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西谷 能英 氏 書籍『出版文化再生』(未来社 刊)より

このページは、書籍『出版文化再生』(西谷 能英 著、未来社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・わたしの持論を端的に言えば、本の値段は多くの場合、安すぎるということになる。すくなくとも専門書の場合、著者や出版社のかけた努力やコストからみたら、本の値段は本来はいまの倍になってもやむをえないのではないか。


・最近の文庫出版は刊行当初からよほどのことがないかぎり初版売切りというのが常態化しているらしい。つまり重版は前提とされていない。しかも以前にくらべて初版部数自体が減少しているとのことである。


・昨年末に図書館流通センター(TRC)が従来の主要取引先であるトーハンから日販に帳合を変更し、書籍データセンター契約も解除するというニュースが入った

※二〇一〇年二月


・書物は、本それ自体がはじめてニーズを創出するのである。トランスビューの中嶋廣氏ははっきりと断言している。「出版とはまだ存在しない新しい価値の創造であり、その行為にしか意味はないのだから、いまある読者のニーズに合わせた段階で、その本の価値はない」


・人文・社会科学書流通センター(JRC)という名前のその会社は、出版不況のなかでますます進んでいる現在の人文・社会科学系専門の売行き不振になんとか歯止めをかけたいという意気に燃える人たちの集まりである。

※参考:http://www.jrc-book.com/


・青山ブックセンターという書店は電車の中吊り広告などをメインにしていた広告会社の幹部が起こした会社が母体になっており、マーケットリサーチを基盤に従来の書店とは異なるコンセプトで本好きな読者の心をつかんできた。


・岩波ブックセンター信山社は歴史書の品揃えでは他の店に負けないという自負をもっている。そうすることで七〇坪という制約されたスペースを最大限に効率化しようとするのである。つまり、店の書棚にあわないジャンルや書籍は置かない、取り扱わない、捨てるという見切りを徹底することによって専門書を売りながら一定の棚効率を確保し、生き残るという思想である。


・『人文書のすすめⅢ------人文科学の現在と基本図書』(中略)
『人文書のすすめⅣ------人文書の見取り図と基本図書』

※参考:人文会のウェブサイトへ


・書店店頭における人文書の棚展開とは、わたしの持論では「ナマモノ」の世界と同じであり、鮮度が勝負を決するのであって、十年一日のごとく同じような棚展開、同じようなジャンル分けをしているようでは読者から見限られてしまうのは必定だからである。


・インターネットを利用して販売チャンスの増大ということは、われわれのようなふつう書店の店頭ではなかなか陳列してもらえない専門出版社にとっては情報提供機会の増大にとどまらず、読者の性格上さらなる販売・流通回路の増大という意味をもつと考えられるのである。


・新刊点数のわりに本が売れないことの背景にはさまざまな問題がある。言うまでもなく、政権担当政党や官僚の無能ぶりに起因する経済秩序の崩壊からくる底なしの閉塞状況があり、読者にむけられるべき時間も経済的に余裕もなくなっているという根底的な問題がまずある。それにくわえて、出版界内部にもこの状況を根本的に立て直そうとするような動きが出てきていない。


・納本制度とは、戦後まもなくの一九四八年(昭和二十三年)に法律化された国立国会図書館にもとづき、一般に市販目的で発行された図書、雑誌、新聞その他を発行者は納入する義務があるとするものである。


・書物復権8社の会共同主催のよる書物復権セミナー


●書籍『出版文化再生~あらためて本の力を考える』より
西谷 能英 著
未来社 (2011年11月初版)
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