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黒田 清 氏 書籍『新聞記者の現場』(講談社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『新聞記者の現場』(黒田 清 著、講談社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・サツ回り(中略)

警察本部


・取材は自分で動き、しかも“権威“も回って、自分との違いを調べ、その上で自分で書くというのが正しい。しかし、始めから警察や消防という“権威“を回って現場を後にするというような本末転倒していない点は、自分のことながら立派であると言っていいだろう。


・新聞記者の原点は何かと問われれば、それはサツ回りにあると答える記者が多いのではないだろうか。サツ回りとは、都会の中の所轄警察、東京と言えば新宿署とか上野署、大阪なら曽根崎署、南署、阿倍野署といった所を担当にして動く警察担当記者のことをいう。


・所轄警察(中略)

署員二百人前後というのが普通である。署の組織はあとで述べる警察本部に準じており、署長、副署長以下、総務課、刑事課、防犯課、警ら課、警備課、交通課の六つに分かれている。


・東京都に警視庁があるほかは、都道府県単位で警察本部があり、その下に所轄警察署がある。

本部の機構は大きく分けて警務、総務、交通、警ら、警備、防犯、刑事の七つの部がある。


・普通、社会部でサツ回りを何年かやると、その適性に応じて警察本部詰め、クラブ詰め、遊軍記者などへの異動がある。また政治、経済、文化、整理といった他部への移動もある。


・遊軍というのはもともと軍隊用語である。軍隊では、戦列の外にあって時機を見て見方を援護したり、敵を攻撃する遊撃退のことを遊軍と呼んでいた。だから新聞社では、一定の部署につかず、平素は控えていて、いざという場合に動く記者にその名をつけた。名前の感じからいつも遊んでいるような印象を受けるが決してそうではない。


・通信部というのは、新聞社が全国に張りめぐらした取材網の一つである。


・本記というのはニュースの本筋、事実を純客観的に書く記事。雑感とは本来、いろいろの感想という意味だが、新聞用語では、本記周辺を彩る記事で、いくらかの主観、感想をまじえてもいいとされている。


・地方部と社会部というのはどの社でもある程度のライバル意識があり、これがうまく作用すると紙面が冴える。


・本当に読者の心を打つのは、言葉ではなく、事実なのだ。だから、遺族の中で、訴えるに足る事実を持っている人を探すことが一番大事ということになる。


・取り上げる一組がどれでもいいわけではない。小さい時から苦労して育ってきた人の場合が一番人の心を打つ。


・何もかも報道しようとしている焦りのようなものがよくわかる。私の方法は一つを狙い、ほかはすべて捨ててしまうことである。徹底的に取材した一つの話は、間違いなく、全般を報じた記事より、深く読者の心に訴えると思うからである。


・勉強ー体験ー記事というパターンは、このあと私が繰り返して経験することになるのだが、この自分で体験しようという気持ちは、特に遊軍記者の場合、必要であると思う。


・インタビューにはいくつかのケースがある。

1 取材現場で会う無名の人から話を聞く場合。
2 ある特定の目的を持って、時間を設定して事件の関係者、有名人、専門家などに会う場合。
3 双方いずれかの都合によって、面談ではなく、電話による場合。
4 インタビューそのものをそのまま記事にする目的で会う場合。
などである。


・私はインタビューのコツといったものを一つ持っている。これは相手と同じ大きさの声で話すということである。


・インタビューのコツ(中略)

逆にひそひそと話す人には、こちらもひそひそと質問した方がいい結果が出る


・たとえば自転車の部品メーカーが大きく分けて十六業種あり、そのなかでベル業界が一番弱い


・特ダネはあくまで、相手から与えられる発表記事と対立的立場にあるものであり、記者の主観によってはじめて明らかにされる記事である。


・特ダネと言えば警察や検察の捜査の内容をすっぱ抜いて他社のハナを明かすのが、第一級とされていた。


・小さな家庭の幸せを破壊する一番大きなものは戦争だと思う。自分の意思に関わりなしに、家庭が離れ離れになってしまう。そんな不幸な家庭をいっぱい作り出すのが戦争である。


●書籍『新聞記者の現場』より
黒田 清 (著)
出版社: 講談社 (1985年5月初版)
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