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多湖 輝 氏 書籍『人間心理の落し穴』(ごま書房 刊)より

このページは、書籍『人間心理の落し穴』(多湖 輝 著、ごま書房 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・人は、成功の可能性に不安があるときは、失敗したときのショックをやわらげようと、目標をレベルダウンさせたり、暗い見通しを立てたりすることがある。これは、不快な状況から自分を守ろうとする「防衛本能」の一つで、試験にかぎらず、日常生活の中でも、よく経験することである。

・人は、最初から自分を認めてくれる人より、はじめは否定しているもあとになって認めてくれる人に影響されやすい。


・先日乗ったタクシーの乗務員の話では、降車の際に、信じられないほど重要なものや大きな物を忘れる人がいるという。よく聞いてみると、どうやら時間を気にしたり、目的地が分かりにくかったりして、時間内に、めざす目的地にようやくたどりついた安堵感から、荷物を忘れるようにという緊張感までが解き放たれて、思わず重要なものを忘れてしまうらしい。


このような例からも分かるように、私たち人間にはどうも、目先の欲求が満足されると、それより大きい他の欲求、本来の目的を忘れ去る傾向があるらしい。心理学的には、テンション・リダクションといって


・職場の人間関係はスムーズなほどいいというところだろうが、組織という観点からみると、人間関係のいいことが、かならずしも組織にとってメリットになるとはかぎらない。というのも、単なる親睦団体ならともかく、どんな組織にも目的・目標があるはずだが、人間関係がよくなると組織全体が楽観的に傾き、目標達成に支障をきたすことさえあるからである。(中略)


プロ野球を見ていても、優勝するチームはたいてい、選手と監督のあいだに緊張状態が保たれており、ときとして選手と監督が対立することも起こるようだ。


・自分の欠点に目をつぶろうとすると、かえって長所も発見できなくなる。(中略)欠点のない人間はいないと考えたほうがいいのだから、一つくらいマイナスだと思う自分の欠点を自覚するのはやむえないだろう。


問題は、たった一つの欠点に悩むと、そのマイナスのイメージを全体に拡大し、自分のすべてに自信をなくしてしまうことだ。


・人に好意を持たれたいなら、まずこちら側の好意を相手に示す。


・「自分は恨まれている」と考える人は、逆に相手に敵意を抱いていることが多い。


・相手の警戒心を解きたいなら、互いに共通する趣味の話題を中心に話を進めてみるとよい。


・相手を喜ばせたいなら、ほめるまえにすこしけなしてみるとよい。


・自分のある欠点をあっさり認めると、「それにひきかえいい点もある」と自分に自信が湧いてくる。


・つねに相手の長所を見つけようとする努力が、信頼を勝ち取る第一歩である。


・人間とは矛盾に満ちた生き物である。隣人を愛し、お互いに思いやりを持って助け合わなければ人間は幸せになれないと考える一方で、他人を蹴落としてでも這いあがるくらいの闘争心がないと人生を生き抜くことができないと考えたりする。(中略)


人間はもう一人、別個の人格を持った人間に“変身”することで、双方の欲求を矛盾なく満たそうとするのだ。(中略)服装や行動の場面・時間を切り替えることによって、その変身願望を満たそうとする。


・もし、たとえばあなたの妻や夫が、「あのころはよかった・・・・・・」などと昔話を始めたりするようなら注意を要する。欲求が満たされない状態から抜け出したいという願望の表われであり、夫婦生活の危険信号であるとも言えるからだ。


・子どものいない母親がネコをわが子のように可愛がったり、一人住まいの女性がイヌを恋人のように愛する(中略)これらも、一種の“置き換え”だが、ここには満たされない愛情を、動物を可愛がることによって満たそうとする性愛の色がかなり強く見られるのが特色だ。(中略)


動物愛護や物をだいじにするという防衛機制の陰にかくれて、人間不信に陥る危険もあるので注意を要する。


・人の言うことを素直にきき、そのとおりに行動しても、その責任をとろうとしないというタイプだ。これは心理学でいう「抑制過剰」の心理メカニズムが強くあらわれたタイプの人によく見られる行動である。「抑制過剰」というのは、自分のもっている欲求を必要以上におさえつけようとすること


・昼の顔と夜の顔が極端に違う人は、時間の区切りで対立する欲求を解消している。


・勉強する意欲がでてこないときは、一度徹底的に遊んでみるとよい。


・一つのことに頑固にしがみつく人は、思うように事が運ばず欲求不満に陥っていることが多い。


・会議・討論で何も発言しない人は、心の底で他人に対する優越感を持つ傾向がある。


・給料への不満を口にする人は、仕事への意欲のなさをすりかえていることが多い。


・一つの話を長々と続けるのは、結論を批判されたくない心理状態を表している。


・同僚と飲みに行ったときに、上司の悪口を言ってうさを晴らす(中略)上役批判は個人的悪感情から発せられるというより、「ほんとうは、オレのほうが能力があるのに、立場上、上司の言うことをきかなければならない」という心理が横たわっている。(中略)理屈をつけてその行動を合理化する(中略)批判の形で欲求を満足させている


・精神の緊張は、肉体の緊張によってさらに強められる。(中略)

人間は、心の緊張が高まってくると、自然ににぎりこぶしを作ったり、体を固くしたりして体を緊張させるようになるもので、これがいっそう緊張感を増大させていく。緊張感を解きほぐして心をゆったりさせるには、まず体をリラックスさせる必要がある。


・「つまらない」「たいしたことない」という評価の裏には、欲求を満足させることができなかった心理が隠されている。


・能力のない人でも、その地位につくと能力はあとから生じてくることが多い。


・人間は、集団の中にはいると、その集団がもつ平均的な価値基準にみずからを近づけようとする心理状態がある


・論敵をグウの音も出ないほどにやり込めた勝者が、意気揚々と全面的に自分の主張を相手の呑ませるかというと、かならずしもそうではない。抗争・対立の決着がついたあとでは、意外に、「わかってくれればそれでいいんだ」というようなことになり、両者の折衝案か、むしろ敗者の言い分を大幅に認めた結論になることが少なくないのである。


こうした譲歩の心理メカニズムを説明する考え方の一つとしては、人間の持っている“征服欲”と“獲得欲”が、かならずしも一致しない


・三〇分間電話で話をするよりも、三分間の電話を十回するほうが親しさが増す。


・人間は、最初にいったん自分の主張が全面的に認められると、最終的には自分の主張を捨て、逆に相手の主張を受け入れるようにもなってくる。「話し上手は、聞き上手」と言われるように、話に説得力がある人は、まず相手に話をさせ、相手を受け入れるところからすべてを始めることが多い。


・ “・・・・・・しかない”といった説得の仕方は、一種の押しつけであり、説得される側には選択の余地はほとんど残されていない。そして、この押しつけは、選択の幅を極端に縮め、かりに受け手がその内容を理解したとしても、拒絶反応を誘発することが多いのだ。


・サブ・ゴール(中略)

日本一の富士山も、一合目、二合目とサブ・ゴールがあるからこそ、登山に不慣れな私たちでも頂上に立つことができるのである。


・広告の役割が、商品購入の動機づけだけかというと、けっしてそんなことはないのだ。そして、それは広告制作者たちの意図とはまったく別の、受け手特有の心理メカニズムに由来している。(中略)


新車を買ったばかりの人のうち七〇パーセントは、その車の広告を出ていると目をとおし、そのうちの六五パーセントの人がじっくり読む(中略)


「ひょっとしたら他の車を買うべきだったのではないか」「自分の選択はまちがっていたのではないだろうか」という疑問を打消そうとする心理がはたらくからである。


・「・・・・・・・すべき」「・・・・・・しなければならない」という押しつけ的表現は、説得力を持たない。


・小目標ごとにサブ・ゴールを設定すると、困難な最終目標も、わりと楽に到達しやすい。


・命令も、「してみませんか」という疑問形で発せられると、人は抵抗感を持たずに受け入れることが多い。


・人は、「自分の選択が間違っていなかったか」という疑問を解消するために広告を見ることが多い。


●書籍『人間心理の落し穴』より
多湖 輝 著
ごま書房 (1980年1月初版)
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