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書籍『うつ病治療 常識が変わる』(NHK取材班 著、宝島社 刊)より

このページは、書籍『うつ病治療 常識が変わる』(NHK取材班 著、宝島社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・東京・虎ノ門クリニック「メディカルケア虎ノ門」には、抗うつ薬を服用しても症状が改善しなかったり、職場に復帰してもすぐに再発するなど、長年、うつ病に苦しむ患者が数多く通う。なかには、いくつもの医療機関をわたり歩いた末、“最後の頼み”として駆け込んでくる人もいる。


・テレビは活字メディアに比べると、「映像」という人々の感情に訴えかける強力な武器を持っている一方で、紹介できる情報量が圧倒的に少ない。


・こういうデータがある。アメリカで、抗うつ薬が効果を上げたかどうか、うつ病患者約4000人を、99年から7年間追跡した「STAR*D」という調査が行われた。その結果は、驚くべきものだった。抗うつ薬を4回、種類を変えても効果が上がらなかった患者が35%に上った。つまり、3人に1人は抗うつ薬が効かないというのだ。


・抗うつ薬研究の専門家として知らせる田島治さん。(中略)田島さんは、SSRIを飲み過ぎると、脳内に異変が起こると考えている。特に若い人や高齢者の場合、過剰なSSRIの投与によって、前頭葉(前頭前野)の働きが抑えられ意欲に関する活動が鈍くなったり、ドーパミンという、意欲ややる気を出す物質の働きが低下してしまうのだ。


・うつ病患者の方々に取材すると、必ず医師への不満として挙がってくるのが「診療時間の短さ」である。


・薬が増えていく理由(中略)大きな原因として考えられているのが、診療報酬制度の仕組みである。

現在、精神科における診療点数は、「5分以上30分以内」と「30分以上」に分けられている。再診の場合、病院はそれぞれ330点と360点、診療所では350点と360点。つまり、診察が5分で終わっても30分以上時間をかけても、国からもらえる診療報酬は、1点が10円で計算されるので300円から100円しか違わない。これでは、じっくり患者の話を聞いても経営上、まったく採算がとれない。投薬中心の診察になってしまうのも無理はない。


・インターネットでようやく“これは”と思えるクリニックを見つけた。それが「メディカルケア虎ノ門」だった。心理学や生活指導など、さまざまな分野の専門家を揃え、治療とリハビリを並行して行うのが特徴のクリニックである。


・肉親を自殺で失った遺族同士で互いをサポートする「藍の会」


・5カ所回ってみて、小松さんの驚きはさらに大きくなった。薬の量はおろか、種類さえまちまちだった。総じて感じたのは、「話を聞いてくれるところは薬が少なく、診察時間が短いところは薬が多い」ということだった。


・厚生労働省の統計でも、都内の心療内科の数は、10年前の4倍以上にまで増えている。(中略)厚労省「医療施設調査」


・精神科医の数は1万2000人あまり。各地で医師不足が叫ばれているが、この10年間、精神科医はわずかではあるが増えている。しかし、患者の方は同じ10年間で44万人から100万人を突破。その増加のスピードに医療体制が追いついていない。


・開業ラッシュの理由(中略)メンタルクリニック(中略)

看護師さんって別にいらないじゃないですか。注射とかするわけでもないので。事務員1人とその先生がいれば、最低限のことがまかなえちゃいますから、人件費も軽くて済む。設備投資もいらない。そんなに広いところじゃなくてもいい。


・もともと専門外の医師が、精神科を標榜して開業することは珍しくない。というより、最近のメンタルクリニックの開業ブームのなか、増えているという。(中略)現在の医師法では、こうした行為は違法ではない。


・東京女子医大の坂元薫教授。うつ病研究の第一人者


・医師選びの注意点5カ条(中略)

①薬の処方や副作用について説明しない(中略)
②いきなり3種類以上の抗うつ薬を出す(初診。あるいは最初の処方で)(中略)
③薬がどんどん増える(中略)
④薬について質問すると不機嫌になる(中略)
⑤薬以外の対応法を知らないようだ


・「アクチベーション・シンドローム」とは、SSRIの副作用によって、脳がいわばパニック状態に陥り、自殺願望が強くなったり、他者への攻撃性が誘発されるなどの現象を指す。


・「抗うつ病は重症な患者の自殺を防ぐ一方で、軽症の患者には自殺願望や自傷などを増やす」可能性があると考える。

※日本うつ病学会理事長の野村総一郎さん談


・認知行動療法とは、簡単に言うと、悲観的になりがちな考え方と気分を修正していくトレーニングである。(中略)


たとえば、友人に挨拶をしたが返事がなかったという状況があったとする。このとき、行動は「挨拶をした」、気分は「悲しい」、それをどう受け止めるかが「考え方」で、うつ病患者の多くが「嫌われるようなことをしたのではないか」などと、悪い方向にしか考えられなくなる。すると、「もう悲しい気分を感じたくないから」と挨拶をしなくなったり、外に出られなくなったりするなど行動量が少なくなり、やがて人に会うことさえ怖いとマイナス方向に考え、悪循環に陥りがちとなる。


・うつになったからって、なぜ恥じるの?


・「無気力な気持ち」をノートに書き留めておくよう指導した。どういう時に気分が落ち込むのか、あるいは晴れ晴れとするのか、記録しておくことで患者本人に、物事を悲観的に考え過ぎる傾向があることを気づかせるため


・イギリスでは、認知行動療法の効果の高さが実証されている。(中略)さらに注目されるのは、再発率。1年後、抗うつ薬のみで治療した人は44%再発したのに対して、抗うつ薬に認知行動療法を組み合わせると27%に下がった。この研究を行なったのは、ロンドン大学精神医学研究所教授のデイビット・クラークさん。


・なぜ、医師が診療に時間をかけられないのか。そのひとつの理由が、日本の場合、診療報酬(保険点数)が、患者の話を長く聞いてもさほど上がらないように、制度設計されているからだ。


・医師以外にも、心理療法を担えると期待される人がいる。「臨床心理士」、つまり臨床心理学をベースにして“心の問題”に解決にあたる専門家である。1988年(昭和63年)に資格認定が始まり、95年(平成7年)にスクールカウンセラー制度が導入


・心理面からうつを治す資格を持つ人々は、臨床心理士だけでない。インターネットで「心理 資格」のキーワードで検索をかけてみると、似たような名称の資格がずらりと出てくる。その数31。医療心理士、家族心理士、教育カウンセラー、産業カンウンセラー、認定心理士、メンタルケア心理士、論理心理士など多数


・うつの人に頑張れというのは、逆効果だということは百も承知していた


・砂田くにえさんは、2006年に「うつ病患者家族の会」を立ち上げ、それ以来、自分自身の経験を伝えている。

※参考:砂田くにえさんのツイッターはこちら


・脳血流でうつの症状を測定する(中略)

脳画像のなかで、『赤くなる部分の大きさ』と『赤くなるタイミング』。その2点を見極めることで、『健康』な方と『うつ病』『躁うつ病』の特徴の差が顕著に現れるんです(中略)


典型的なうつ病患者の場合、言語の課題が出されても前頭葉に部分は青いまま。脳血流の増加量が健康な人の場合よりも少ないことを表している


・うつ病と躁うつ病、最初の頃は同じうつの状態を示して、ご本人も区別がつかないし、医療者から見てもなかなか診断が難しい。ですから、できる限り早い段階で正しく診断したい


●書籍『NHKスペシャル うつ病治療 常識が変わる』より
NHK取材班 著
宝島社 (2009年9月初版)
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