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ウンベルト・エーコ 氏、ジャン=クロード・カリエール 氏 書籍『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』より

このページは、書籍『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(ウンベルト・エーコ 著、ジャン=クロード・カリエール 著)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・本を読むときのことを考えるなら、我々の視線は左から右へ、上から下へと動きます。アラビア語やペルシャ語、ヘブライ語だと、逆です。右から左へと動くのです。


・インターネットが与えてくれるのは、未精製の情報です。まったくと言っていいほど玉石混合で、出典の保証も、権威づけもありません。


・インターネットはすべてを与えてくれますが、それによって我々は、(中略)自分自身の頭でフィルタリングを行なうことを余儀なくされ、結果的にいまや、世の中に六〇億冊の百科事典があるのと同じようなことになりかねないのです。これはあらゆる相互理解の妨げになるでしょう。


・『ハムレット』が傑作なのは文学的に優れているからじゃないんです。『ハムレット』が傑作になったのは、『ハムレット』が我々の解釈に逆らうからです。後世に残るためには、奇抜なことを言うだけで足りてしまうこともあるんです。


・収集家なら誰でもグーデンベルグ聖書や一六二三年版フォリオを手中に収めることを夢見ます。しかし、グーデンベルグ聖書はもはや流通していません。


・イギリスでは、本は買わないで図書館で借りるという人のほうが多いんです。


・本を買わせるうまい方法を考えたのは、雑誌社の人たちでした。(中略)スペインとイタリアでとられた手法です。日刊紙が、ごく低価格で、本やDVDを新聞の付録として付けたんです。こういうやり方は、書店主からは非難を浴びましたが、最終的には認められました。私の記憶しているところでは、『ラ・レプブリカ』紙が『薔薇の名前』を付録として無料配布したとき、同紙の二〇〇万部(ちなみにふだんは六五万部)、つまり私の本は二〇〇万人の読書のもとに届いたんです


・本を読む気にさせる方法というのが一つありまして、これがアキレ・カンパニーレという人が書いた小説に出てきます。フスカルド侯爵がどうやって当世きっての博識になったかという話です。フスカルド侯爵は、父親から膨大な蔵書を相続しましたが、興味がないのでほったらかしにしていました。ある日、ある本をたまたま開いたら、一〇〇〇リラ紙幣が一枚挟まっていたんです。侯爵は、ほかの本でも同じことが起こるんじゃないかと思い、その後の一生をかけて、相続した本をすべて、一ページ一ページ丹念に検分しました。こうしてフスカルド侯爵はものすごい教養人になったんです。


・本当に稀少な本というのは、あまりに小さくて地味なので見てもそれとわからないようなものが多いんですよ。


●書籍『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』より
ウンベルト・エーコ 著
ジャン=クロード・カリエール 著
工藤妙子 翻訳
阪急コミュニケーションズ (2010年12月初版)
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