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石川 幸憲 氏(書籍『キンドルの衝撃』より)

このページは、書籍『キンドルの衝撃(石川 幸憲 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・キンドルの斬新さは、3Gワイヤレス機能の搭載である。場所を問わず無線ネットワーク経由で電子書籍や新聞・雑誌をダウンロードできる仕掛けだ。ベゾスはこの機能を「キンドルが成功した秘訣の一つ」と呼ぶ。何故なら、この技術によりキンドルが「シームレス(継ぎ目のない)な端末」になるからだ。


・JPモルガンが2009年8月に発表した市場調査によると、1000万人のアメリカ人がすでにキンドルを持っているか、あるいは購買を計画しているという。


・08年から09年にかけてキンドルを買った消費者は、40歳以上(中間値は47歳)の高所得の男性が多く、圧倒的に技術信奉派だ、という調査がある。


・現在、アメリカ市場では、アマゾン以外にソニー、iRex、そしてバーンズ&ノーブルが専用末端を販売している。


・ニューヨーク・タイムズのオンライン広告収入は年間2370万ドル(推定)で、編集局の予算をカバーする程度でしかない。要するに、全予算の1割足らずという規模の収入では、ネット新聞はビジネスとして成立しないことになる。


・電子書籍の定価は一般的に10ドルだから、出版社の取り分は5ドルから7ドルという計算になる。


・ベゾスは次のように語った。「わが社ではテレビ広告は一切やっていない。テレビ広告に使う金を全て配送料無料サービス、商品の値引き、取扱商品の拡充や新しい開発に注ぎ込んでいる。自社サービスの誇示に資金を使うかわりに、サービス向上に資金を投入している。それがわが社の創業時からの哲学だ。顧客が素晴らしい経験をすれば、それは巷に広がる。口コミの威力は凄い」。


・シアトルを選んだ理由は、書籍取り次ぎ大手のイングラムが近隣に倉庫を持っていたことと、マイクロソフトの本拠地ということもありプログラマーの人材が豊富だったという2点である。


・読書はテレビやビデオのような受け身の視覚体験ではなく、著者が作り出す目に見えない世界の体験である。


・現在、全米には1400前後の新聞がひしめく。発行部数は平均4万弱


・ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、ワシントン・ポストの有力紙は、アマゾンとそれぞれ契約を結び、値段は5.99ドルから14.99ドルの間でまちまちだ。


・「タブレッドが新聞の将来だ」と発言したルバート・マードック・ニューズ・コーポレーションCEO


・新聞社の生き残り戦略には大きく分けて発行部数、地域、競争相手の有無などの条件によって変わるが、3つの選択がある。

①活字の新聞に専念し、インターネットは無視する。
②印刷版とデジタル版(ウェブサイトや電子版を含む)の併用。重点の置き方次第で、複数のモデルが可能。
③デジタル版に専念する。

発行部数の少ない過疎地のローカル新聞は、①の印刷版モデルだけで生き抜いている。だが、それは中規模以上の新聞にとっては、高リスクの選択になるであろう。

②の併用モデルでは、既存の読者と広告主をつなぎ止めながら、ネットで新規の読者・広告主をどこまで掴めるかが鍵になる。中規模以上の新聞は、すでにウェブサイトを運営しているので、比重をどこに置くのかが経営選択になるだろう。ウェブ版は見出し・速報サービスに徹して、印刷版に比重をかけるのは賢明な戦略かもしれない。(中略)

③のケースとしては、09年3月にハースト傘下の日刊紙『シアトル・ポストインテリジェンサー』がウェブ版だけのネット新聞になった。(中略)従来の新聞のサイトをモデルにしたものではなく、「シアトルのホームページ」を目指しているようだ。


・アップルは、差別なく全てのパートナーとの売り上げ分配比率を30/70(アップルが30で出版社が70)にするようだ。


・ある業界関係者によれば、「キンドル経由の新聞購者の半分は、今まで新聞を購読してない人たちで、4分の1が紙の新聞をキャンセルしてキンドルに乗りかえ、そして残りの4分の1は紙とキンドル版の両方を購読している」。つまりキンドルのお陰で新聞の購読者層が拡大しているというのだ。


●書籍『キンドルの衝撃』より
石川 幸憲 著
毎日新聞社 (2010年1月初版)
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