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小尾 俊人 氏(書籍『本が生まれるまで』より)

このページは、書籍『本が生まれるまで(小尾 俊人 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・埼玉県の情報公開への取組みの熱意はよく知られている


・本屋はいつから生まれたか?書肆という文字は揚雄(ようゆう)(前五五-後一八)の『楊子放言』吾子篇にはじめて出るが、『後漢書』巻四九の記述をみると、西暦一世紀には、中国の洛陽の市中に、本屋があったことが具体的にわかる。


・編集者にとって図書館の棚と、古本屋の棚とは、どんなちがいがあるか。より分類され、より整理された図書館の場合は、より機能的、より効率的であるといえる。これは考えがある程度まとまり、恰好がつきはじめたときに、有益この上もない。これに対し、古本屋の棚は、あるいは新本屋の平台でも同様であるが、世界の混沌のナマの表現である。その前に立つ編集者の頭脳の世界の既成のまとまりに、あるインパクトを与える。遠くから、かすかに聞こえてくるカミナリのようなもの、嵐の予告、稲妻の光がありうるのだ。それだけに面白い、しかし、足をこまめに運ばなければ、こうはいかない。


・栗田印刷は、出版物のコモノ専門の印刷所である。


・私がときどきひっぱり出して読む一冊の本に、戸田潤『読書法』(一九三八)がある。この本に「校正」という文章がある。何度、読んでも飽きないし、読むたびに笑ってしまう。彼のヒューマーの卓抜さに感心してしまう。


・不思議でもあり、面白いことでもあるが、奥付の出版社名、つまり発行所の表示がよく間違う。たとえば○○書房とあるべきものが、○○書店となったりする。


・毎年の重版書統計のトップを維持する。
※『夜と霧』


・装幀家、恩地孝四郎氏が自戒としてあげられた五ヵ条がある。

(一) 装本は何よりも内容と合致すべきだ。
(二) 何よりも質実であるべきだ。豪華や飄逸(ひょういつ)や諧謔(かいぎゃく)のうちにも、それはあるはずである。衒(てら)わざることが何よりも好ましい。
(三) 過飾を戒心すべきだ。過飾を課せられた場合は、過飾のなかに素朴を盛るの心を必要とする。
(四) (1)材料を無理な用い方をせぬこと。
   (2)工程の自然な遂行を期すること。
   (3)工人の技の程度に立つこと。
   (但しこのいずれも、殊に(3)を余り容易に承認する時は、技術の低下を来たす)
(五) 視覚の外、触覚、重覚、嗅覚、その他の感覚をも加えるべきである。時には聴覚も。
(『書窓』七号、昭和一〇.一〇)

※諧謔(かいぎゃく)とは、こっけいみのある気のきいた言葉。しゃれや冗談。ユーモア。http://kotobank.jp/より

※飄逸(ひょういつ)とは、世俗のわずらわしさを気にしないでのびのびしていること。また、そのさま。http://kotobank.jp/より


・紙は中国で発明された。発見されている最古の紙は、甘粛省の出土地名にちなんで、放馬灘紙と呼ばれている。


・出版物への読者側からの要求------。
「慰めてくれ、面白がらせてくれ、悲しませてくれ、感動させてくれ、空想させてくれ、笑わせてくれ、ぞっとさせてくれ、泣かせてくれ、考えさせてくれ


・明治の出版人の一人、福澤諭吉は、誇り高い自恃(じじ)の、独立自尊の人であるが、彼の広告論は核心をついている。(「商人に告るの文」『時事新報』明治一六・一〇・一六)いわく------

(一) 商業の目的は利益を得るにある。
(二) そのためには、正直・熟練・安価を宣伝するのが大切だ。
(三) その手段は新聞広告を使うのがもっとも効率的だ。
(四) 広告はタイムリーであるべし。しかし西洋の諺に、一年三六〇日・広告に最上の日は三六〇日あるは、「甚だ味ある言」だ。
(五) 広告文はハッキリしていなければダメ。長口上は無用。思うままに書き下ろしたあと、熟読して、無用の字句を削りに削れ。

※自恃(じじ)とは、自分自身をたのみとすること。http://kotobank.jp/より


・出版はコマに似ている。コマはまわる。支点(固定点)を失えば倒れる。支点とは本の中身だろうか?経済だろうか?


●書籍『本が生まれるまで』より
小尾 俊人 著
築地書館 (1994年8月初版)
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