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君塚 良一 氏 書籍『「踊る大捜査線」あの名台詞が書けたわけ』(朝日新聞出版 刊)より

このページは、書籍『「踊る大捜査線」あの名台詞が書けたわけ』(君塚 良一 著、朝日新聞出版 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・大学を卒業したわたしは、ひょんなことからコメディアンの萩本欽一さんに弟子入りした。彼のもとで放送作家を修業をし、それからドラマの脚本を書くようになり、いまでは書いた脚本を自身で監督もしている。


・家のこもってシナリオを書いていても、どんどん考え方が狭くなっていくよ。そうなると人間はとか、貧困とかって暗いテーマに走るようになるから

※教授に言われたひと言


・大将こと萩本欽一さんは、運やチャンスを神様と言い換えていた。(中略)大将は断言する。「神様はみんなに同じだけチャンスを与えている。そのチャンスをものにした者が良い仕事ができて、成功するんだ」(中略)


「・・・・・・わかりやすく大きな仕事としてチャンスはやって来ないんだよ。だから、ややこしいんだ。小さな仕事の小さな成果を見た人が、次に大きなチャンスをもたらしてくれることがあるわけね」


・人間はえらくない、人は欠陥があるから面白い、失敗するから可愛い、言っていることとやっていることが違うから、そこを突っ込んで楽しむ。さんまさんの人生観はそれにつきる。


・脚本家として物語を綴る場合も、監督として映像を撮る場合でも、まずテーマを決めてから作品作りをスタートさせる。ただし、テーマはぼんやりしたものだったり、答えのない疑問形だったりすることもある。


・世のなかはわからないことだらけで、人はどこまでも不可解だ。考えても答えにたどり着かないから、物語を組み立て、登場人物を動かしながら一緒に考えていく。作品作りは、疑問の答えを探す旅なのかもしれない。


・「この作品のテーマは何ですか?」(中略)テレビ局や新聞社のインタビューを受けると、この質問が一番多い。(中略)ほとほと悩んでします。とくにわたしの場合、テーマが結論的なものでなく疑問形であるからなおいっそう難しい。作品を作っていた日々では、テーマとしての言葉を曖昧にしてきたから・・・・・・。


・刑事もサラリーマン、というコンセプトが生まれるのにさほど時間はかからなかった。


・『踊る・・・・・・』では、それまでの刑事ドラマによく見られるシーンを、禁じ手として絶対にやらないと決めたことがいくつかあった。刑事にニックネームをつけない、尾行や聞き込みシーンに音楽をつけない、カーアクションや銃撃戦をやらない。もうひとつ、「刑事が殉職しない」というものもあった。


・『踊る・・・・・・』の原点に立ち返り、巨大な組織の矛盾を描く。刑事もサラリーマンであるという基本精神に忘れてはいけないと確認し、各方面への取材をし直すことにした。


サラリーマンの悩みとはなんだろう? サラリーマンの疲れはどこから来るのか? それらを知ろうと何人もの会社員と会って話をうかがった。


・小堺さんが微苦笑する。「だって、おびえたり怖がらなくなったら、人間おしまいじゃない?」


彼の言葉はモノを作っている者にひとつの啓示を与えてくれる。これでいいのか、自分らしいのか、もっと面白いことはないのか、と常に自分に問いかけろ。慢心することなく、いつもおびえていよう。


・人は曖昧で不確定なものであるということ。人は優しいが同時に悪意の保有者でもある。人を信じることは素晴らしいが、人は人を平然と裏切る。愛するということはかけがいのないものだが、同時に儚い(はかない)。そういった人間がもつ二面性についての物語であろう。


・適当にいい加減にというのは、駄目なことを指す言葉じゃなんだよ。お前は適当人間とか、いい加減野郎とか、そういう風に思ったかもしれないけど、いや、そうじゃない。自分にとって適当な力でやる、自分にとって良い加減でやる。そういうことが人間には大切なんだ。(中略)


野球選手っていうのはみんな力を抜いてスイングするだろ? それをお前は駄目だと言うのか? 自分に適当な力、自分にとって良い加減でやっているからいいスイングができる。


・壁にぶつかった(中略)

こういうとき大抵の人間は、こう思う。「自分はもっとできる人間のはずなのに」(中略)


自分には大した才能などないとふだんから思って仕事をしていればいい(中略)そうすれば壁なんかないよ(中略)


自分で勝手に立てて、苦しむ降りをしているだけなのだ。


・道はくねくね歩け(中略)

ふもとから頂上まで真っ直ぐ進んでも、山は登っていけるよ。でもね、くねくね歩いて、寄り道を沢山することで、別のことを学べることもあるの


・まず目標を定めろ。目標を決めたら道はまっすぐ歩くな、寄り道をしながら目標へ向かえ。そこで覚えたことは、のちに個性となり武器となり、山の頂上に登るときにきっと役に立つ。


・高校二年になったとき、急速に小説や映画にのめり込んだ。(中略)

「休みの日に、朝から晩まで映画館にいるの」

母は、仕事から帰ってきた父に相談した。

「それに平日も高校さぼって、映画館に行っているようなの。どうしましょう」

涙目で。すがった。

そのころ、父に叱られた記憶はない。(中略)

「ほうっておけ」

厳しい父はどうしてそう答えたのだろうか。わたしの自由を尊重してくれたのだろうか。同じ男として認めてくれたのだろうか。

「ほうっておけ」という言葉は、「お前を信じている」とも聞こえた。「お前が何をしようと、どこへ向かって行こうが、信じているから」


・『踊る・・・・・・』には、いくつかの古典の手法が取り入れられている。ストーリーのテンポを上げるため、物語は三日間だけの話になっている。古典劇場は、三幕ものが多く、一幕ニ幕三幕の終わりに三つの見せ場がある。『踊る・・・・・・』もそう作った。盛り上げて、また盛り上げて、最後にまた盛り上げた。それに古典で使われるキーワード、「勇気」と「憎しみ」、「愛」と「死」というのを作品にモチーフに使ってもいる。


・自分という人間は、必要とされているから存在している。必要のない者が、この世のなかに存在するはずがない。(中略)それぞれに役目はあるのだ。自分は必要とされていないと思えば、やる気はなくなるし、力もでなくなってしまう。コピー取りを不満に思ってはいけない。それはその人の役目なのだ。役目があるから呼ばれるし、毎日働いているのではないか。


●書籍『「踊る大捜査線」あの名台詞が書けたわけ』より
君塚 良一 著
朝日新聞出版 (2011年7月初版)
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