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湯浅 俊彦 氏 書籍『書店論ノート~本・読者・書店を考える』(新文化通信社 刊)より

このページは、書籍『書店論ノート~本・読者・書店を考える』(湯浅 俊彦 著、新文化通信社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・書店業界に自ら身を置いて気づくことは、読者中心の発想がなぜか少ないこと、出版物をとりまく状況を総合的に捉える視点が少ないことである。


・『ぐるりん堂』『玉手箱』『ほんべえ』『ぶらり館』『ぷくぷく亭』『てんとう虫』・・・・・・これ、なんだと思いますか?実はみんな本屋さんの名前です


・書店の閉店・廃業は何が主要な原因であろうか。永江朗氏は東京都内の書店の廃業・転業に関するレポートの中で五つの類型に分けて事例をあげている。それによると、まず「老齢化・後継者不在」。(中略)
第二に、「跡を断たない競合店」。(中略)
第三に、「取次のペネルティー」。(中略)
第四に、「地価の高騰・地上げ」。(中略)
第五に、「ビルオーナーへの転業」。


・書店がいう「売りたい本」とは一般的に大手出版社の「売れる本」のことであり、文芸書、文庫、コミックといった特定のジャンルの中の一部のものというのが正しい。いわばよく売れると経験的に知っている大手出版社の新刊書籍に関して書店間の争奪戦が展開されているのであり、大手書店には有利に、中小書店には実に不利な構図ができあがってしまっている


・日書連が八六年にまとめた「書籍の客注品入荷状況調査」(東京を除く全国一〇〇〇書店調査、回収四二五店)によると、取次別・発注方法別平均入荷日数は表①のようになっている。

・八七年四月に業界紙「新文化」がFAXを設置する書店、出版社に対して行なったFAXの使用に関するアンケートによると、回答した書店の九七・六%がFAXを使って注文すると答えており、発注先は取次・出版社の両者と答えた書店が七〇・四%であった。在庫があると思われる時には取次に、在庫がないと思われる時や新刊・売行良好書については出版社にFAXを使って注文する書店が多い。


・本好きのかたにとって、本は『欲しいときが、読みたいとき』。欲しいとなったらすぐにでも読みたいもの。


・李書華の『中国印刷術起源』(一九六二年)


・購入した本の主な情報源(中略)

書店利用客へのアンケート調査に結果を掲載している。このアンケート調査は大阪府書店商業組合加入書店の利用客を対象に行なわれ、手渡し・郵送による回収で三一三名の回答を得たものである。


・年齢別求める本がない場合の行動


・いつも行く書店に欲しい本が無かったら・・・・・・


・「小書店では、基本図書が一冊売れれば、別の読者に期待をかけるより、同じ読者がひき続いて関連書を購入する確率の方が高くなる」という考えから、みすず書房ではひとりの読者の読書パターンを追跡し、読みたくなる関連書を順次送品していくローテーション方式を編み出したのである。(中略)


同社の高原啓二氏は次のように語っている。

「たとえば神谷美恵子『生きがいについて』が売れる。すると読者は必ず次の『人間を見つめて』が読みたくなるでしょう。すかさず送品したところ、ものの見事に売れました。こうなると次の『こころの旅』は絶対売れる確信がありました」


京都市・三月書房の宍戸立夫氏は次のような書いている。「ウチの店は何の専門でもありませんが、ある分野やある著者の本がイケそうだと思えば、その辺りを集中的に揃える方針でやっております。(中略)」


・佐藤知範氏(千葉県柏市・フタバ書店経営)が日本のごく平均的な書店において、「出版物が届く実状は毎朝なん十箱と取次から届く本・雑誌はあけて初めて“何か”来たかわかる。(略)よほどのことがなければ内容まで知ることが不可能」と証言している。


・本と本との関係性みたいなところに読者が実は関心がある(中略)同じ著者の本は全部揃えるとか、その本の後ろの参考文献を参考にするとか。

※宍戸立夫・三月書房店長


・本はナマ物やから新鮮なものを並べとかなあかんけど、新鮮ということを、単に発行日が新しいというだけで決めているような店いが多いような気がするな。新刊というても、出る前から腐っているような本もあるし、十年たっても古くならない本もある

※宍戸立夫・三月書房店長


・はじめに本ありきで、気にいった本があれば「この本のとなりに並べるといいグッズはないかな」と思うところから仕入れをスタートさせます。もちろんその逆もありますが、圧倒的に前者のケースが多い。

※菊地敬一・ブックハウス ヴィレッジヴァンガード代表


・村上春樹が売れればフィッツュジェラルドが絶対売れる。フィッツュジェラルドが売れれば、ヘミングウェイも売れる。そういう形で次から次へと関連づけて展開する

※菊地敬一・ブックハウス ヴィレッジヴァンガード代表


●書籍『書店論ノート~本・読者・書店を考える』より
湯浅 俊彦 著
新文化通信社(1990年2月初版)
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