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植田 康夫 氏より(書籍「新 現場からみた出版学」より)

このページは、書籍「新 現場からみた出版学(植田 康夫 著)」から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・1994年10月に天野勝文・松岡由綺雄・村上孝止氏らの共著で『現場からみたマスコミ学』が学文社から刊行された。


・コミックを掲載した雑誌をコミック誌とよび、コミック誌に連載されたコミックの単行本をコミックスとよぶが、このうちコミック誌は2002年まで7年連続のマイナス成長となり、コミックスは3年連続で3%前後の伸びを示している。


・一口に学術情報の伝達といっても、それらは機能、学問、媒体、採算の4つの要素からなり、実に多様な108個の組合せを考えることができるという。


・学術出版社は、大きくわけて4つに分類される。ひとつ目は、大学専門教育の中心と結びつくことの多い大学出版部、2つ目は、大手商業出版社の専門・学術出版の部署、3つ目は、広範囲の分野にたずさわる私企業としての中堅専門出版社、4つ目は、実質的には自分たちの役に立つための、他の出版社が手を出さない分野の出版をする、いわゆる“隙間出版”としての専門職集団、学術団体である。


・学術書ではよく売れても、5,000部以上はめずらしい。


・学術書のほとんどは、読者がその本が重要で、自分の仕事に役立つだろうと信じるところから読まれる。つまり学術書の販売には、まず潜在的読者にその本の存在を知らせなければならない。潜在的読者は固まっているわけはなく、点在しているので、その宣伝方法が問われる。


・学会をリードする知名度の高い学者に推薦文を依頼しなければならない。


・学術出版社の財政収支の例

収入

 既刊本販売  50.0%
 新刊本販売  26.4%
 紀要受託   15.4%
 学園関係    5.8%
 助成金ほか   2.4%

支出

 制作費     43.9%
 一般管理費  27.9%
 販売費     11.3%
 宣伝費     9.9%
 編集費      4.2%
 総務費      2.8%


・コミック出版の実態

大いなる誤解

マンガがもっぱら子ども向けのものだった時代は、日本ではとうの昔に終わっている。大人を対象にした、いわゆる青年コミック誌は、1980年代以降、急速な成長を遂げ、1989年には少年コミック誌を発行部数で上回った、つまり、日本で発行されているコミック誌の半分以上は、大人向けのものなのである。


・主に講談社、小学館、集英社の3社を取り上げてきた、実は、この3社による寡占化(かせんか)がいちじるしいのがコミック市場の特徴である。コミック誌で100万部を越えるもの、コミックスで初版100万部を越えるものは、ほとんどがこの3社で占められている。コミック市場における3社のシェアは60~70%、これに白泉社、秋田書店を加えると70~80%に達するといわれる。

薄利多売の商品で、しかも人気作家はほとんど大手が押さえしまっているという事情などから、コミック誌市場に新規の出版社が参集するのはむずかしい。

ヒットが出ると大きな利益が見込めるため、マガジンハウス、文藝春秋など、多くの出版社がこれまでコミック誌に挑戦したが、ほとんどが失敗だった。


・名誉毀損をめぐる議論で、メディア側は国民の知る権威、取材、報道の自由、記事内容の真実性を主張して対抗するが、司法の場では敗訴率が高くなっている。


・ある調査によれば2002年9月現在で全世界での(※インターネットの)利用者数は約6億560万人と推定されており、内訳ではカナダとアメリカで1億8,267万人、ヨーロッパで1億9,091万人、アジア太平洋地域で1億8,724万人、中南米で3,335万人などと伝えられている。


・流通可能な書籍は、約65万点もある。


・取次会社の歴史は、1880年代に源をみることができるが1890年代に博文館直系の東京堂が創業した。


・多様化する直販ルート

政府刊行物  大蔵省印刷局発行分(4ルート)、外郭団体と出版社分(7ルート)

新聞販売店ルート  朝日、毎日、読売新聞の販売店ルート、書籍については金額は小さいが、ベストセラーなどはこのルートで流れる。また、週刊誌を宅配しており、この金額も少なくない。

専門店リート  ①楽器店、②書道具店、③手芸店、④染色材料店、⑤カメラ店、⑥パソコンショップ、⑦スポーツ店、⑧旅行関係用品店、⑨自然食品、⑩園芸店


・『読者のための出版流通-出版流通白書-再販制度の弾力運用レポート』


・政府(総務庁)は日本標準産業分類によって各種の産業の区分けを決めているが、出版は大分類Fの製造業に属し、中分類ではF-25の出版・印刷・同関連産業に仕分けられている。だが、はたしてこの分類は妥当だろうか。


・編集プロダクションのはじまり

編集プロダクションの歴史は、1950年代にさかのぼる。1958年積極的な売上拡大を目論んだ河出書房が、戦前、美術出版社を経営し、そのノウハウをもっていた座右宝刊行会と手を組んで、美術全集を発行したのははじまりである。当初は下請というよりも、パートナー形式で、大手出版社にノウハウを提供するという対等の色彩が濃厚だった。


・出版者は謙虚で誠実でなければならない。社会の進歩のために役立つ人間になる心構えを忘れてはならない。


・出版史を動かすこととなったブームの原点は、改造社の『現代日本文学全集』全37巻(のち63巻に増巻)だった。1926年、改造社は突如、菊版(縦22センチ、横15センチ)平均600ページ前後の6号総ルビ活字3段組の本1冊を、1円という廉価で売り出し、たちまち、予約会員25万人を獲得、他社は桁外れの予約申し込みを知って、同工異曲(どうこういきょく)の円本全集企画に殺到したのである。


・「顰蹙は金を出しても買え」「薄氷はできるだけ薄くして踏め」「どんな小さな約束でも、約束は必ず守れ」という自らに課した3つの誓いを実践する。(※幻冬舎、見城徹氏)

             
●書籍「新 現場からみた出版学」より
植田 康夫 著
学文社 (2004年4月初版)
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