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高橋 秀実 氏 書籍『「弱くても勝てます」~開成高校野球部のセオリー』(新潮社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『「弱くても勝てます」~開成高校野球部のセオリー』(高橋 秀実 著、新潮社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・苦手と下手は違うんです。苦手は自分でそう思っているということで、下手は客観的に見てそうだということ。僕の場合は苦手ではないけど下手なんです


・ーーーその、一般的になセオリーというのは……。

私がたずねると彼は即答する。答えが瞬時に引き出されるようだ。

「例えば打順です。一般的には、1番に足の速い選手、2番はバンドなどを小技ができる選手、そして3番4番5番に強打者を並べます。要するに、1番に出塁させて確実に点を取るというセオリーですが、ウチには通用しません」

ーーーなぜ、ですか?

「そこで確実に、1点取っても、その裏の攻撃で10点とられてしまうからです。送りバンドのように局面に確実性を積み上げていくと、結果的には負けてしまうんです」(中略)


一般的なセオリーでは、8番9番は打てない『下位打者』と呼ばれていますが、輪として考えれば下位も上位もありません(中略)

「8番9番がまずヒットやファーボールで出塁する。すると相手のピッチャーは、『下位打者に打たれた』あるいは『下位打者を抑えられなかった』とうろたえるわけです。そこで1番打者。間髪を入れずにドーンと長打。強豪校といっても高校生ですから、我々のようなチームに打たれれば浮き足立ちますよ。そして、ショックを受けているところに最強の2番が登場してそこで点を取る。


・「すごく練習をして上手くなってもエラーすることはあります。逆に、下手でも地道に処理できることもある。1試合で各ポジションの選手が処理する打球は大体3~8個。そのうち猛烈な守備練習の成果が生かされるような難しい打球は1つあるかないかです。我々はそのために少ない練習時間を割くわけにはいかないんです」(中略)

開成の練習はそのほとんどがバッティングだった。


・「球を捕るという行為にはふたつの局面があるということです。ひとつは球を追いかける局面。捕りやすい所に自分が移動するという局面です。そして、そこでいつまでも追いかけていくんじゃなくて、今度は球を捕る局面です」


・グランドでの練習も雨が降れば中止である。貴重な練習時間なので休むわけにはいかず、選手たちは柔道場で「シャトル打ち」などをする。シャトルとはバトミントンのシャトル。2人1組になって一方が投げるシャトルをもう一方がバットで打つのである。(中略)


これは1種のメンタルトレーニングにもなっていた。(中略)ひいては、球が来るまでの時間を長く感じるようにするための精神修行なのである。


・プロになる環境としては、ここは最悪じゃないですか。設備もないしグランドも使えないし。でもなんていうか、ここで頑張れたら、この先どこでもやっていける感じがするんです。実際、プロで活躍してる人の多くは野球のエリートコース出身じゃないでしょ。プロって自己管理が大切だと思うんです。


・僕は練習はしすぎるとよくないと思うんです。練習することが当たり前になって、『明日やればいいや』とか考えて、集中力が欠けて意識が下がるような気がするんです。練習試合にしてもあんまり多くやると、だんだん勝ちへのこだわりも薄れていく。


・「とにかく今の学校教育はムダをさせないで、役に立つことだけをやらせようとする。野球も役に立つということにしたいんですね。でも果たして、何が子供たちの役に立つのか立たないのかなんて我々にもわからないじゃないですか。社会人になればムダなことなんてできません。今こそムダなことがいっぱいできる時期なんです」


・「グラウンドを練習ではなく、『実験の場』として考えるんです。あらかじめ各自が仮説を立てて、それぞれが検証する。結果が出たらそれをまたフィードバックして次の仮説を立てることに利用する。このサイクルを繰り返していくうちに、それぞれがコツをつかみ、1回コツが見つかれば、今度はそれを繰り返して体得する。そこで初めて『練習』と呼ぶにふさわしいことができるんです」


・俺が俺が(中略)

「は」ではなく「が」の勝負。ちなみに、この「が」を使った文章は「現象文」と呼ばれている。現象を客観的に描写した文なのだが、我が事に当てはめると強い意志に転じる。野球を「物理現象」としてとらえる開成にはピッタリの表現だし、これは国語の重要なポイントではないか。


●書籍『「弱くても勝てます」~開成高校野球部のセオリー』より
高橋 秀実 (著)
出版社: 新潮社 (2012年9月初版)
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