな粉  266.2
揚げ大豆  200.7
大豆  140.4
凍り豆腐  88.5
納豆  73.5
煮大豆  72.1
味噌  49.7
油揚げ類  39.2
豆乳  24.8
豆腐  20.3

厚生労働省「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」をもとに作成


・葉酸は、その名のとおり葉野菜に豊富に含まれています。可食部100gあたりの含有量は、多いほうから、枝豆、あさつき、アスパラガス、ブロッコリー、ホウレンソウ、オクラ、シュンギクといった順です(すべて茹でた場合)。


・葉酸を多く含む食品

動物性食品   含有量(ug/100グラム)

鶏レバー  1300
牛レバー  1000
豚レバー  810
うなぎ(きも)  380
うに  360
フォアグラ  220
イクラ  100
ホタテ貝  87
カキ  39

※フォアグラ(茹で)以外は生の場合


植物性食品   含有量(ug/100グラム)

枝豆  260
あさつき  200
アスパラガス  180
ブロッコリー  120
ホウレンソウ  110
オクラ  110
シュンギク 100
アボガド  84
モロヘイヤ  67

※アボガド以外は茹でた場合

『日本食品標準成分表22015年版(七訂)』(文部科学省)をもとに作成


・「なにを食べるか」だけでなく「いつ食べるか」も考える


・夕食後すぐに寝てしまう人は、血液中のエネルギー源が消費されにくく、それが肝臓で回収されて中性脂肪に再合成され、内臓脂肪や皮下脂肪として蓄えられてしまうのです。


・ヒトの体内時計の周期は、1日24時間ではなく少し長くなっています。それをピッタリ24時間に合わせるために、毎朝リセットしなければなりません。そのために必要なのが、光と食事による刺激です。

主時計は、朝の光を受けて「朝が来た」と認識することで主時計より遅れて、新たな1日のために動き出します。


・ヒトの場合、体内時計のリセットは朝にしか行われないため、朝目覚めたら必ず寝室のカーテンを開けて朝の光を浴び、朝食はけっして抜かないようにするのがいかに大事か分かるでしょう。


・健康づくりという視点からは、女性こそ筋肉に注目し、ジュニア世代からしっかり筋肉づくりをし、ミドル以降サルペニア、そしてロコモティブシンドロームに備えること、男性はとにかく、ミドル世代では体脂肪量を減らし、メタボリックシンドロームの予防に努めることが大切である


●書籍『女は筋肉 男は脂肪』より
樋口 満 (著)
出版社: 集英社 (2020年1月初版)
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