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木村 俊介 氏 書籍『善き書店員』(ミシマ社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『善き書店員』(木村 俊介 著、ミシマ社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・本屋のイメージって、好きな本を並べて、ちょこちょこ棚を整えてという感じかもしれませんが、ほぼ肉体労働ですよ。重いものを運ぶ場面が多いので、腰を痛める書店員さんはかなります。

佐藤順子さん/ジュンク堂書店仙台ロフト店


・本って、読んだあとに人が思うことは別ですよね。同じ本なのに、読んだ人のそれぞれの中では違う物語が生まれるともいえる。

佐藤順子さん/ジュンク堂書店仙台ロフト店


・個人的な好みでいえば、出版社さんとかから送られてくるような「泣ける!」みたいなのはあんまり好きではないですね。(中略)

ポップとしては「この人、ほんとにこの本が好きなんだな」とわかるものがいいな、と。愛しているんだなと伝わってくるのはじっと見てしまいます。

佐藤順子さん/ジュンク堂書店仙台ロフト店


・書店あるある話(中略)

「新刊のあれ」というお問い合わせは、お客さまが新しく知ったという意味での新刊なので新刊でないことが多い(中略)

「最近出た赤いやつ」と表紙の色だけ伝えてくださるかたもいますよ。

佐藤順子さん/ジュンク堂書店仙台ロフト店


・山下書店には独特のカバーの折りかたがあって……本のブックカバーにさっと折りたたんだ書店のカバーをかけるんじゃなくて、本そのもののカバーの表と裏を利用して書店のカバーを折りこんで一体化させてから本にかける。(中略)

本と本のカバーをはじめから完全に分離させる、有隣堂さん的なやりかたではなく、本のカバーの折り目を利用して折りこむ方法です。あそこまでのはさみこみではない。

小山貴之さん/東京堂書店神田神保町店


・年間に何枚のスリップ(中略)をかせいだかで、それぞれの文庫のレーベルごとにランクがついたりつかなかったりするんです。売り上げが充分にないと、ランクはつかないということですね。

小山貴之さん/東京堂書店神田神保町店


・競合というよりは棲み分け(中略)

どちらかが生き残るってわけでなく、おたがい協力して土地として活力のある町になってくれたほうがいいんじゃないか。そう考えたわけです。

小山貴之さん/東京堂書店神田神保町店


・ここ神保町からも、最近では専門書をあつかうところが減ってきている中では、やっぱりいわゆるベストセラーの品揃えなどよりはむしろ、ここでしかお目にかかれないようなものを前に出していくのがいいんじゃないかな、なんて思いながら楽しく働いています。

小山貴之さん/東京堂書店神田神保町店


・今の時代、ぼくのやりかたで町内だけを相手にしていたら成りたたない。立地条件からいって「わざわざ来てもらう」を前提にしているんですね。

堀部篤史さん/恵文社一乗寺店


・たとえばうちの店とのつかあいのある出版社さんでいえば、「ミルブックス」さんなんて買い取りだと本の定価の六がけでおろしてくれる。うちは、そこから買ったもので返品なんてしたことないですよ。

堀部篤史さん/恵文社一乗寺店


・業界の問題点でもあるのですが、返品が多いので、出してはさげて返品をというその作業量の多さが、あれって精神的にもしんどいわけです。

藤森真琴さん/廣文館金座街本店


・いまでも、私はアルバイトさんの面接をする時にはそこを見ます。ほぼ一〇〇パーセントのかたが「本が好きだから」といいますし、そこは本屋で働く以上は大事な要素のひとつではあるのでしょうが、それよりは、人と接することが好きだとか、お客さんがよろこんでくださるのが好きだとか、そういう人のほうがいいですね。

藤森真琴さん/廣文館金座街本店


・私たちの年代の書店員が入社した頃から流行りだした「しかけ販売」という一点積み売りかたがあって、ひとつの本を山積みにしたり多面で展開したりするんですね。(中略)

でも、いまはもう完全にそのやりかたが通用しなくなっていて、展開も小さいほうにどんどん向かっててきたんです。(中略)

なにかこう、これでよりこれまでよりはもっと丁寧な商売をしていく世界に入ってもいるのではないかとも感じます。逆に、成熟していって、それぞれのかたにあったものを、お客さまをじーっと見ることでちょっとずつ提供していくことができるようにもなったのだな、と。

藤森真琴さん/廣文館金座街本店


・取次からは純送についての連絡がきていた。純送ってわかりますか? 毎月の仕入れから返品ぶんを差し引いた支払いの額のこと

長崎健一さん/長崎書店


・能力もお金もありませんので、そこで現実的に参考になったのが福岡のブックスキューブリックさんでした。(中略)

お店自体は十三坪ほどのことで小さいのですが、私には一冊ずつが輝いて見えました。棚を埋めるために本を入れているのではなく、置きたい本があってそれを並べていったらこうなりましたというように思えたんです。

長崎健一さん/長崎書店


・やっぱりいちばんのキモは「なにを新しくやるのか、その代わりになにをやめるのか」の選択ですよね。そこでまずは計画書には「外商をやめますと」と書きました。赤字部門でしたし、お店に経営資源を集中しますということです。

同じように中途半端を廃するということでやめたのはアダルト雑誌のあつかいですね。これも、なにも文化的な店舗を目指すからいやだとかいうことでもなくて、なによりもなぜ入ってきているのかもわからない状態で「なんとなく」並べていたものだったからなんです。

長崎健一さん/長崎書店


・すべての本は置けないからしぼらざるをえない……というところから出発されて売り場を構成しているので、選びかたが、限られた規模の中で置きたいもの、この店が置かなければならないものと検討していて、姿勢が正しいなと感じていたんです。

長崎健一さん/長崎書店


・ギャラリーなんてやったことがなかったし、自分に運営ができるのだろうかとは思いましたが、「熊本県内の作家さんの企画展をやったり、県外の作家さんなら本にしたものの原画展なんてやったら有効だと思いますよ」と話をいただいたこともあり、最終的には計画書にもそれをリニューアル計画の核心部分として前面に押し出すことにしました。

長崎健一さん/長崎書店


・「うちではこういう本が売れるんだ、お客さんに求められているんだ」と現実と理想の折り合うところを見つけていった

長崎健一さん/長崎書店


・売り場って自意識で作るものなんじゃないよな、地域のみなさんとつながっていく町の本屋なのに、おれはなんでよそゆきの店を作ろうとしていたんだ、と。

長崎健一さん/長崎書店


・小規模な出版とされるような本でも、これはというものがあれば神田村など小取次(東京出版物卸業組合)を利用して取り寄せたりもしているわけです。

長崎健一さん/長崎書店


・人文系の版元さんに「二冊も売れましたよ」と伝えると「よその書店では二冊しか売れないといわれるんですけどね……」という反応もありました

長崎健一さん/長崎書店


・定期刊行物である雑誌というのは、内容がとぎすまされているほど、ある特定のジャンルの本をきちんと買ってくれるお客さんを、お店の中に連れてきてくれるんですよね。

長崎健一さん/長崎書店


・長崎書店のモットーというのがあるわけですね。敷居は低く、間口は広く、奥が深くて質の高いお店を作ろう、という。

長崎健一さん/長崎書店


・「われわれはなにを価値として出すのか」については、店を続けていくならかならずどこかで向き合わざるをえないじゃないのかなと思います。

長崎健一さん/長崎書店


・八木書店の地下は百数十坪あるところがバーゲンブックスで埋めつくされていますよね。

長崎健一さん/長崎書店


・ちょっとしたことで売れるんだなと思ったのは、たとえばずっと売れていなかった本のそばに出ている展示物がよごれていたのでとりかえてみたら売れはじめたとか、そういうことです。

高頭佐和子さん/丸善・丸の内本店


・大賞に選ばれた一冊の本を推薦したいというよりは、それをきっかけにさまざまな本の存在をあらためて知っていただきたいというのがまずあったわけです。本屋大賞

高頭佐和子さん/丸善・丸の内本店


・ブックアドバイザーといってお客さまが探している本や次に読みたくなる本について相談に乗ることもしている

高頭佐和子さん/丸善・丸の内本店


・ほかの書店ではパートさんとかアルバイトさんは二年経ったらやめなければならないようなシステムになっていたりするところもあるようです。

佐藤純子さん/ジュンク堂書店仙台ロフト店


・フィクションは創作、想像されたもの、ノンフィクションは事実をあつかうものという分かれたかをしている


●書籍『善き書店員』より
木村 俊介 (著)
出版社: ミシマ社 (2013年11月初版)
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