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石井 明 氏 書籍『落語を楽しもう』より

このページは、書籍『落語を楽しもう』(石井 明 著、岩波書店)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・よりわかりやすい形をとるために「上下(かみしも)をつける」という技法で演じるのです。たとえば、大家さんと店子が会話しているとします。この場合、大家さんのほうが立場が上で、店子は下という位置関係になりますから、大家さんが話をするときには、噺家は顔を下手に向けてしゃべります。店子が話すときはその逆で、上手に向けてしゃべることになります。


・落語は、「話芸」とよばれます。ほかに「語り芸」「舌耕芸(ぜっこうげい)」とも言われ、ことばを主体的に使うことによって表現する演芸です。


・「漫才」は、昭和九年に吉本興業によって命名された熟語で、もとは「万歳」といって、太夫と才蔵の二人が、家々の前で鼓を打ちながら賀詞(いわいごと)の述べ、舞を演じたものでした。これが寄席芸になったものです。


・落語の特質と構造(中略)

①滑稽な話、②人物の会話、③落ち、の三つを落語の内容を特徴づける要素としているわけです。


・人を笑わせる人、笑われる人


・「寄席」ということばは、人を集める場所の「人寄せ場」「寄場」が縮まったもので、天保期に使われはじめました。大坂の落語は、講談の席に出演しましたので「講釈場」「席屋」、略して「釈場」「席」といいます。


・ドイツの哲学者ショーペンハウアーは、本人が思っていた事柄(概念)と、実際に生じた事柄(実在)との間に大きな「ズレ」が生じたときに「笑い」が生まれるとしています。


・渡辺均『落語の研究』(駸々堂書店、昭和十八年)で、オチの種類を十一種に分類しています。そして、それ以後も何人かの研究者によって命名・分類が行われていますので、それらを合わせて、ここにご紹介していくこととします(中略)


①仁輪加落ち(地口落ち)
駄洒落、語呂合わせ、もじりなど言葉の洒落によってオトすもの。(中略)


②拍子落ち(トントン落ち)
トントンと調子よくすすんでいき、最後に芝居で拍子(柝)がチョンと入るような呼吸でオトす。(中略)


③仕込み落ち
マクラや噺の本題の途中でそのことばを使って、聴き手に印象づけておいて、最後にそのことばで締めくくるオチ。(中略)


④逆さ落ち
江戸・東京落語では、ものごとが常識とは逆の結果で終わること。(中略)


⑤考え落ち
とっさには意味がわからないが、よく考えてみると納得ができておかしいもの。(中略)


⑥廻り落ち
噺の主題となるものが、廻り廻って最初のところに戻ってくるというオチ。(中略)


⑦見立て落ち
ある状態やものごとを、まったく違うものに見立てるオチ。(中略)


⑧間抜け落ち
会話のはずみでつり込まれて、間抜けな応答になるオチ。常識からはずれた言動でオチとなるもの。(中略)


⑨トタン落ち
噺の展開のなかで、人物が聴き手の意表をつく会話によってオトすもの。そのことばは、噺の筋とよく結びついている。(中略)


⑩ぶっつけ落ち
互いに相手のことばを誤解して、くい違ったままでオチとなるもの。(中略)


⑪しぐさ落ち
ことばによらずに、演者の身振りや表情で意味を伝えて結末とするオチ。(中略)


⑫はしご落ち
数が一つずつ上がっていった末にオチるもの。(中略)


⑬はなれ落ち
ハナシが展開していくなかで、初めての登場人物が消えて別の人物となり、最後のオチが最初のハナシとは無関係であるもの。


・落語という話芸の原型が生まれてほぼ四百年、江戸の地で寄席という興行形態になって二百年が経ちました。(中略)落語が「伝統芸能」であり、「古典化」されたということです。


●書籍『落語を楽しもう』より
石井 明 著
岩波書店 (1999年2月初版)
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