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橋本 之克 氏 書籍『世界最前線の研究でわかる! スゴい! 行動経済学』(総合法令出版 刊)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『世界最前線の研究でわかる! スゴい! 行動経済学』(橋本 之克 著、総合法令出版 刊)を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・心理学は心と行動を研究する学問ですから、人間の不合理性の分析も進んでいます。


・行動経済学の魅力を簡単にまとめると以下の三つです。

●セルフコントロールができる自分になる(中略)
●人間関係がスムーズになる(中略)
●社会や企業の改善に役立つ


・駅から地上につながる階段を、ピアノの鍵盤のようにデザインしました。色を塗り、センサーを取り付け、上り下りして階段を踏むたびに、スピーカーから鍵盤の音階に合わせた音が出るようにしたのです。(中略)

人びとに体を動かしてもらうために、エスカレーターではなく階段を使うように促したのです。その結果、階段を利用する人が66%増加しました。


・英国においてナッジを活用したのは、デーヴィット・キャメロン元首相です。(中略)米国でも2015年にオバマ前大統領が大統領域令によって、行動経済学を政策に用いる戦略策定に指示を出しました。日本でも環境省、経産省などがナッジに関する実証実験などを始めています。


・ナッジの仕組みとは、選択者の自由意志への影響をなくし(少なくし)つつ、合理的は判断へと導くというものです。これを「選択アーキテクチャー」と呼びます。


・A:今年度、受診された方には、来年度もキットをお送ります
B:今年度、受診されなかった方には、来年度はキットをお送りできません(中略)

A(中略)訴求では22.7%、B(中略)の訴求では29.9%が受診する結果になりました。(中略)

「損失」を訴求した方が強く行動を促す結果となりました。この背景には、行動経済学における「損失回避」の心理が働いていたと考えられます。


・ナッジは、税、罰金、報酬のような強制的な仕組みを使いません。あくまで「自由を守る」ものでなければならないのです。


・なぜ人はソーシャルゲームにハマってしまうのか? (中略)

ロジェ・カイヨワの4項目に従えば、ソーシャルゲームでは以下四つのフィールドバックが得られると言えそうです。

●競い合った結果の報酬
●予想外の発見
●自分以外になる経験
●日頃と違う特殊な体験


・なぜ人はソーシャルゲームにハマってしまうのか? (中略)

具体的には、キャラクターの成長、参加チームの勝利、ゲーム上のステージや地位などです。自分が身につけたプレイのテクニックもその一つです。


・人は損をするなどマイナスの刺激に対して、得のようなプラスの刺激より敏感に反応し、無意識に損失を避けようとします。


・人間は、自分が努力して犠牲を払った結果や、達成した目標を高く評価したくなるものなのです。


・ソーシャルゲームにハマる3番目の理由は、「何度も見るものを好きになる心理」です。(中略)「単純接触効果」とも呼ばれています。「ある対象への単なる接触の繰り返しによって、その対象への好感度が高まる効果」です。


・ソーシャルゲームにハマる4番目の理由は、「費やしたことがもったいなくてやめられない心理」です。(中略)無駄にしたくないという意識が働いてしまうのです。これは「サンクコスト効果」と言われています。(中略)回収が不可能になった投資費用です。


・サブスクとは、元々は新聞などの定期購読を指す英語でした。


・クレジットカードを使うと、現金で払うよりも多額のお金を使ってしまうのです。原因は、リアルに現金を支払う行動が伴わず、お金が出ていいく痛みも少ないためだと考えられます。


・サブスクを「単なる分割払い」「単なる定額の利用し放題」ととらえる企業は失敗するでしょう。サブスクは、本当に定期的に使う価値のある商品やサービスかどうかが問われるサービスです。


・行動経済学には「決定麻痺」という法則があります。人間は、選択肢が多すぎると、その選択を先に延ばし、または選択すること自体をやめてしまうものなのです。


・人々は選択肢の多さには惹かれるが、実際に選択するのは選択肢が少ない時のほうだと解説しています。


・人間は、選択肢が多すぎると(中略)

1.選択肢が多いほど、人は選択を避け、先送りする傾向が高まる
2.選択肢が多いほど、人は選択を過りがちである
3.選択肢が多いほど、人は自分が取った選択への満足感が低くなる


・米国の心理学者バリー・シュワルツは、限りない選択肢の中から最高のものを選ぼうとするほど、後悔と不満の連鎖は広がると言っています。(中略)何かを選ぶ時、もし違うものを選んだら、違う結果になったのではないかと想像してしまうからです。さらに選んだ商品が良かったとしても、他を選んだらもっと良い結果が得られたかもしれない、という疑問を抱いてしまうのです。


・厳しい締め切りを科すことで生産性が高まるということです。そこでは集中力が発揮されているのでしょう。


・「現状維持バイアス」の影響です。人間はなるべくならば、未知なものや未体験のものを受け入れず、現状のままでいたいと思ってしまうものなのです。


・人間が変化を避ける傾向が証明されたのです。知らず知らずのうちに「何かを変えると失敗するかもしれないので、そのままにしておこう」という後ろ向きの選択をしているのです。


・罰金や報酬などお金で人を操作する方法は、即効性はあるものの、すぐに効力がなくなります。そのうえ、この方法により自発的な行動のモチベーションが失われます。


・歴史を改めて見ると損害保険の根底には、商売などにおける「リスクの分散」や「投資」の狙いがあるようです。一方の生命保険は、「相互扶助」の精神で生まれたと考えられます。


・太平洋戦争が終わった後も政府は、戦後復興の資金を確保するために救国貯蓄運動を展開し、「貯蓄は美徳」の概念を国民に広く浸透させました。全国の小中学校で「子ども銀行」を学校指導で進めるなど、教育機関も巻き込みます。様々な方法で国民が貯蓄に励むように促したのです。こうした経緯を見ると日本における貯蓄は、近代化や大戦前後などの歴史の中で、国主導で習慣づけられたものと言えそうです。

こうして戦後の日本は、世界でも貯蓄率の高い国になりました。


・人の心には、「自由から逃れる」かのように、自ら進んで組織に縛られたいと望む心理があるのです。これについては、著名な心理学者エーリッヒ・フロムの名著『自由からの逃走』に詳しく述べられています。


・消費者は、知らないうちに過去の行動を把握され、ニーズを先読みされ、レコメンド情報を送られ、それに従って購入するといったサイクルを繰り返しています。このサイクルを支えているのは、事前に意識もしないまま提供した個人データです。


・アリエリーの分析によると人の心には、自分が正直で立派だと思いたい心理と、ごまかして利益を得たい心理の二つが併存するということです。そして少しだけ「ズル」をする程度であれば、自分を正当化して自尊心を失わずにいられるというのです。この心理を、アリエリーは「つじつま合わせ」と呼んでいます。


・2017年にノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーが提唱した「ナッジ」は典型です。環境問題や年金問題など、様々な課題の解決のために政府や官庁、自治体が行動経済学を活用するになりました。国民や市民に対して強制するのではなく、自発的に望ましい行動を選ぶように促す手法が受け入れられ、世界中のプロジェクトを支えています。このような形で社会貢献できる学問は、貴重だと言えるでしょう。


・例えば、「マーケティングの定義」の変更です。1985年に米国マーケティング協会が定めた定義は、2004年に約20年ぶりに改定されました。しかし、わずか3年後の2007年に再改定され、マーケティングは「社会全体に価値をもたらすべきもの」という概念が加わりました。以前のマーケティングは、基本的に利益追求でしたが、社会との共生は企業が存続する条件になりました。


●書籍『世界最前線の研究でわかる! スゴい! 行動経済学』より
橋本 之克 (はしもと ゆきかつ) (著)
出版社: 総合法令出版 (2020年1月初版)
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