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河合雅司 氏 書籍『未来を見る力』(PHP研究所)より

このウェブサイトにおけるページは、書籍『未来を見る力』(河合雅司 著、PHP研究所)より作成を読んで良かったこと、共感したこと、気づいたこと、こんな視点もあるといった点などを取り上げ紹介しています。


・マーケットの3分の1は高齢者

総人口の35.3%


・「人手不足は外国人、女性、高齢者で解決できる」のウソ


・「人手不足はAIで解決できる」のウソ


・経営と拡大を目指すことで、ではない


・残念ながら、今後、多少のベビーブームが起こったところで日本の少子化は止まらない。人口減少は収束しないのである。(中略)まずはこの「現実」に向き合わなければならない。


・大型ショッピングセンターの将来を垣間見る象徴的な出来事が2019年9月に富山県で起こった。業界最大手のイオンの「イオンモール高岡」が増床するに当たり、テナントして入居している飲食店が新規のアルバイト店員を思うように集められなかったのだ。

複数の店舗で東京・銀座のアルバイト給与水準を超える「時給1500円」に引き上げて募集する事態になったという。


・リニューアルオープン早々にアルバイトが集め切れないというのは、地域内の働き手世代が減ってきているということである。働き手世代というのは、同時に消費者の中心層でもあるので、(中略)店舗を維持するのに最低限必要となる顧客数の獲得が今後困難になっていく、ということである。


・大型ショッピングセンターはいつまでも存続する公共インフラではない。人口減少社会においては、「当たり前」の存在ではないことを認識しておく必要がある。


・ネット通販が日本で発展し続けるには致命的な課題があると言わざるを得ない。注文・購入や決済までは問題ないのだが、配送が簡単にいかないのである。(中略)

これだけ増大した個数を捌く、肝心のドライバーを十分確保できないのだ。


・少子高齢化に伴う人口減少で不足するのは働き手だけではないからだ。むしろ深刻に受けとめるべきは、「はじめに」でも述べた通り消費者の減少だ。この本質を見落としている人が実に多い。


・無人自動車は洗濯機を取りつけてくれるか? (中略)

物流拠点で荷台の積み替えを終えた無人トラックが購入者宅の前に到着したとして、荷台のたくさんの荷物の中から、その購入者に渡すべき品をどうより分けることができるだろうか。また、購入者が不在だった場合、それをどう確かめればいいのか。

さらに考えなければならないのは、これから一人暮らしの80代以上の高齢者が増えるということだ。(中略)

自動運転の無人トラックが、重い冷蔵庫や洗濯機を家の中まで運んでくれるわけではない。


・あるタクシードライバーが語ったのは、「自動運転のタクシーは、新交通システムの電車と同じだ。決められた駅の、決められた停止位置に止まる。それ以外の場所に臨機応変に止まることはできない。だから、われわれの仕事を奪うライバルにはならない」という見解であった。


・経営とは拡大を目指すこと、ではない。(中略)人口減少社会では、こうした「大きいことはいいことだ」というモデルは実現したとも、実現のしようがなくなる。繰り返すが、もうそろそろ、これまでの成功モデルを本気で疑い、そこから脱する時期に入っている。


・日本も、いつまでも量の多寡(たか)や業界のシェアに固執するのではなく、質の向上によって一つ当たりの価格を上げて利益高を増やすモデルへと発想を転換することである。


・マーケットが縮小したならば薄利多売のビジネスモデルは続けようがない


・第2章では付加価値の高い商品を少量販売するモデルへの移行の必要性を論じた。


・優先すべきは「内容」より「器」------高齢者マーケット①(中略)

美しさより、開けやすさ(中略)自動販売機の高齢化対応


・優先すべきは「内容」より「器」------高齢者マーケット①(中略)

一人暮らしの高齢者が増えると、缶や袋開封に手間取る人が多くなるからである。どんなに美味しく、どんなに体に良い飲み物の開発に成功したとしても、口にできないのであれば味わうことはできない。


・優先すべきは「内容」より「器」------高齢者マーケット①(中略)

加齢に伴い、若い頃には何でもなかったことができなくなることは仕方がない。ペットボトルのスクリューキャップは意外に硬く、力を要する。(中略)

蓋が開けにくいとなると何が起こるのか。欲しい商品を選びたい気持ちや、味の好みは二の次となる。開けやすい容器の商品に手が伸びることだろう。


・いまの車は、乗り降りするのも一苦労(中略)

乗り降りの際には椅子ごと横に回転するような機能を標準装備とすることを考えるべきである。ドアには高齢者の腕力や握力で開閉できるアシスト機能を装備することが求められる。


・問題は高齢者ニーズをどう把握するかだが、一番簡単な方法は高齢者を開発メンバーに加えることである。


・アマゾン、家電量販店に負けない電器屋さん(中略)

重要なのは融通が利くことである。高齢社会が進むほど、街の電器店がもっと評価されることとなるだろう。


・今後は多くの“家電弱者”が生まれることだろう。高齢者マーケットが拡大するほど、買った製品を自宅ですぐに使えるようにしてもらいたいというニーズは大きくなるのである。これは電器店に限ったことではない。家具店もそうだ。


・人は加齢に伴い認知機能が衰え、判断力も鈍ってくるものだ。物事を自分で決めることが難しくなるのである。それは買い物においても例外ではない。


・商品が陳列棚いっぱいに積み上がっていることはありがたいことではあるのだが、同時にどれを選んだらいいのか迷ってしまい、頭痛の種になるものだ。品揃え豊富なことが、一概に「良い店」とは言えなくなるのである。


・繰り返すが、食料の安定確保は国家の安全保障問題である。少子高齢化が進むほど切実な政治課題になることを忘れてはならない。


・「お上任せ」の意識はもう捨てなければならない(中略)

行政が担うべき業務の線引きをやり直し、住民に任せるところは任せることである。住民には、些細な事まで、“お上任せ”とする意識を改めることが求められる。


・「手厚い子育て支援」の是非(中略)

千葉県流山市や愛知県長久手市、兵庫県明石市など大都市圏の郊外や政令指定都市に隣接する自治体では、手厚い子育て支援策が目立つ。(中略)

実際にそれなりの結果も出ている。(中略)

だが、こうした人口かき集めによる自治体の発展モデルは短期的には成功に見えても、長続きはしない。これまで述べてきたように、日本全体で人口が激減していくためである。(中略)

手厚い子育て支援策を続けたとしても、どこかで政策効果は途切れる。子供は成長していくため、いつまでも支援の対象であり続けるわけではないからだ。対象年齢から外れた途端、親としてはその自治体に住み続ける魅力を失うこととなりかねない。

手厚い支援策と引き換えに長時間の通勤を我慢してきた親たちにしてみれば、自分の子供が手厚い給付の対象年齢が外れた時点で長い通勤時間はデメリットでしかない。


・水道料金が20年間で3倍以上になる(中略)

水道事業は原則として独立採算制だ。ここまで減れば経営状況が厳しくなり、必然的に利用者に値上げという形で負担を求めることとなる。(中略)

4人家族で試算した場合、2027年の3957円が、10年後の2037年には7335円、2047年には3.5倍の1万3661円になるという。


・ある高齢者のお宅は、かつて大家族で住んでおられたのであろう、一人で暮らすにはあまりにも広いように見えたが、「先祖代々住み続けてきた家や畑なので、自分の代で離れるわけにはいかない」と訴えておられたことを鮮明に記憶している。この方が体力的に畑を耕すことができなくなったとしても、農地を他人に貸そうとしたり、ましてや手放したりとはならないだろう。

今後、農村では一人暮らしの高齢者が激増していく。しかも、集落が点在しており、人口減少で一軒家となってくるところも増える見込みだ。


・老後の生活資金といえば、公的年金である。「老後生活を保障してくれる制度」であると勘違いしてる人が結構多いが、厚生労働省が、「年金だけで老後の生活費をすべて賄える」と説明したことはない。「保険」と名前がついてることでも分かる通り、想定以上に長生きした場合の“生活費の足し”なのである。


・少子高齢化に伴い住宅を求める層が減っていく状況下において、分譲マンションのように財産を「区分所有」すること自体が極めて危ういことだと言わざるを得ない。「区分所有」は若い世代へと各世代がうまく循環して初めて機能するのだ。


・マンション(中略)メンテナンスまで考えるのであれば、所有者一人で何でも判断できる一戸建ての方がマンションよりはるかに楽である。


・マンション(中略)所有者全員の資産であることを認識してもらい、資産価値が目減りすることがないよう、適時適切にメンテナンスを施すことを共通利益とすることである。自分の買ったマンションの部屋のことだけを考えていれば問題なかった時代は終わった。


・エンパシーは日本語にピタリとはまる訳語がなく、聞きなれない言葉だが、シンパシー(sympathy)と似ている。ただその意味は少々異なっていて、シンパシーが「自分は違う立ち位置にいて、相手に同情する」ことを指すに対し、エンパシーは「自分も相手の立場に立って、気持ちを分かち合う」ことを意味する。

例えば、穴に落ちて困っている人への対応をイメージすれば分かりやすい。落ちた人を穴の上から覗いて心配することがシンパシーだ。これに対して、自分も穴の中に降りていって、一緒に解決策を考えるのがエンパシーである。


・なぜ人口減少社会においてエンパシーが極めて重要になるのかと言えば、これから訪れる社会はいままでの日本とは全く異なるからだ。(中略)過去の経験則や知識といったものは役に立たないのだから、各人がおのおのの立場を超えて理解し合い、新たな知恵を出さざるえお得ない。


・世代を超えたコミュニティーを形成し、活かしていくためにはエンパシーによる相互理解は不可欠なのである。


・人口が減れば、必然的に助け合いが求められるようになる。人々が自分の「居場所」と「役割」を見つけ、生きる喜びを噛みしめられる社会を実現できたならば、「未来」は再び希望へと転じよう。


・「未来を見る力」を手に入れる10の思考法(中略)

(6)人手不足は「国内マーケットの縮小」として捉える
働き手世代は消費者の中心でもある。内需依存は行き詰まると認識する

(7)量的拡大路線と決別し、「質の向上」を優先する
薄利多売のビジネスモデルは破綻する。付加価値を高めることを考える


●書籍『未来を見る力』
河合雅司 著
出版社 : PHP研究所 (2020年9月初版)
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