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牧尾 英二 氏 書籍『利益第二主義~過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学』より

このページは、書籍『利益第二主義~過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学』(牧尾 英二 著、ダイヤモンド社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・【品揃え】

従来の小売業では、商品の回転率を高めるために、品揃えを売れ筋商品に絞るのが常識です。一方、AZでは、販売効率はいっさい追求しません。商品のPOS管理(販売時点情報管理)もしません。地域の人々の日常生活に必要なものは何でも揃える、フルラインナップの品揃えを行なっています。


・【仕入れ】

地元の生産者、メーカー、卸売業者を大切にして、商品を仕入れるときは地元の業者を最優先しています。また、仕入先に無理な値引きは要求しません。


・【人材】(中略)

私どもの従業員には他店を見ないようにお願いしています。他店はどこも素晴らしく、つい真似したくなるからです。本当に大切なのはお客様の声。地域のお客様の声。従業員は、売り場に出てお客様と接し、自ら学び考えることによって成長していくものです。そのため、接客や売り場作りなどのマニュアルはありません。研修などの社員教育も行いません。


また、従業員の待遇は、正社員もアルバイトも、ほとんど変わりません。定年制度はないので、意欲さえあればいつまでも働くことができます。


・利益や効率よりも大切なもの(中略)

過疎化と高齢化が進む不便な町に、日本で初めて二四時間営業の大型店を開店。しかも、従業員はほとんど地元採用の素人です。利益第二主義、効率無視、損得よりも善悪優先、そして前例否定。


・自動車の世界で生きていこうと思っていたのが、否応なく小売業の世界で生きていくことになった。これは天からの声で、今回の試練には何か意味があるのではないかと思ったのです。(中略)だから、自分自身に言い聞かせる意味でも、「小売業は自分の天職である」と決めました。


天職ならば、損得よりも善悪を主体に取り組む必要があります。


・過疎化が進んだ阿久根市のような地域には、近代的な小売業は一つも出店してくれません。効率を重視した大手の小売業からは見放されて、大型スーパーが進出してこれない田舎町で、地元のスーパーはあぐらをかいていました。


ある店に行って、「棚の上の商品を見せてください」とお願いしたところ、「買うんですか、買わないんですか。買うなら降ろして見せますけど」と言われたときは、本当に驚きました。


・近所で買いたいものがすぐに見つからない。店が早い時間に閉まってしまう。地元の過疎地に共通するこんな悩みを抱えて、買い物が非常に不便な地域だったのです。都市部への一極集中が進み、過疎地は完全に置いていかれています。


・お客様の来店頻度を高くして、一回の買い物で購入する買上点数を増やしていただく。いまでもAZの経営の基本となっています。


・この町で暮らす人々の家事労働のお手伝いをしたいという思いが、その根底にはありました。売れそうな場所で、売れそうな商品を販売するという発想は、供給する側に都合がいいだけだからです。


・世界の常識にとらわれない、徹底したローコスト経営を模索することにしました。イニシャルコストとオペレーションコストさえ低く抑えることができれば、新業態として理想の店舗を実現できるのはないかと考えたのです。


・徹底したローコスト・オペレーション。それが私どもの経営の根幹です。


・A-Zと他の大型小売業とのコスト比較

分類

  イニシャルコスト

    土地単価(1坪あたり)
    店舗建設費(1坪あたり)


  オペレーションコスト

    1人あたり売場面積


  経営指標

    必要粗利益率
    損益分岐点(年間あたり売上高)
    必要商圏人口


・従来の小売業の常識では考えられないことですが、店内の空調は冷房のみで、暖房装置は最初から設置していません。気象庁の過去一〇年間のデータを調べてみたところ、温暖な気候の鹿児島県阿久根市で暖房が必要となる日は、年間でわずか二週間だけだとわかったからです。


・地域の生活者に貢献することが私どもの信念であり、消費者の利便性を第一に考えて利益は二の次に考える「利益第二主義」を掲げて、会社を経営しています。


・AZの名前の由来ともなっている、「AからZまで生活必需品はすべて揃える品揃え」です。


・品数(中略)、現在は三六万点近くになっています。これは同規模のスーパーやホームセンターと比べても二~三倍の品揃えになると思います。(中略)


棚ごとに売り場を見ていくと店内は採算に合わない棚だらけです。(中略)わらじ、ふんどし、梅を干すのに使う大きなざる、など、年に数個しか売れないような商品でも売り場に置いてあるのは、日々の生活でそれを必要とするお客様がいらっしゃるからです。


・夏でもストーブを並べているのは、夜釣りに出かけるときに船上でストーブを使う人がいるからです。春先に暖房器具の安売りをして在庫処分をするのではなく、一年中売り場に並べるというスタンスです。


・高度成長期には、同じ商品を大量に充足させる必要があったから機能したかもしれませんが、消費が成熟すると、消費者のニーズに応えられなくなると直感したのです。


・一つの品目だけを取り上げて、赤字だから取り扱いをやめようということはありません。生活に必要な品目であれば取り扱い、トータルとして利益が出ていればそれでよいと考えています。


・品揃えの基本は「スモール商品」(中略)

 ラージ商品(大型商品、高単価品)

   日々の生活にはあまり必要なないスペシャルニーズ商品。
   大型家電や高級ブランド商品など


 ミドル商品(大きめの商品、中単価品)

   日々の生活にあると便利になるようなホームニーズ商品。
   レジャー用品や園芸品など


 スモール商品(小さな商品、低単価品)

   日々の生活の欠かすことのせいないホームキープ商品。
   生活雑貨や生鮮食品など


    ↓


主にスモール商品を扱い、ワンフロア・ワンストップ・ショートタイム・ショッピングが可能な店舗


・私は自動車会社にいたときに人間工学を勉強しました。たとえば二階に上がるとき、人の目線の高さが一メートル六〇センチなら、その目線の高さから一段下に踊り場を作りなさい。その踊り場から次の踊り場までの高さも、目線より一段低くしなさい。目線より高いと、これを上がらなければいけなのかという気持ちになるけれども、踊り場が見えれば階段も上がりやすくなると教わりました。


・二四時間営業という利便性を売っている、そのかわり価格は安くできない、というコンビにの理論は、売る側の傲慢だと思います。


・一万円の商品をチラシで一〇〇〇円と誤記(中略)

チラシに出した以上は一〇〇〇円で売る(中略)

こうなったら開き直って予約注文を受けなさいと従業員に話して、予約注文を受け付けたのです。(中略)

結局、注文分も入れると四〇〇万~五〇〇万円ぐらいの赤字が出たと思います。(中略)

ところが、このことがあってから、お客様の数がどんどん増えていきました。(中略)「さすがはマキオホームセンターだ。正月から大判振る舞いして、しかも間違った価格を間違ったと言わずにそのまま売って予約注文まで受けた」と噂が立っていたのです。


・一九八二年四月八日にマキオホームセンターを開店して以来、二七年間、一日も休まず営業を続けてきたことに、最近あらためて気が付きました。


・キャッシュバックは販促のためではなく、純粋に利益を還元することを目的にしたものなのです。


・生活雑貨を売る感覚で自動車を売る(中略)

ガソリンも満タンにしてお渡ししています。(中略)たいへん好評です。


・F1をお手本にしたスピード車検(中略)

通常なら車検に出すと最低でも一、二日かかるところを、お客様が買い物をしている間に完了する速さでお渡ししています。(中略)


スタッフには既存の車検工場を参考にしないように言いました。さらに、業界の常識、前例を否定して、知識や技術を革新することを目指し、F1のピットクルーの一〇〇〇分の一秒の戦いを参考にして挑戦することを目標に掲げました。


・小売業で重要なことは、売上金額ではなく、数量管理だと思います。この商品は今日何個売れた、今週累計で何個売れたといった情報が頭に入っていれば、それがいちばん有効なデータになります。さらに、日曜日は平日は二・五倍出るとか、平日でもこの曜日は売れる個数が少ないといったことまでわかるようになります。


・売上高も利益も気にしない(中略)

現在は、一品単価が三〇〇円、買上点数が一五点で、客単価四五〇〇円となることを目安にしています。一品単価を引き下げて、買上点数を増やすように努力しています。これがAZの経営の柱で、そのほかの数字はいっさい追いかけていません。


・自発性が育てる発想力と応用力(中略)

自分のしてほしいことは、他人もしてほしいことだし、自分の考えていることは、他人も似たようなことを考えているはずです。そこに手がかりがあります。


・売る立場ではなく買う立場で仕事をする


・定年は自分で決めるもの

当社には定年制度がありません。六〇歳を過ぎても継続雇用を実施しています。(中略)社員の最高齢は七五歳で、車検工場のベテラン検査検査員です。


・AZでは、すべての商品が原則として買取制で、返品はしません。委託制度もありません。売り場の担当者にも、ことあるたびに返品はしないようにと言い続けてきました。


・新たなテーマは「健康へのお手伝い」(中略)

食品加工では否応なく数多くの添加物を使い、ほとんどの食品が添加物と無縁ではありません。旬よりも経済性を優先した結果、自然の恵みの本質が失われています。そのツケが人々の健康を害し、病気で悩む人々が多くなっているように思われます。


●書籍『利益第二主義~過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学』より
牧尾 英二 著
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