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里見 蘭 氏 書籍『ミリオンセラーガール』(中央公論新社 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『ミリオンセラーガール』(里見 蘭 著、中央公論新社 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・「これも注文カードだが、本のタイトルが印字してあるスリップとちがって、書名の欄には自由に記入できる。こいつは、俺たち書店営業が肌身はなさず持っていなくてはいけない、必携ツールだ。その名を、タンザク。こいつにじゃんじゃか部数を書き込んで、バンセン印をばんばん押してもらうのは、アナログなりの醍醐味だぞ」


・販売促進のために作成するポスターやのぼりなどを、拡販材料、略して拡材という。


・出版社と書店の間に口座はない。つまり、直接取引しているわけではないんだ


・書店営業の本質は、戦争よ。領土争いという名のね(中略)わたしたちはね、本屋の棚というかぎられた空間を奪い合うために日々戦っているの。(中略)あんたの仕事は、敵の出版社たちから少しでも多くの棚をぶんどってくること。


・書店に営業をかけるさい、新刊にはみなランクがつけられている。出版社として一番のお薦めで平台推奨のSランクから、A、B、Cときて、最低のDランクあるいは無印までな。市場原理ってのはシビアだぜ。売れない作家って烙印押されたら、大変だぞ。


・出版社の名前にはまぎらわしいものが多い。朝日出版社と朝日新聞出版。文藝春秋と文芸社と日本文芸社と芸文社。中央書院と中央出版と中央図書出版社と中央公論新社と中央法規出版と中央経済社と中経出版。青弓社と青土社と青山社と青志社。青幻舎もあって、こちらは幻冬舎や冬弓舎とまぎらわしい。創元社と創樹社と創美者と創文社。おっと、東京創元社もある。光文社と恒文社と弘文社と弘文堂と吉川弘文館と高文研と光文書院と光人社。なんだか目が回ってきた。


・本って、小売業のなかでも粗利率が低い商品なんです。四百二十円のコミック一冊売って、書店の利益って四十円とかそんなもんですよ。その一冊を電話注文して待たされたら、電話代だけで吹っ飛んじゃいますー


・本は一冊でも独立、完結している。と同時に、あらゆる本はなんらかのかたちでつながっている。たとえば、夏目漱石の『坊っちゃん』。作者である漱石の研究書はもちろん、同時代に書かれた小説も『坊っちゃん』とつながっています。


・POSデータにだって弱点がある。全国的に売れているものばかり集めたって全部は売れない。売れないものが隣にあってこそ売れる本もある。組み合わせの妙ってやつだ。データじゃそこまではわからない。だいいち、全国的に売れてる本がいい本だとはかぎらんのだぜ。売れる本を売れる場所におけば売れるに決まってるし、そんなことばかりしていたら、売れるに決まっている本しか売れなくなっちまう。それより、全国的に売れていない本をバンバン売るほうが、面白い


・返本が起こるパターンのひとつは、配本時の調整が原因ですよね。減数されるのがこわいから、書店は多めに見込み発注する。逆に出版社側としては返本が怖こわいから、調整する。減数された書店は今度はもっとたくさん注文して---完全な悪循環


・僕が知るかぎり、辰巳さんがPOPを書いた小説で、単行本でも刷り部が七万部を割ったったものはない。これは、信頼性の高いデータだ。こういうの根拠と呼ぶんだよ


・伊ノ國屋さんも角善さんも四省堂さんもジャンプ堂さんも(中略)『七里ガ浜奇譚』を法人対応して全国展開してくれることになりました。


・本のベストセラーもおなじだ。あるところを超えると、売れているというただそれだけの理由でさらに売れるという現象が起こる。いずれにしても、勢いがついた状態から加速するのはたやすいわな。一番重くて一番大変なのは、最初の一歩だ


●書籍『ミリオンセラーガール』より
里見 蘭 著
出版社: 中央公論新社 (2013年4月初版)
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