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百々 由紀男 氏(書籍『芥川直木賞のとり方』より)

このページは、書籍『芥川直木賞のとり方(百々 由紀男 著)』から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・講演のギャラ

受賞前10万円の講演料が、受賞したとたん30万円以上にハネあがるのが常識。テレビ出演も「出たくない」とゴネると、たちまち芸能人なみにアップする。ちなみに出演料は、芸能人、文化人、政治家の順が一般的。


・印税

定価の10%がふつうだが、書き下ろしの場合は15%まで引き上げられることもある。このときは出版社が発行部数を保証、それだけの収入が約束されるので作家は作品に没頭できる。


・芥川賞は純文学、直木賞は大衆文学というような規定とされている。しかし、純文学と大衆文学はどう違うかというと、これまた難しい。


・持ち込む原稿のコツ(中略)

持ち込む場合のルールは、あらかじめ出版社に電話、アポをとっておくことだ。編集者はたいてい忙しいから、雑誌の場合は校了あけとか、比較的暇な時間に出かけていく。


・同人雑誌は作家志望、もしくは小説や評論を発表したい人が、費用を持ち合ってグループ、また個人で雑誌を発行するのである。商業雑誌の小説は原稿料が入るが、こちらは逆に、<掲載料を払って>作品を発表するのである。


・同人誌の選び方も、賞をとるひとつの作戦となる。選び方のポイントは次の通り。
①その地方で、伝統あるもの
②主催者に新人育成の情熱がある
③同人数が20~30人で、掲載料が年に2回以上ある
④中央文壇とのつながりがある
⑤異質性のある同人が揃っている
⑥3号雑誌にならない


・3号雑誌

文字通り、3号目に消えてしまう雑誌で、古くから同人雑誌の代名詞といわれてきた。3号どころか、創刊号のみで消えてしまう雑誌もある。消えてしまう理由は、資金難、良質の作品が集まらない、主催者が情熱を失うなど。


・すぐれた編集者の条件を次に挙げてみる。
①よく勉強している
②作品の欠点を指摘してくれる
③威張ったり、たかったりしない
④有力作家との人脈がある
⑤編集者に徹している(作家希望ではない)


・最初の5枚に全力投球しろ(中略)

凡庸な1行は凡庸な小説を意味する
三島由紀夫氏談


・ペンネームについて(中略)

新人のペンネームは、
①親しみやすくて、自然なもの
②字画が少なく、4~5字程度
③同名の有名人とまぎらわしくない
④耳から聞いても覚えやすく、さわやか
⑤時代を超えて鮮度が落ちない
といったところに気をつけたい


・小説づくりの独学のテキストは何が一番いいか?(中略)もしたった1冊というなら、『小説作法』丹羽文雄(文芸春秋社)(中略)

『小説研究12講』(木村毅著・初版改造社)(中略)

『小説の書き方』(野間宏著・角川文庫)(中略)

『あなたの原稿買います』(島津亘・廣済堂)


・司馬遼太郎はかつて『竜馬がゆく』を書いたとき、神田の高山本店から、「トラック1杯分1500万円分の資料を買った」といわれた。また吉川英治が探していた歴史資料2冊を古本屋の店で発見、「2冊とも買い占めた」という話も有名である。(中略)

菊池寛は一遍の歴史小説を書くとき、300冊の関係文献を読んだとか、海音寺潮五郎が「数行の資料からたちまち100枚の小説をつくった」とは、そんな話もある。


・編集者出身の受賞作家

受賞作家 (出版社)

村松 友視 (中央公論社)
綱淵 謙錠 (中央公論社)
生島 治郎 (早川書房)
常盤 新平 (早川書房)
古山 高麗雄 (河出書房新社)
山口 瞳 (河出書房新社)
杉森 久英 (河出書房新社)
三木 卓 (河出書房新社)
永井 路子 (小学館)
高樹 のぶ子 (培風館)
宮城谷 昌光 (新評社)
色川 武大 (桃園書房)


・賞の対象となる作品を読むと、やはりテーマが重大なポイントとなっている。テーマとは主題であり、素材である。モチーフと似ているが、わかりやすく、より具体的な作品の題材といっていい。


・構成はテーマ、文章とならぶ創作の三大要素であるが、この中でももっとも巧拙があらわになるものである。同時に特に体験とか能力をいとわず、素人でも創意、工夫で新奇な冒険が可能だ。


・よくいわれる新聞記事の基本に、5W1Hがある。(中略)

さらに新聞記事は、次の5Cを基本方則とする。

Correct (正確)
Concise (簡潔)
Clear (平素)
Complete (完全)
Colorful (美観)


・結末は余韻を残す

書き出しと同様、結末もまた作品の重要な要素である。書き出しの1行と同じく、末尾の1行でその作品は光りもするし、つまらなくもなる。(中略)

結末はしいていえば、
<90パーセントくらいでとどめ、あとの10パーセントは読者の想像にまかす>のが好きである。つまり余韻である。全部書く加えなくても、読者に多少のもの足りなさを与えて考えさせる。そういう結末の小説は、どことなく情感があっていい。


●書籍『芥川直木賞のとり方~あこがれが"勝利の女神"に!今』より
百々 由紀男 著
出版館ブック・クラブ (1993年7月初版)
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