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横山 三四郎 氏 書籍『ブック革命~電子書籍が紙の本を超える日』(日経BP社 刊)より

このページは、書籍『ブック革命~電子書籍が紙の本を超える日』(横山 三四郎 著、日経BP社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・ケータイ文庫は真夜中に読む(中略)

新潮ケータイ文庫で興味深いのは、昼間よりも夜の読者が多いことだろう。(中略)一番、会員のアクセスが集中するのは午後一〇時ごろから午前零時、一時ごろまでの真夜中である。昼間の時間のなんと二倍のアクセスがある。


・本というものは人間のいとなみそのものであって、景気が良かろうが、悪かろうが、人々は情報、知識を必要とし、芸術の感動、憩いを求める。このことがバブル崩壊と円高による製造業や小売業の不振をよそに出版業界の好調が持続した理由で、出版は不況に強いとまでいわれた。


・「活字離れ」は、必ずしも「文字離れ」ではない(中略)本が売れなくなり、読まれなくなっているのは、情報があふれているうえに便利なデジタル文字で知識が得られるようになって、人々が紙媒体の活字の文字をそれほど必要としなくなっている。そのために起きている現象ともみることができるのである。


・デジタル/アナログ別発信情報量の推移(中略)

(出典)総務省発行「平成15年度情報通信白書」の中の平成13年度(2001年度)情報センサス調査


調査の対象は、インターネットや携帯電話のようなデジタルメディアの電気通信系、それと書籍や雑誌、手紙などの輸送系、ラジオ、テレビ、電話、学校教育や会議などのアナログな音声空間系という三種類に分けて行っている。


・筆者は「ネット図書館」(http://www.net-library.net/)を主催している。


・大沢在昌、京極夏彦、宮部みゆきの推理系のベストセラー作家は、三人の名前から一字ずつ取って名付けた「大極宮」という共同サイトを持ち、そのなかに「大極宮書店」を開いている。そこで新作などを紹介するとともに、電子書籍を販売している。

参考:「大極宮」のウェブサイトはこちら


・筆者は記者の時代から原稿を書いているから知っているが、雑誌などに各原稿料というものがここ三〇数年、値段が変わっていない。というより安くなってきた。コラムのような文章はともかく、四〇〇字詰めの原稿一枚で五〇〇〇円を超えるというのは高いほうである。


・「書籍流通の理想を目指して」というシンポジュームが東京・新宿の紀伊国屋ホールで開かれた。日本文藝家協会が〇三年二月に開催したもので、四七〇名がつめかけて補助椅子を出すほどの盛況である。(中略)


理想を語るどころか、名指しの非難が飛び交うけんか腰の激論の場になった。手ひどく批判されたのは新古書店と呼ばれるブックオフの坂本孝社長である。


・作家らに対してお金を払う補助金の算定では、国会図書館の南亮一氏の論文によれば、大きく二つの方法がある。


[貸出し回数型]算定の基準を公共図書館の貸し出し実績、つまり貸し出しの回数に置くやり方である。この方法をとっているのはイギリス、ドイツ、オランダ、アイスランド、オーストリア、イスラエルである。


[所蔵冊数型]図書館の蔵書冊数に算定の基準を置く方法である。つまり図書館がだれの本を何冊購入したのか、それによって著作権に支払うやり方だ。これを採用しているのはデンマーク、ノルウェイ、フィンランド、オーストラリア、ニュージランドである。


二つの方法を組み合わせているスウェーデンのようなやり方もある。同国は書籍については前者、参考書については後者の手法で計算している。


さらに具体的な支払しの方法でも四つのタイプに分かれている。


①補償の対象は書籍だけとし、それを行うのも公立図書館のみとする。この方式を採用しているのはイギリスだけである。一冊の貸し出し一回につき、二ペンス(およそ四円)が支払われる。


②何回貸し出しされようと関係がなく、その代わり一冊あたりの算定単価は高く設定されている。ノルウェーが邦貨にしておよそ二四円、オーストラリアが同八七・五円となっている。


③対象になる書籍が自国の言語によるものと限定。スウェーデンなど北欧諸国に多い。これはヨーロッパ統合のなかで小規模国家の文化を保護するねらいが込められている。算定基準には①と②、あるいはその折衷タイプがある。


④ドイツのタイプ。この国は著者権に基づいて支払いが行われている。あらゆる著作物について支払いが求められ、図書館自体が支払い義務を負う(実際には設立の公共団体、国)。ほかのタイプでは著作権者当人が亡くなれば、自国の言語文化の維持促進という名分がなくなることから権利は消滅するが、ドイツでは妻などに譲渡される。


・XMDFフォーマットに制作に大きく貢献したのが、シャープの技術者、北村義弘氏(現同社技術本部)だった。XMDFフォーマットをシャープがつくったのは、実はこれを自分たちのPDA「ザウルス」に搭載するためでもあった。


・本は緑を破壊する(中略)

紙はパルブから成り、パルブは木から取り出せれる。つまりは森林からである。紙一トンを作るのに森の大木二〇本を倒さねばならない。


・本は貴重で。聖書のような本もごくわずかな貴族か聖職者しか読むことができなかった。このために多くの人々は文盲のままに、長い間、無知の闇に捨て置かれていた。


・グーデンベルク聖書は現存するものとしては四八部ある。そのなかで生地のマインツで印刷、装飾、製本されたものは三部しかない。日本にやってきたのはその一冊で、一四五五年ごろに印刷されたものだという。(中略)


著名な蒐集家から寄贈されたアメリカの神学校の図書館が所蔵していたものが、たまたま売りに出されたところを丸善が競売で落札し、慶応が購入したのだという。購入価格は公表されていない。(中略)


一九八七年にニューヨークのクリスティーズで五三九万ドル(当時の換算で七億八〇〇〇万円)の価格で落札された。印刷物の落札価格としては世界一のギネス・ブックに載るほどの値段だったというから、その高価さがうかがえる。


・アメリカの最大の図書館はワシントンにある。キャピトルヒルと呼ばれる連邦議会の東側にある議会図書館(中略)で、所蔵物は一億二六〇〇万点を超えるというから、アメリカ最大というより世界最大である。このうち一九〇〇万点が書籍、一二〇〇万点が写真類で、一番多いのは五六〇〇万点の様々な資料(中略)だという。


・「話された言葉は飛び去り、書かれた文章は残る」
人は忘れやすいから、まず書き留めなさいというラテン語の教えである。


・電子書籍が読まれるためには、三つの要素がそろっていなければならない。それはまずデジタル化されたコンテンツ(作品)であり、読むためのハード(読書端末)であり、それを流通させるためのネットワークである。


●書籍『ブック革命~電子書籍が紙の本を超える日』より
横山 三四郎 著
日経BP社 (2003年12月初版)
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