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櫻井 武 氏 書籍『食欲の科学~食べるだけでは満たされない絶妙で皮肉なしくみ』(講談社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『食欲の科学~食べるだけでは満たされない絶妙で皮肉なしくみ』(櫻井 武 著、講談社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・ヒトの食欲は明らかに脳の問題であることがわかってきている。「食欲」は究極的には脳がつくっているものである。脳が食欲を生み出すことによって私たちは空腹を感じているのだ。


・つまり、体重というのは一定に保たれる性質が本来あるものなのである。


・ロックフェラー大学のジェフリー・フリードマン教授らの研究グループであった。フリードマンらは、脂肪細胞から分泌され、視床下部にはたいていて食欲と体重の制限に絶大な機能果たすホルモン「レプチン」を発見したのである。


・「レプチン抵抗性」という概念をもち出すことによって説明されている。肥満になると、レプチンのはたらきが弱くなってしまうために体重の制御がうまくいかなくなり、体重を元に戻せなくなるというわけである。そのメカニズムはいまだによくわかっていない


・レプチンの血中濃度が下がればこの抑制がはずれて、食欲が惹起される。アクセルから足を離させ、ブレーキを踏ませるのがレプチンであるとイメージしていただければいいだろう。


・動物は食事を摂らないでいる時間が長くなる、つまり絶食状態が続いて体内のエネルギーレベルが下がると、活動量が増えていく。一見、エネルギーが足りないのならじっと休んでいたほうがいいように思えるが、それは間違いである。


・レプチンは体重を一定に保つためのホルモンであり、食欲を抑えるだけではなく代謝もコントロールしている。代謝をコントロールするには自律神経や内分泌系を制御しなければならない。


・あるヒトが太ると、その友人が太る可能性は57%高くなるというのである。(中略)

コロラド大学の研究者たちの報告によれば、実際には正反対のことが起こるという。肥満者の写真を見たあとでは、被験者はより多くのカロリーをとるようになるのというのだ。


・「別腹」は『広辞苑』にも2008年刊行の第六版で初めて登場した比較的新しい言葉のようだ。まさに飽食の時代にふさわしい新語なのかもしれない。


・「別腹」って本当にあるの? (中略)

いくらおいしいものでも、食べ続けていると飽きてくる。(中略)

フランス料理のフルコースでは、魚料理と肉料理の間に、口直しのためにシャーベット状の氷菓(グラニテ)が供される。これも、まさにマンネリを防ぎ、食欲を持続させるはたらきをしている。このように報酬予測誤差がゼロにならない工夫をするのも、料理の腕の見せ所ともいえる。


・「別腹」は、食欲にはエネルギーの側面からだけではなく、報酬系への充足と言う側面があることを如実に示す例といえるだろう。


・ヒトが味を感じるとき、嗅覚が非常に大きく影響している。ヒトは鼻腔の後方から入ってくる食べ物の匂いを感じることができる唯一の生物である。


・さらには歯ざわりも、食べ物の好き嫌いを決めるファクターのひとつだ。これも歯根膜や顎を動かす筋肉などからの感覚は三叉神経によって脳に伝えられる結果を「好き」「嫌い」と判断しているのである。


・食欲の制御は可能か?


・レプチンは満腹感を演出して食欲を抑制するというよりは、その血中濃度が減ることがエネルギー不足を意味して飢餓感をもたらすという側面が大きい。


・現在使われている食欲抑制薬

シブトラミンは米国で1997年に肥満治療薬として承認された薬物である。(中略)

シブトラミンはまた、交感神経系のはたらきを高めることによって、代謝レベルも高める。これも体重を低下させるためには役立つ効能のである。ただし心臓に負担がかかるため、よいことばかりとはいえない。(中略)

かねてから指摘されていた、心血管疾患リスクの増加などを懸念してのものだ。(中略)

こうして現在では、食欲抑制薬として認められているのはマジンドールのみとなった。この薬物は肥満度70%以上、BMI35以上の高度肥満者に対してのみ保険適用になる。(中略)

食欲を抑制する薬物にはさまざまなリスクがあり、安全性にも問題がある。とくに精神神経症状には要注意が必要だ。


・食欲のコントロールは、ときに外科治療の対象にさえなる。いや、極度の肥満が多い米国では、ルーワイ胃バイパス手術はもはや標準的な治療法となっている


・食欲とは、性格や人格まで面包括したものである


・「食」という字は、「人」を「良」くすると書く。空腹でイライラした気分も、食べればおおらかになる。ヒトにとって「食」とは、精神と密接に結びついたものである。


・野生動物には肥満はないが、人間には肥満がある。「食」がエネルギーの補充のためではなく「よりおいしいものを」という報酬の側面を強めたとき、そしてリスクなく食べ物を食べられるようになったとき、食欲は制御することが難しい魔物になってしまったのかもしれない。


●書籍『食欲の科学~食べるだけでは満たされない絶妙で皮肉なしくみ』より
櫻井 武 (著)
出版社: 講談社 (2012年10月初版)
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