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マーティン・ファクラー 氏 書籍『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(双葉社 刊)より

このページは、書籍『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(マーティン・ファクラー 著、双葉社 刊)から、良かったこと、共感したこと、気づいたことなどを取り上げ紹介しています。


・世界における日本のニュースバリューは、バブル絶頂期の80年代末に比べて確実に低くなっている。あのころの日本は、現在猛烈な経済成長を続けている中国やインドのような存在であり、世界が日本のニュースを求めていた。


・ユーチューブで世界を動かした南相馬市長の叫び(中略)

メディアを使って情報を発信する手段を失った桜井市長は、ユーチューブという新しいメディアを利用することにした。記者やカメラマンの手を借りることなく、自らがニュースの発信者としてチャンネルを開いたのだ。


・世界でも稀に見る「記者クラブ」制度(中略)

新聞やテレビから流れてくるニュースが似たり寄ったりである第一の理由は、当局からの情報を独り占めする記者クラブの存在にある。一方、そこに所属できない雑誌メディアやインターネットメディア、海外メディアの記者はフリーランスのジャーナリストたちは、独自の取材により情報を発信している。


・記者の連合体を「記者クラブ」と呼ぶと同時に、彼らが常駐する詰め所そのものが「記者クラブ」と呼ばれる。この詰め所には記者クラブ加盟社以外の記者は原則的に入ることができず、当局から配られるプレスリリースなどは加盟社が独占する。


・お隣の韓国にも、最近まで日本とよく似た記者クラブ制度が存在した。(中略)2003年、盧武鉉(ノムヒョン)大統領が記者クラブ制度を廃止している。


・島根(中略)鹿島町の元町長にも話を聞いた。この元町長は、当初は原発誘致に反対だったのだが、途中から賛成に転じた人物だ。なぜ原発誘致に賛成したのか。巨額の交付金をもらえるからだ。


・日本経済新聞の紙面は、まるで当局や企業のプレスリリースによって紙面を作っているように見える。言い方は悪いが、これではまるで大きな「企業広報掲示板」だ。大量のプレスリリースの要点をまとめてさばいているだけであって、大手企業の不祥事を暴くようなニュースが紙面を飾るようことは稀だろう。


・日本の新聞では、匿名のコメント率があまりにも高いから驚く。名前をはっきりと明示したコメントは、むしろ少数派だ。これは、発言者は責任をもたず、記事を載せている新聞社も情報の真偽に責任をもたないと言っているに等しい。


・アメリカのジャーナリストの年収は、決して高くない。(中略)ニューヨーク・タイムズの記者(記者経験あり)の平均週給は1777・83ドルで、年収に直すとおよそ9万2000ドル(1ドル=80円で約736万円)だ。これは新聞業界のなかでトップレベル


・求人情報を載せるサイト「simply hired」によると、アメリカの記者の平均年収は約3万4000ドルだという。


・現在、ニューヨーク・タイムズのウェブサイトには、1か月に延べ4500万人以上もの読者がアクセスしてくる。


・ABCに発表によると、印刷版のニューヨーク・タイムズは77万9731、ウェブ版の有料購読者数は80万7026、つまり有料サイトの会員数が印刷版の購読者数を上回っている。読者数の合計は158万6757、前年比73%増という大幅な伸びだ。


・経済の分野に限って言えば、コンスタントに良質な調査報道をしていると思っているのが経済誌の『週刊東洋経済』だ。起業のプレスリリースが並ぶような新聞の経済面に比べ、テーマ選びはタイムリーだし、ずっと踏みこんだ取材をしている。


・海外メディアや雑誌メディア、インターネットメディアに情報を渡さず、記者クラブは「情報の寡占」というビジネスモデルを作り上げてきた。ソーシャルメディアやニコニコ動画といった新メディアが次々に登場してきたことで、その優位性に対して批判の声は日増しに高まった。


・記者クラブメディアの本当の被害者は、私たち海外メディアの記者ではない。日本の雑誌・ネットメディア、フリーランスの記者たちは自由な取材を阻害されている。大手メディアの若い記者は、ジャーナリズムへの志があってもやりたい取材ができない。だが、一番の被害者は、日本の民主主義そのものだ。「権力の監視」という本来の役割を果たしていない記者クラブメディアは、権力への正しい批判ができていない。


●書籍『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』より
マーティン・ファクラー 著
双葉社 (2012年7月初版)
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