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川島 蓉子 氏 書籍『エスプリ思考~エルメス本社副社長、齋藤峰明が語る』(新潮社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『エスプリ思考~エルメス本社副社長、齋藤峰明が語る』(川島 蓉子 著、新潮社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・エルメスには、“マルチローカル主義”というものが存在する。どの国に進出する時も、それぞれに土地に合わせ、「言葉は現地の言葉で、社長は現地人と人で」言う方針を貫いてきた。「現地のことは現地が一番よく理解できる」という考えにもとづき、その地の慣習を尊重してきたのだ。


・受け継がれてきた企業の文化をデュマ氏は大切にしていた。ただ、記録として残す必要はないし、社外に向かって声高に語るものでもない。社史や企業理念にするのでなく、丁寧に伝えることが重要だと考えていた。


・エルメスには、社史というものが存在しないのです(中略)社史を書くと、それで終わってしまうという考えが、代々、厳しく守られてきたのです


・馬車の需要が減っていく------三代目のエミール・モーリス氏は、馬具という市場が先細りになると危機感を抱いた。優れた技を持った職人たちを活かして、家業を続けていくにはどうしたらいいか。行き着いたのは、バッグやトランクなどの領域だった。


・エルメスは、社員九五〇〇人のうち、職人が四〇〇〇人を占める企業。創業時から職人を尊重してきた結果と言える。そのうちの三四〇人が、バンタンのアトリエで皮革職人として働いている。


・分業ではなく一人の職人が完成まで

エルメスの中でも人気が高い「バーキン」や「ケリー」は、ひとつのバッグを作り上げるのに、優秀な職人でも約一八時間かかる。まる二日以上かけて、一人の職人が作る。


・「僕が考えるエルメスのマーケティングとは、強いて言葉にするなら、作り手の意志と使い手の意志を交流させることでしょうか」


・古臭いとも言えることを、頑固なまでに守り続けてきた。変化していく部分と絶対に変えてはいけない部分を、賢明に選択してきた先にエルメスはある。


・エルメスはライセンス・ビジネスに手を出さなかった。


・日本にいた時は、すべてを切り捨ててフランスに行こうと考えていた。(中略)望んできたパリだが、“来ること自体が目的”だったので、着いてしまったら、やることがなくなってというのだ。


・「ものだけでなく、商品を作っている人や歴史も含めて紹介することが重要と考えたのです」。


・三越には建装部というところがあって、顧客が家を建てる仕事を引き受けていた。


・銀座におけるGILCの結成と活動も事例のひとつだ。「GILC」とは、「Ginza International Luxury Committee」の略、通称「ギルク」と呼ばれる。いわば、銀座における国際ブランド委員会のようなものだ。(中略)


そのひとつが銀座通連合会であり、一九一九年に創設された、日本で最も古い地域企業連合会だという。(中略)


エルメス、カルティエ、シャネル、ティファニー、ハリーウィンストン、バーバリー、ブルガリの七社が集めって、二〇〇二年、銀座通連合会に属する委員会として、「GILC」が結成されたのである。


・「“エスプリ”というものをエルメスが大切にしてきた結果です」------エスプリとは、どのような意味なのか。(中略)


「こういうものを作りたい」という思いが、職人をはじめ、エルメスにはまずある。それが具体的な商品になった時、光が宿って煌めいているように見える。売り場に並び、客に喜んで手に取ってもらうことで、輝きを発している------そんな状況をエスプリととらえている。


・アマン系のリゾートホテル(中略)齋藤が感心したのはその豪華さではない。部屋に入ると、設備は近代化させているものの、扉や電灯などが手動になっている。窓を手で押し開けて戸外の緑をのぞむ、電灯のスイッチをひねって明かりを灯す(中略)


少々面倒でも、窓の閂(かんぬき)を開けたり、スイッチを入れることで、風や光の存在を感じることができる。(中略)


便利すぎることで、置き去りになっていくものもある。


・繊細な感性を備え、きめ細かくまじめなモノ作りを積み上げてきたのが日本である。その土俵から、豊かなもの、質の良いものを、国内に留まらず世界を視野に入れて送り出していく。


・「プティ・アッシュ」とはな何なのか。(中略)落ちこぼれたものを異なる観点から眺め、まったく違うものに変えることを意図した」というように、リメイクやリユーズという考えを、エルメスならではの視点で読み直したもの(中略)どれをとっても一点もので、同じ製品が二つとない。


・生業である“馬具作りの技”を貫きながら、時代の変化に対応するために、新たな商品分野を切り拓いたのである。生業とは、「世わたりの仕事。家業」を指す。


・“使う豊かさ”を提案する(中略)

富裕の象徴としてエルメスを買って見せびらかすのではなく、自分の価値観の表現形態としてエルメスを手に入れる。ワンシーズンで終わることなく、長きにわたって使っていく。


・外国から日本に帰ってくると、日本という国には、清潔、安全、親切、繊細、自然を敬うなど、多くの美点を感じるという。その大半は、今の西洋から失われつつある。


●書籍『エスプリ思考~エルメス本社副社長、齋藤峰明が語る』より
川島 蓉子 著
新潮社 (2013年4月初版)
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