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賀川 洋 氏(書籍『出版再生』より)

このページは、書籍『出版再生(賀川 洋 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・LMPとは、リタラリー・マーケット・プレイス(Literary Market Place)というタイトルの省略で、これはいわば出版業界の電話帳にあたる。


・ベストセラー単行本の原価(小売価格25ドル、印税15%の場合)


               【金額】     【率】
収入

 小売価格       25.00ドル   100.0%
 粗利         13.00ドル   52.0%

コスト

 人件費        1.30ドル    5.0%
 営業・カスタマーサビス費用  2.00ドル   8.0%
 マーケティング・広告費   2.00ドル   8.0%
 製造費用       1.50ドル   6.0%
 印税         3.80ドル   15.0%
 運送料        0.80ドル   3.0%

 経費合計       24.30ドル  97.0

 純利益        0.80ドル  3.0%

販売部数が多量なので、印税も一五パーセントとなっているが、通常の印税はここまで高くない。


・ホールセラーとディスリビュータの違いは、日本人にはわかりにくい。単純にいえば、ホールセラーとは問屋、あるいは取次と訳し、ディストリビュータは総合出版営業代行会社と訳せばよい。


・オンライン書店も新たなチャネルにすぎない


・出版ビジネスにとっての最大のリスクは、過剰在庫を抱えてしまうことだろう。アメリカではここで紹介したように、あらゆるチャンスとルートを総動員して、そのリスクを軽減することが可能であり、制度自体が極めて柔軟性に富んでいる。


・アメリカの図書館数

公共図書館  8,967
学術図書館  3,408
学校図書館  98,169

専門図書館  9,993
軍事図書館  341
政府図書館  1,411

合計     122,289


・他産業より低いアメリカの出版給与水準


・「アメリカの出版界には返品がない」という誤解があるが、アメリカにもちゃんと返品制度はあり、大手書店やホールセラーには、返品専門の倉庫やコンピューターを導入したシステムがある。


・九九年にパブリッシャーズ・ウィークリーが行った調査によれば、大手出版社、書店チェーンの経営者の収入は次の通りだ。

出版社の年収(パブリッシャーズ・ウィークリーより)単位=USドル

                【小出版社】  【中堅出版社】  【大手出版社】

編集長             75,223     99,226     103,066
編集者             45,000     42,833     41,320
校閲関係者等専門職     40,000     36,000     47,000
アシスタントクラス       24,283     28,933     28,150
営業部長            65,150     96,553     94,443
カスターサービス部門の責任者 43,000   72,750     113,669


・私は、よく日本の出版界は二種類の人々を忘れていると強調する。それは、著者と読者である。


・著者こそ最も強力な営業員


・出版社と著者とが対等に渡り合い、切磋琢磨して書籍を販売してゆくシステムは、今日本の出版界に最も求められていることであろう。というのも、著者こそは最も強力な営業員たり得るからに他ならないからだ。


・アメリカでは著者に対して、印税の一部前払いの形で支払われることも多く、海外の出版社が企画を購入する場合も、契約時に三分の一、出版時に三分の一、出版後六〇日以内に残りの三分の一という風に分割して支払いが行われる。


・出版界の契約書
印税
支払条件
義務
罰則
出版形態
副次権
絶版
契約の終了


・アメリカにも再販制度がなかったわけではない。まだ出版産業の規模が小さかったことには、規制をすることによって、小売店の無益な競争を防ごうとしたこともあったのだ。


・世界一〇〇カ国以上から出版社など七〇〇〇社がブースを並べ、書籍の権利や販売権を売買する。「フランクフルト・ブックフェア」は、名実ともに世界最大の出版イベントなのだ。


・出版社の意識改革が問われる東京国際ブックフェア


・日本ではフェアを見本市というように、人々は書籍を展示しPRする場所として捉えているのではないだろうか。ビジネスの場ではなく、単に書籍を展示する場として参加しているような気がしてならない。これは単なる見本市で、商談は専門家が別の場所で対応するものという考え方がその根底に根強くある。


・ディストリビュータの最大手は、カリフォルニアにあるパブリッシャーズ・グループ・ウエストである。


・ディストリビュータは、自社で営業活動を展開する余裕がないような中小出版社に対して、書店に向けた営業を代行する。


・印刷会社から刷り出しが届いた段階で、そのコピーを簡易製本して有力媒体の書評担当者に送るのもPR活動の一つならば、著者のテレビ出演をあらかじめ計画したり、あるいは特定の地域で人気のある独立系書店や大手チェーン書店の有力店などで、読書愛好家を集め朗読会や講演会、そしてサイン会を企画したりといった、様々な活動も事前に計画される。


・「カタログをみること無しに新刊の買い取り部数を決めることはまずありません。特に小さな出版社の場合、有意義な情報を簡潔にまとめたカタログを作り、バイヤーに発送しない限り、ミーティングをもつこと自体が難しくなています」
これは、ニューヨークを中心に全米に二五店のチェーンを展開する個性派書店リッツォーリのバイヤーの言葉である。


●書籍『出版再生~アメリカの出版ビジネスから何が見えるか』より
賀川 洋 著
文化通信社 (2001年6月初版)
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