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稲垣 篤子 氏 書籍『1坪の奇跡』より

このページは、書籍『1坪の奇跡』(稲垣 篤子 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・商品は羊羹ともなかの2種類だけ。羊羹は一日一五〇本限定で、毎朝、店の前には番号札を求めて、早朝四時とか五時頃から行列ができます。盆暮れには、深夜一時頃に行列ができ始めることもあります。そんな風景が四〇年以上も続いています。

・小豆の風味を最大限に引き出し、美味しい羊羹をつくるコツは、「焦げる寸前で焦がさない」こと。銅鍋を使うのは銅が一番熱伝導率が高いからなのですが、逆にいえばとても焦げやすいのです。

私が長年の経験のなかで体得したのは、ヘラを銅鍋のなかで動かすときに、「半紙(薄紙)一枚分の厚さ」を残すことでした。


・小豆を炊き始めてから練り終わるまでにかかる時間は、トータルで三時間半ほど。これでひと釜分、五〇本分の羊羹ができます。味を守るためには釜を大きくすることも、どこかの工程を省くこともできません。一日にできる作業は三釜分が限度ですから、小ざさの羊羹は「一日一五〇本」とさせていただいています。


・「羊羹には四つの種類がある」と、父は言っていました。ポクポクした芋羊羹、ネチネチの普通の羊羹、プリプリした錦玉(きんぎょく)かん、そして口のなかでスーッと溶ける水羊羹。小ざさの羊羹は、この四つのどれでもない、四つの羊羹が交わるちょうど真ん中にある羊羹です。(中略)

「対角線の中心を探せ」
「四つの交点をつかまえろ」

小ざさの羊羹は、ポクポクした芋羊羹、ネチネチの普通の羊羹、プリプリした錦玉(きんぎょく)かん、口のなかでスーッと溶ける水羊羹の四つの種類の羊羹の、ちょうど交点にある羊羹です。


・種屋さんとは運命共同体(中略)

「あなたは皮、私はあんこ、だから私たちは運命共同体です」
「共同体」という言葉に、種屋さんはとても喜んでくれました。


・並んでいるお客様は自然に仲よくなり、いつの間にか「小ざさ会」というグループができました。お客様同士で一緒に温泉や旅行に行かれるなど、楽しく活動されていて、ときどき「この間、どこそこに行ってきたのよ」という話を聞かせていただきました。


・一日一五〇本限定で、ひとり五本まで。ほとんどすべての方が五本買っていかれるので、毎朝三〇人にだけ番号札を配りました。つまり、行列の三〇人目までの方に買っていただくということです。


・小ざさの羊羹がほしいときは、家族でも従業員でも、ほかのお客様と一緒に行列に並ぶのがルールです。(中略)つい先日も、主人は朝四時頃に並んで羊羹を買っていたようです。自分で羊羹をつくっている職人も、自分が贈り物などに買いたいときは並びます。


・クレームを言われたらどうする?(中略)

嫌なことを言われることもありますが、それもその方の感じたことなので、「ありがとうございます」と真摯にお聞きすることにしています。


・小ざさでは八年前から、インターネットを通じたもなかの販売を始めました。
※参考:http://www.ozasa.co.jp/


・なぜ、「小ざさ」という名で船出したのか(中略)

「小ざさ」とういうのは、母の出身地である久留米藩の大名・有馬氏の紋所「笹竜胆(ささりんどう)」から取ったものです。


・事業でもなんでも、事を始めるときに大方の人は、『資金や設備がないからできない』と言う。潤沢に揃えてからする事業なら、誰でもできる。なければ頭を使えばいい


・小ざさの企業秘密(中略)

料理でもお菓子でも、とにかく何でも「食べてみなさい」と言われました。「美味しいものばかり食べていてはダメで、まずいものでも食べてみなければ何がまずくて何が美味しいのかわからない」と父に言われ


・接客の極意(中略)

店に入ろうかどうしようかと迷っているお客様に、やたらと声をかけてはいけない。「爪先がちょっと店にほうに向いた瞬間に声をかけろ」と言うのです。


・ごちゃごちゃ乱雑になっていてはいけませんが、あまりにピシッと整いすぎていると、隙がなくて、お客様がなんとなく寄りつきにくい。その「なんとなく」が大事なのだと言うのです。

たしかに人間でも、あまりだらしない人には近づきたくありませんが、ピシッとしすぎて隙がまったくない人よりも、ちょっと隙のある感じの人のほうが親しみを感じやすいものです。


・お客様が誰もいなくても、店員がせっせと何かをしている店は活気が失われないものです。


・羊羹づくりについて、具体的に父に教えてもらったことは一度もありません。(中略)様子をじっと観察しながら、あとは自分でやってみるしかありません。


・出来があまりよくないときには、「全部捨ててしまいなさい」と言って、捨てたこともありました。「それがお客様の信頼を勝ち取り、小ざさの伝統をつくっていくために最も大切なんだ」というのが父の信念でした。


●書籍『1坪の奇跡~40年以上行列がとぎれない 吉祥寺「小ざさ」味と仕事』より
稲垣 篤子 著
ダイヤモンド社 (2010年12月初版)
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