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清水 英夫 氏(書籍『現代出版論』より)

このページは、書籍『現代出版論(清水 英夫 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・世界のコミュニケーション状況には、かなりの落差とバラエティがある。それらを大別すると、だいたい次の五つの形態となろう。
(1)話しことばだけで依存している社会(ニューギニアの奥地など)
(2)活字メディアがやっと普及しはじめた社会(アフガニスタン、ネパールなど)
(3)活字文化の歴史をもち普及度も高いが、テレビの影響がほとんどない社会(インド、セイロンなど)
(4)活字文化はあまり普及していないが、ラジオ・テレビの影響が強い社会(タイ・フィリピンなど)
(5)すべてのメディアが高度に普及している社会(先進諸国)


・今から百五十年以上も前、フランスの社会主義者ジャンル・ルイ・ブランは「本の時代は去り、新聞の時代が始まった」と述べた。これは日刊新聞の急速な普及を目前にしていてのことだったが、出版活動は衰えるどころか、新聞の発達に呼応して伸長していった。ラジオの出現も新聞にストップをかけなかったし、世界的にみて、出版の驚異的ブームが訪れたのは、テレビの爆発的普及以後のことである。リースマンも言うとおり、「ひとつのメディアが他のメディアを駆逐するだろう、という考え方はまちがっている」のである。


・コミュニケーションの歴史をたどって明らかになることは、新しい媒体が出現しても必ず消え去るわけではない、という事実である。むしろ、新媒体に登場によって、旧媒体に新しい意味と役割が生まれる場合もまれではないのである。


・デーヴィット・リースマンは『何のための豊かさ』(加藤秀俊訳、みすず書房)という本の中で「新聞を読む人は同時にラジオをよく聴く人でもあり、また雑誌をよく読む人たちでもある」という調査結果を紹介したのち、次のように述べている。「ひとつのメディアが他のメディアを駆逐するだろう、という考え方はまちがっているのである。ある社会活動に身をゆだねているから他のことができなくなる、とうこともない。むしろ、事態は逆であった、ひとつの仕事をすれば、それが他の仕事と結び合わされてゆくものなのである。」


・鈴木均氏の「出版広告は意見広告だ」という指摘は、たしかに卓見というべきであろう。本や雑誌はそれ自体、広義での意見媒体である。


・朝日新聞の『出版広告掲載基準細目』


・イギリス=世界最大の書店(中略)
世界最大級といわれる「フォイルズ」書店も遠くない。在庫本四百万冊というこの書店はチャーリング・クロス通りにあるが、高層ビルではなく、三、四階ほどの建物が何軒にもわたっており、徐々に大きくなっていった有様を示している。


・戦前の文庫、たとえば岩波文庫は初刷三千部程度で採算がとれた、という(もちろん、重刷、ロングセラーを計算に入れてのことであるが)。ところが、現代の文庫は初刷三万部が最低必要だ、とされている。


●書籍『現代出版論』より
清水 英夫 著
理想出版社 (1980年2月初版)
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