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岡本 茂樹 氏 書籍『反省させると犯罪者になります』(新潮社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『反省させると犯罪者になります』(岡本 茂樹 著、新潮社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・犯罪者に反省させるなーーー。「そんなバカな」と思うだろう。しかし、犯罪者に即時に「反省」を求めると、彼らは「世間向けの偽善」ばかりを身に付けてしまう。犯罪者を本当に反省に導くのならば、まずは「被害者の心情を考えさせない」「反省は求めない」「加害者の視点で考えさせる」方が、実はずっと効果的なのである。


・「周囲に迷惑をかけた」と言って謝罪する気持ちと、「覚醒剤を使用した自分自身の罪を考えること」とは違います。「自分が本当に悪いことをした」と心から思えることは、そんなに簡単ではありません。


・ロールレタリングとは、架空の形で「私から相手へ」の手紙を書いたり、ときには「相手から自分へ」の手紙を書いたりすることによって、自己・他者理解を図る心理技法です


・誤解がないように言っておきますが、私は何も被告人に対して「反省しなくていい」と言っているわけではありません。言いたいのは、裁判という、まだ何の矯正教育も施されていない段階では、ほとんどの被告人は反省できるものではないということです。


・どうすればいいのでしょうか。方法は一つしかありません。反省させてはいけないのです。被害者に対して不満があるのであれば、まずはその不満を語らせるのです。(中略)

本音を語らないかぎり、受刑者は自分の内面と向きあうことができません。


・子どもの問題行動はチャンスなのです。親は、なぜ子どもが問題行動を起こしたのかを考える機会を与えられたと考えるべきです。


・抑圧は「爆発」のエネルギーを貯金していることと同じです。抑圧が大きければ大きいほど、また抑圧していた時間が長ければ長いほど、大きな爆発のエネルギーが「貯金」されていくので、問題行動の出方も大きなものとなります。


・人は、自分が人にされたことを、人にして返す


・問題行動はヘルプの信号です。和子の「しんどさ」をキャッチして、反省させるのではなく、ケアする視点が必要です。そうすれば、連鎖は断ち切れます。


・反省させるだけだと、なぜ自分が問題を起こしたのかを考えることになりません。言い換えれば、反省は、自分の内面と向き合う機会(チャンス)を奪っているのです。問題を起こすに至るには、必ずその人なりの「理由」があります。


・相手に対する不満があると、前に進めません。不満感情が心のなかでずっとくすぶっているので、新しい気づきが違った価値観が得られません。


・なぜ受刑者は殺人などの重大な事件を起こせるのでしょうか。(中略)自分を大切にできない人間は他者を大切にすることなどできません。逆に言えば、自分を大切にできるからこそ、他者を大切にできるんです。


・幼少期に虐待を受けていた受刑者が私に言ったことがあります。「私は父親に殴られて育った。だから痛みには強いんですよ」と。私は「痛みに強いのではなくて、痛みに鈍感になっているんですよ」と返しました。受刑者はハッとしました。自分の痛みに鈍感になっている人間に、被害者の心の痛みを理解させることなどできません。自分の心の痛みを理解しそれを吐き出して、はじめて被害者の心の痛みが心から理解できるようになってくるのです。


・人に頼って生きていくことができれば、彼らは「人」の存在の重要性に気づくことが期待できます。そのとき、自分が殺害した被害者の「命の重み」にも思いが至ります。


・薬物から離脱するための民間団体であるダルクを創設した近藤恒夫は、「クスリを断とうと思うなら、弱かったと反省するのではなく、もっと自分を知り、弱かったと思うなら、なぜ弱かったのか堀りげることだ。クスリに手を出す人は心の痛みを持った人だ。自分はどんな痛みを持っているのかを考えることだ」と述べています


・確かに「我慢できること」「1人で頑張ることを」「弱音を吐かないこと」「人に迷惑をかけないこと」といった価値観は、社会生活を送るうえでは必要なことです。(中略)

しかしこれらの価値観は、子どもに(大人にとっても)生き辛さを与える側面があることに気づいている人は少ないでしょう。「我慢できること」は見方を変えれば、「自分の気持ちを出さ(せ)ないこと」になります。そうするとストレスがたまっていき、爆発(犯罪が心の病気)を引き起こすことになります。


・「1人で頑張ること」が大切だとたたき込まれた者は、「1人で頑張れば途中であきらめてしまう人」や「他者にすぐに助けを求める人」を目にするとイライラします。「弱音を吐いてはいけない」と言われた者は、すぐに泣きごとを言う人を許せなくなります。「人に迷惑をかけないこと」が当たり前と思ってる人は、「人に迷惑をかけられる人(=人に甘えられる人)」を見ると、腹が立ってくるのです。相手に対して抱く不快感は、自分の心の中に植え付けられた価値観の原因となっているのです。

自分のなかに、正しいと思って刷り込まれた価値観が多ければ多いほど、他者に対して「許せない部分」が増えていきます。そうすると他者との間で良い人間関係が築けないどころか、いじめにまで発展していく場合があるのです。その最悪の結果が、いじめによる犯罪なのです。


・受刑者の場合、力に対して力で対抗してばかりいたら、何度も犯罪を起こすことになりかねません。「逃げる」ということをも学ばないといけません。


・「もう中学生になったんだから」「もう大学生なんだから」「もう成人だから」といった言葉の裏側には、いつまでも「子どもっぽさ」を持っていることはダメというメッセージが込められています。「子ども」なのに「大人」として振る舞うことが求められているのです。


・非行に走る少年がタバコを吸ったりシンナーに手を出したりして、無理に「大人であること(=男らしさ)」を強調して皆の注目を浴びようとする背景には、「子どもっぽさ」を受け止めてもらえなかった悲しみや辛さがあるという見方ができます。


・問題行動を起こす人は、「ありのままの自分」ではいけないというメッセージをたくさんもらった人ということになります。


・指示・命令に従えたら「いい子」で、従わなかったらダメな子。(中略)親の期待に応えられたら「いい子」で、期待に応えられなかったらダメな子。(中略)

問題行動の原点は「条件付きの愛」のなかで子どもが育ってきたということにあるのです。


・たとえば、「親なんだから、子どもの前では弱音を吐いてはいけない」と思い込んでいると、子どもは弱音を吐けない人間になるかもしれません。人間は皆、弱い生き物です。


・問題行動の背景をいっしょに考える(中略)

叱るという態度ではなく、受容的な態度で臨みます。まずは「日頃から思っていたことを自由に話してくれないか」と切り出しみましょう。


・子どもが本音を話しているときに、絶対に言ってはいけないことがあります。正論です。「お前の考えは間違っている」「未成年なのにタバコをすることは許されない。身体にも悪い」や「このままだと、いい学校にいけなくなる」などといった説論(せつゆ)です。


・更生とは、字が示すように、「更に生きる(=立ち直る)こと」を意味するわけで、「誤りを正す」という「更生」ではありません。


・実は、「怒り」の感情の奥底には、自分を受け入れてもらっていない(=愛されていない)「寂しさ・悲しさ」といった感情があるのです。とくに日本人は「寂しい」という感情を出すことが苦手なようです。寂しいという感情をうまく出せないと、怒りの感情に変わります。


・チリも積もれば山となります。ちょっとした「しんどさ」があっても、誰にも言わ(え)ず我慢し続けると大きな爆発につながります。犯罪者は人の何倍も我慢を積み重ねてきた人なのです。


・日本の少年や成人による殺人事件の件数は、先進国のなかではダントツに低く、一向に増加していません。言い方は悪いですが、日本人は「人を殺さないこと」で有名なのです。しかも日本は殺人未遂も殺人件数としてカウントしています。


●書籍『反省させると犯罪者になります』より
岡本 茂樹 (著)
出版社: 新潮社 (2013年5月初版)
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