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[ 出版業界のトピックス ]

第3回「本屋大賞」 候補11作品が決定

第三回「本屋大賞」の候補11作品が決まった。一次投票は1月13日の締切までに286書店の367人が参加、10位が同点のため11作で二次投票を行い、4月5日に大賞作を発表する。また、実行委員会では、以前から運営母体の確立を目指したいたが、昨年12月中旬にNPO法人化の認可を受け、「NPO本屋大賞実行委員会」として進めていくことも決定。課題を抱えながらも、現場の若手書店員から始まった活動は進化を続けている。


~フリーペーパー「LOVE書店」発刊も~

今回ノミネートされた11作品は別表のとおり。過去二回連続で大賞作の出版元になった新潮社は、今年は候補作がなかった。受賞作の出版社は、同賞による重版対応などに初めて臨むことになる。また、伊坂幸太郎氏が今回も二タイトルで候補に挙がっているのもトピックス。同氏は3年連続・計5タイトルが候補なっており、書店員人気の高さを示している。

NPO法人化にあたっては、設立当初から同賞をバックアップしている本の雑誌社から浜本茂社長が理事長に就任。以下、同じく当初からの実行委員である書店員や取次会社社員、博報堂関係者など13人が理事として名を連ねている。

理事の一人である本の雑誌社・杉江由次氏は「法人化といっても、それぞれ本業があり、賞の運営で精一杯。書店員の勉強会などを開く案もあるが、当面は大賞関連の作業だけになる」としている。2月中旬には、本屋大賞情報などをまとめた書店店頭向けフリーペーパー「LOVE書店」を発刊予定。

今回の一次投票者数367人は、昨年より九98人増。「新たに参加してくれた方、自ら周囲に声掛けしてくれた方が多い」(杉江氏)という。


~編集者から苦言も~

すでに1月20日から始まった二次投票(2月28日締切り)を経て、候補11作品から「大賞」が選ばれるが、ある大手出版社の文芸編集者は「今年は必ず『読んで』ほしい」と参加者に苦言。

二次投票は「候補作をすべて読んだうえで投票する」ことが条件となっているが、「私見にすぎないと言われるだろうが、昨年、本当に全員が読んでくれた違う結果になっていたと思っている。実際に聞いて回ると、読まずに投票している人が多い」。

これについて杉江氏は「投票する方々の良心に任せるしかないが、たとえば最初の10頁だけで判断を下して止めた場合も『読んだ』に入れるどうかなど、非常に難しい面もある。『すべて読んだ上で投票を』という条件は今後も打ち出していきます」。

「第3回本屋大賞」候補作 (タイトル50音順)

  【タイトル】          【著者名】     【出版社名】
 ・県庁の星          桂望実       小学館
 ・告白             町田康       中央公論新社
 ・サウスバンド        奥田英朗      角川書店
 ・さくら             西加奈子      小学館
 ・死神の精度         伊坂幸太郎     文藝春秋
 ・その日のまえに       重松清       文藝春秋
 ・東京タワー          リリー・フランキー 扶桑社
 ・ナラタージュ         島本理生      角川書店
 ・ベルカ、吠えないのか?  古川日出男    文藝春秋
 ・魔王              伊坂幸太郎     講談社
 ・容疑者Xの献身       東野圭吾      文藝春秋


投票方法などは、同賞ホームページ http://www.hontai.jp/ まで。


2006年1月26日 新文化より