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長田 弘 氏(書籍『読書からはじまる』より)

このページは、書籍『読書からはじまる(長田 弘 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・本を読むということは、その内容や考えを検索し、要約するというようなこととはちがいます。それは本によって、本という一つの世界のつくり方を学ぶということです。


・暮らしはゆたかになって、さまざまに進歩し、発見は相次ぎ、あらゆる面で不都合がすくなくなって、時間はスピードアップされ、不自由さにくるしめれることがなくなった。なくなったけれども、代わりにだた一つ、とんでもないものを手に入れた。それが孤絶感です。人びとが本を読まない時代に、人びとのあいだに失われるのは友人を見つける能力です。


・本を立てる。その立っている本の、こっちをむいているところが、本の背です。書店で、あるいは図書館で、わたしたちが本棚に見ているのは、ほとんどが本の背中です。本は顔を見るのではなくて、背中を見るものなのです。なぜ、いつからそれが背もしくは背中とよばれるようになったか、詳らかではありませんが、それが顔でなく、背中とよばれてきたということころにも、人間が自分の見えないもの見る方法として本というものものを必要としているため、一つの比喩としてそういうものが出てきたのではなかっただろうかと思うのです。


・一度読んだら忘れられない、一生心にのこる、一生ものだ、という褒め言葉をつかいます。こんないんちきは話はありません。人間は忘れます。誰だろうと本を片っ端から忘れてゆく。中身をぜんぶ忘れる。覚えているのはだたさっきの小川のかがやきぐらいというのが、ほんとうです。


・本は、二五〇〇年前の本を、今でも読むことができます。


・もともと聖書には章や節の番号なんかなかった。一六世紀も半ばになって、はじめて番号で書かれるのが当然になったらしいのですが、番号がひろく使われるようになってから、実際にそれがちゃんと聖書の書き込まれれるまでは、なんと一〇〇〇年以上の時間がかかったと言われています。


・ジョージ・ナカシマという世界に知られた椅子つくりのこしらえた、本を読むための椅子があります。(中略)本を読むための椅子というのは、そのじつは片側だけに肘掛けのあるラウンジ・チェアです。印象的なのは、その椅子の腰掛けの板のデザインで、左右に浅く開いた窪みはちょうど本の見開きのように見えることです。
※参考:恐らくこのラウンジアームのこと
http://online.sakurashop.co.jp/product_info.php/products_id/143/manufacturers_id/2?osCsid=6c6835e73c2a4e82076ccd834ca74c70


・「どういう本を読んだらいいのか」という質問は、じつに不要な質問なのです。(中略)大事なのは、自分で本と出会うということであり、自分で本を探すということであり、そうして自分で読むということです。


・本というのは、本を開いて読めばいい、読まないうちは本を読んだことにならないのだということではないのです。本は読まなくてもいいのです。しかし、自分にとって本を読みたくなるような生活を、自分からたくらんでゆくことが、これからは一人一人にとってたいへん重要になってくるだろうと考えるのです。


・言葉で自分をどうゆたかにできるか、ではなく、自分は言葉をどうゆたかにできるか、なのです。


・どんなにおカネをもっていても、おカネで買えないものが、言葉です。


・子どもの本になくてはならない三つのもの(中略)
一つは、「古くて歳とったもの」。(中略)
二つめは、「小さいもの」です。(中略)
三つめは、「大切なもの」です。


・大切なものは何かを問う力


・読書の鉄則は、ただ一つです。最初に良書ありき、ではありません。下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる、です。


・本というのは、自分で時間をちゃんと使わないと機能しないメディアなのです。


・言葉には、おおざっぱに言って、二つあります。一つは、他者を確かめる言葉です。挨拶の言葉。手紙の言葉。電話の言葉がいちばんの例です。(中略)
言葉には、もう一つの言葉があります。自分を確かめる言葉です。ここに自分がいると感じられる言葉、自分を確かめるための、あるいはそのための方法としての言葉です。


・経験を言葉にして、はじめてそれは言葉をもつ経験になる。(中略)逆に言えば、言葉にできない経験はのこらないのです。


・自分の先入観、自分の意思をもって、物事を見ないこと。


・情報がふえればふえるほど、逆にコミュニケーションはすくなくなってゆく。あるいは浅く、小さくなてゆく。


・引っ越しでいちばん厄介な家具は、じつは本。


・図書館はまさに「蓄える」文化そのものであり、アレキサンドリア文明の生気となったのは「蓄える」文化です。


・本を読むことが、読書なのではありません。自分の心のなかに失いたくない言葉の蓄え場所をつくりだすのが、読書です。


●書籍『読書からはじまる』より
長田 弘 著
日本放送出版協会 (2001年6月初版)
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