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井上 ひさし 氏 書籍『日本語教室』(新潮社 刊)より

このページは、書籍『日本語教室』(井上 ひさし 著、新潮社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・『理科系の作文技術』(※木下是雄著、中公新書)は素晴らしい本ですので、ぜひ買って読んでみて下さい。


・金髪の人は何に憧れているかと言うと、黒い直毛なのです。(中略)オカッパにして、パーマもかけていませんよね。あれは、向こうから見ると一番きれいなのです。


・どんな間違った言葉でも、大勢に人が使い出すと、それは正しい言葉になってしまいます。「絶対に何とかはない」という「絶対」とか「とても」というのは、本来は下に否定がこなければいけないのに、「この品物、絶対これです」などと言いますよね。(中略)


大勢人が使っていくうちに、もうそれは正しいことになってしまいました。このように、常に言葉は乱れています。今の乱れているのは当たり前なのです。


・完璧な国などないわけですね。かならずどこかで間違いを犯します。その間違いを、自分で気がついて、自分の力で必死で苦しみながら乗り越えていく国民には未来があるけれども、過ちを隠し続ける国民には未来はない。つまり、過ちに自分で気がついて、それを乗り越えて苦労している姿を、他の国民が見たときに、そこに感動が生まれて、信頼していこうと気持が生まれるわけです。


・日本語には母音と子音があって、(中略)「さ」という音であれば、それは「s」という子音よ「a」という母音でできているということです。つまり、日本語の音はかならず母音で終わるのです。


・母音が五つというのは、世界の言葉のなかでは少ないほうだと言われています。ちょっと調べてみました。

〔母音の数、二重母音も含む〕(諸説あり)

英語 三一
米語 三二
アラビア語 三
フランス語 一三
スペイン語 五
トルコ語 八

沖縄語は母音が三つです。


・ぼくは新しく字引きを買うと、すぐ「しょうか」という項目を見ます。すると、たとえば日本国語大辞典の場合ですと、「上下」「小火」に始まって、「消化」「消夏」「唱歌」「商科」「商家」「娼家」などと六二個も並んでいます。こんなふうに、日本語というのは、同じ音なのに意味の違う言葉がたくさんある言語の代表格なのです。


・あいまいな日本語の語順(中略)

「黒い目のきれいな女の子」------これはぼくが考えた文例ですが、幾通りもの意味があります。ちょっと例をあげてみましょう。

黒い目がきれいな「女の子」
黒い目の「きれいな女の子」
黒い目のきれいな女の「子」
黒い、目のきれない女の子
きれいな女の「目の黒い子」
目のきれいな女の「色の黒い子」

まだまだありますから、暇の折にみなさんで考えてみて下さい。


・井上 ひさし 著書(中略)

『本の運命』(一九九七 文藝春秋)


●書籍『日本語教室』より
井上 ひさし 著
新潮社(2011年3月初版)
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