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美輪 明宏 氏 書籍『楽に生きるための人生相談』(朝日新聞出版 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『楽に生きるための人生相談』(美輪 明宏 著、朝日新聞出版 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・「見ざる、言わざる、聞かざる」は、人生を無事無難に過ごす為の重要な人生訓です。たとえ家族でもあっても「親しく仲にも礼儀あり」。互いに踏み込みすぎない方が幸せだということです。


・結婚式というのは「決別式」。夢と自由に別れを告げ、今日から夫や子供にため、現実に取り組むという覚悟の儀式です。だからウエディングドレスの白は「死に装束」だと、私は常々言ってきました。


・友達が「もっと理想を下げては」と言った真意は、「あなたはなんぼのものなの」という意味なんです。相談者は「告白された男性に魅力を感じなかった」というけれど、それだけ言えるグレードじゃないことを間接的に言われている。気づくべきですね。


・相談者は「美人は幸せ」と勘違いしています。浅はかですね。人の表面だけを見て、劣等感を持ち、ねたみ・ひがみ・そねみを募らせる。そういう負の思いが顔や振る舞いに出てきて、もっと醜くなってしまいます。


・何をやらせても、水準以上の出来で、料理をやらせても、家事一般もそつなくこなす。知識も教養もあって話題も豊富で面白くて、頭の回転が速くて、人の悪口も不平不満も一言も言わない。まして決して自慢もしない。人をかばう優しさも見せる。


そんな女性は男がホッとするから放っておきません。もてないのなら見た目を追うのではなく、男が求める理想像を勉強して身につければいい。40歳も過ぎればブスも美人も同列に並んじゃう。その時に物を言うのが内面です。


・男女は精神的にも、生理的にも違い、夫婦は考え方が別々であるのは当たり前。そこをどう歩み寄っていくのかというのが結婚生活です。「努力」「忍耐」「あきらめ」以外の何ものでもありません。これこそが結婚の正体であり、本質です。


・近親憎悪というのは、とても強いものです。他人に対する憎しみ、怒りよりも数十倍も強くなる。互いにすべて知った仲で、遠慮が取り払われた関係になると、抑制がきかないのです。


・自分の価値観と、他人の価値観とを、比べることこそがいけません。人間はそれぞれ容姿、容貌が異なるように、内面も全部違います。(中略)バラの花は、スイレンが咲く泥の上では育ちません。個性の違いを認めるなら、その土壌の違いも理解すべきです。


・世の中には神輿に乗る人と、担ぐ人、そのまたワラジを作る人と、それぞれ役割があり、支えあって成り立っていることを理解してください。


・昔、三島由紀夫さんが切腹事件を起こす直前のことです。私の楽屋を訪ねてきました。はっきりは言いませんでしたが、「最後のあいさつ」に来たことがそれとなくわかりましたから、「何で私たちは18年も付き合えたんでしょうね」と聞いたのです。すると三島さんは、「ひざの上に乗るからなでてやったら、図に乗って肩まで上がってくるやつがいる。しまいには頭に上がって、顔までなめるやつがいる。キミにはそういうところが一切なかったからな」と言ったのです。


仲良しだけれども、つかず離れず、それが大人の関係というものでしょう。


・自分の器量が悪いから、それを逆手にとって自虐ネタにして笑いをとるというのは、とても頭がよくないとできないことです。頭の回転がいいということでしょう。


・ひどいことを言われても、笑いながらなんでもないことにするというのは、理性が勝った人間にしかできないことです。これは大きな長所で大いに自慢と思っていい。コンプレックスを持つ必要なんかさらならない。人間の理想の仕上がりの姿です。


・そもそも悪口を言うのは、自分が心の底で抱えている劣等感を優越感に変えようという計算が働いています。自分に自信があり、劣等感のない人は、「あの人すてき」「結構ね」と褒めこそすれ、けなしません。


・上から目線で人の欠点をあげつらうなんてバカの証拠で、滑稽な芝居をしている猿と同じ。


・痛み、苦しみ、悲しみがある。ただ無償の、博愛に精神で来る人ばかりじゃない。


・幸せの数を数えなさい。


・荒れ地には花は咲きません。きちんと、精魂込めて土壌を手入れするからこそ、美しい草花は咲くのです。人間も同じであることを、お忘れなく。


・日本もかつては女性の天皇がさらにいましたし、鎌倉時代の北条政子あたりまでは男と対等に活躍していたのに、儒教が入ってきて「男尊女卑」となった。女をおとなしくさせるための陰謀です。

※補足:ウィキペディアによると、日本では過去に8人10代の女性天皇が存在した。


・人間には向き、不向きがあって、バラにはバラの、ユリにはユリの、スミレにはスミレの咲く土壌がある。土壌が合わないと、枯れてしまうし、咲きません。でのどんな土壌に行っても、「害虫」がいると覚悟してください。上司、同僚、部下、得意先がみんな優しくていい人なんてことはあり得ない。


・環境というのは精神的なビタミン剤ですから大切に考えましょう。(中略)大量生産で無機質なものは、人の手がかかっていないものはガラクタになることが多い。


・「無気力」「無感動」「無関心」の「三無」は珍しい人だと思ったら大間違いで、若い日本人にはこういうタイプが増えてきています。モノが行き渡ったから、「これが欲しい」「必要だ」という欲望が希薄になっているんですね。


・小説でも絵画でも試作でも、芸術家は懊悩するのが常。精神を病んだゴッホも、貧困と持病に苦しんだモディリアーニもそうでした。作家の柴田錬三郎も缶詰めになったホテルの窓から、月に向かってほえ、泣いたといいます。自分の人生やテーマと格闘しながら、難産の末に作品を世に出しているのです。


・「見て見ぬふりはよくない」「注意するべきだ」という人もおるけれど、命を失ってもいいという覚悟でやるべきだですね。(中略)今は凶暴な世の中になっているから、やめたほうがいい。(中略)妙な正義感が一番困ると思います。


・日本では自由と放埓(ほうらつ)を取り違えてしまった。放埓とは好き放題に振る舞うこと。「水は低きに流れる」と言いますが、安易な方向に進んでしまったのです。


・文学で身を立てるというけれど、「好き」と「似合っている」というのは、洋服と同じで違うんですよ。好きだからといって着ると、滑稽な服がある。好きじゃないというものでも、着てみると似合うものはある。仕事も同じ


・お経っていうのは、訳の分からない呪文が書いてあるわけじゃなくて、こういう場合はこう考えなさい、というような例え話ばかり。人生哲学なんですよ。


・幼くして死んだ子というのは、この世での修業が早く終わって、あの世に帰ることができたということなのです。飛び級で優等生なのです。この世に生まれてくるというのは心身ともに過酷な修行、武者修行への出発だから、あの世では「たいへんだねえ」と同情される。


・無垢な魂のまま亡くなると、なかなか行けない高い次元の世界、つまり世俗的に言われる「極楽」とか「天国」と呼ぶ純粋エネルギーの世界にストレートに行ける場合が多い。おめでたいことです。(中略)泣いて嘆くとことは無駄で、向こうに心配をかけ、足を引っ張ることになる。魂の修行の邪魔になる。


・何らかの悩み、痛み、苦しみ、悲しみ、劣等感、ねたみ、そねみ、ひがみを抱えていない人は一人もおりません。それらは何らかの病気であったり、仕事であったり、対人関係であったり、容貌のコンプレックスであったり、経済的、才能、そのほかもろもろの原因があります。


それさえ常に念頭にあれば、人様をうらやみ、落ち込む必要はなくなるのです。人類すべてお互い様なのですから。これがわたくしの、人生を生き抜いてきた生命力の根幹にある考え方なのです。


●書籍『楽に生きるための人生相談』より
美輪 明宏 著
朝日新聞出版 (2015年12月初版)
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