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[ 出版業界について ]

本の売上を見るPOSデータには、どんなものがあるか

本の売上を見るPOSデータには、大きく3つに分類することができます。


1、書店
2、取次
3、システム会社 など


が提供するパターンです。具体的には以下のような会社のサービスがあります。

本の売上を見るPOSデータを提供している会社一覧


 ・ 紀伊國屋書店の 「 パブライン(PubLine) 」 (書店)

 ・ 日販の 「 トリプルウィン 」 (取次)

 ・ 文教堂の 「 Big NET(ビッグネット) 」 (書店)

 ・ ジュンク堂の 「 POSDATA うれ太 」 (書店)

 ・ 丸善の 「 MCS(Maruzenn Communication Square) 」 (書店)

 ・ NET21の 「 やまびこ通信 」 (協業書店)

 ・ 三菱総研DCSの 「 P-NETサービス 」 (システム会社)
  ※2015年7月でサービスを終了予定

 ・インテージ 「出版POSサービス」 (ネットリサーチ・市場調査会社)

 ・ アマゾン (書店)

 ・三洋堂書店の 「 SPN2 」 (書店)

 ・ストアコンソーシアムジャパンの 「 WEBRAIN 」

 ・明屋書店の 「 OpenNet 」 (書店)

 ・くまざわ書店グループの 「 Kuma book.net 」 (書店)

 ・オリコンの 「 ORICON BiZ online 」 (ヒットチャートをはじめとする音楽情報サービスなどを提供する日本の企業グループの持株会社)などがあります。


特に、最近人気なのが日販の「トリプルウィン」と紀伊國屋書店の「パブライン」です。


日販の「トリプルウィン」は、搬入部数、市場在庫、実売部数の推移をグラフで表示することが可能なものです。また、出版業界全体の1/4のマーケット動向を把握できるのが強みです。


それから、277社(510個の口座開設)の出版社で利用されているのが、紀伊國屋書店の「パブライン」です。※2008年2月27日現在


パブライン(PubLine)とは、紀伊國屋書店全店のPOSレジで管理されている販売情報を、インターネットを通じて公開しているサービスです。


重版決定には紀伊國屋書店の「パブライン」、
ロングセラー発掘には、日販の「トリプルウィン」
というのが業界関係者からの声です。


たとえば、ビジネス書の発行で有名なD社では、各社POSデータをこう読み比べています。


紀伊國屋書店の「パブライン」は都市型の書店が多く、
インテージ 「出版POSサービス」 は都市型+郊外型の書店が多く、
日販の「トリプルウィン」は地方型の書店が多い傾向があると話しています。


最近は、このPOSデータの普及が広まりリアルタイムで本の売上動向が掴みやすくなりました。


参考までにPOSデータとは、いつ、どこの書店で、どの本が、何冊売れたのかといった販売データを収集したものになります。(POSは、Point of Saleの略。)


本来は、「売れた」という過去形に対しての情報だけでしたが、現在では「返品」や「在庫」のデータも扱っているPOSシステムもあります。


このPOSデータを使うことによって、増刷時期の決定や部数の判断、広告の効果測定、死に筋の排除、類似本との比較、ロングセラーの発掘、読者の性別、年代の分析ができるようになるのです。


具体的には、紀伊國屋書店全店で売れたものが全国書店の販売シェア5%と仮定すれば、その本の全国での販売冊数の予想できます。


ある有名ビジネス書系の出版社では、紀伊國屋書店の全店の売上げを見ることで、増刷の時期や部数決定の材料として使っています。


つまり、POSデータを見てどれほど本が売れるか予想しているのです。


例えば、あるPC系出版社の場合、紀伊國屋書店の全店の売上げが全国書店の売上5%~7%になるといいます。専門書であれば10%といった具合です。


とはいえ、このPOSデータを分析すれば、顧客の動向全てがつかめるわけではありません。理由は、POSの結果が全てではないからです。


例えば、一冊しか売れなかったのは、仕入れが一冊しかなかったから売れなかったかもしれません。つまり、五十冊置いてあったら五十冊売れたかもしれないのです。


または、ある本が百冊売れたのは書店員が本を読んで、手作りPOPを作成した結果、売れたかもしれません。この場合は、POPを書かなかったら売れなかったかもしれないのです。


すなわち、展開や立地、条件などによって結果は変わるということです。


私たちは、POSを見ると何が売れたのだろうと「売れた」ものに着目します。結果、大きく売れたものものだけを追い、その数値に惑わされる可能性が高くなるということです。


このPOSをいち早く導入した企業にセブンイレブンが上げられます。ここセブンイレブンは、POSを2つの要素で取り込み大きな成果につなげてきました。


それは、「死に筋の排除」と「欠品の防止」です。死に筋の排除とは在庫削減です。欠品の防止とは機会損失を防ぐことです。ともに、「売れた」と言う点に着目していないことがここからわかります。


また、今のようなPOSがないとき、数ヶ月先に必要な部数を算出する方法を独自に持っていた出版人をご紹介いたします。


それは、光文社の元社長であり、ベストセラーメーカーと言われる神吉晴夫氏です。その方法を取り入れていたことを書いてある書籍をご紹介いたします。


書籍「カッパ兵法(神吉晴夫 著)」1966年刊行 より


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全国400軒のモニター小売店を組織して、進行中の企画を流し、その反響を聞き、部数決定のデータとすることをはじめた。


つぎに、新宿の紀伊國屋書店、銀座の近藤書店、東京駅の栄松堂、新橋の美松書房、神田の三省堂、上野の明正堂をはじめ、都内の書店20軒に依頼し、発売日から1週間以内に、どんなカッパの本がどれだけ売れたかについて、正確な報告をもらう。


その結果に、ある数字を加えたり、掛けたりすると、3ケ月から半年後までに必要な部数が、正しく算出されるのである。あっぱれ見事なものというほかない。


●書籍「カッパ兵法」より
神吉 晴夫 著
華書房 (1966年12月初版)
amazonで詳細を見る

----- ここまで ----------------------------------------------------
    
  
POSデータの有用性は疑いようもないものですが、このように独自の判断材料を持つことも大切な要因かもしれません。


POSデータにご興味ある方は各会社へ直接お問い合わせください。

      

紀伊國屋書店の 「 パブライン(PubLine) 」 お問合せ窓口

 

(株)紀伊國屋書店 店売推進部 PubLineWEB係
TEL:03-3354-0247
E-mail:publine@kinokuniya.co.jp
〒163-8636 東京都新宿区新宿3-17-7(新宿本店9F)
 
2008年2月27日現在で、277社、510の口座を開設。利用出版社の販売シェアが70%に達している。月額10万円(※DLはプラス従量制)。自社・他社の売上だけでなく、入荷・返品・在庫も照会可能。各種分析機能なども充実。
 
 
20周年を迎える2015年9月、一部機能を拡充してリニューアル。

紀伊國屋書店の全66店舗とウェブストアを一列表示する。各種資料はCSV形式での出力が可能。また、これまでのCコード分類は大項目(30項)・中項目(250項)・小項目(2800項)の分類に区分けされ、今まで以上に細かいジャンル別ランキング表が作成できる。 ※出版業界紙「新文化」2015年8月6日号より作成
    
               

ジュンク堂の 「 POSDATA うれ太 」お問合せ窓口

窓口:ジュンク堂書店池袋本店 システム担当・木戸氏。
TEL:03-5956-6111
URL:http://www.junkudo.co.jp/uretakana/
            
---- ジュンク堂の 「 POSDATA うれ太 」の詳細 -----

ジュンク堂 33店舗(外商部含む、11/20現在)自社・他社の売上・在庫。プラウザでの閲覧・照会も可能。単品の仕入部数、販売部数、在庫部数を確認可能。年間1万円という低額な利用代金が魅力。

店舗は芦屋店を除く28店舗と神戸外商部、京都外商部の実績でインターネットでの販売についても含まれている。前日までの日次データを店舗別に検索できるほか、総合、ジャンル別のベストも見ることも可。データは専用サイトからダウンロード方式。

2008年7月18日(金)から、他社出版物についての開示を開始。導入出版社は400社余。※2008年8月19日現在。

うれ太のダウンロードデータ加工用ツールが、版元ドットコムのサイト内であります。
http://www.hanmoto.com/news/2008/11/18/jtool/   

    

三菱総研DCSの 「 P-NETサービス 」お問合せ窓口

        

窓口:三菱総研DCS株式会社 P-NET/S-NET サポートセンター
TEL:03-3458-8257、03-3457-8378(営業 田口氏、瀬戸氏)
〒140-8506 東京都品川区東品川四丁目12番2号 品川シーサイドウエストタワー
※「P-NETのサービス詳細」→三菱総研DCSのサイトにリンクします

店舗数・チェーン数が多いので実売の全体を正確に推測できる。全国4000店舗以上(月次)、195社以上が利用。自社の売上のみ。日次または月次(月額5万円弱)。

データは専用サイトからダウンロード方式。個別のチェーンごとに別途契約が発生する場合あり(要確認)。自前でデータを扱うのが難しい社に分析用のアプリケーションをリース方式で提供。店舗ごとのデータを活用するためには書店情報の整備が重要(共有書店マスターなどがあるとデータがより活用できる)。返品状況はわからない。

※2015年7月でサービスを終了予定
            
 

インテージ 「出版POSサービス」の詳細

20数年の実績をベースとするWeb版POS集計システム。Web環境でのASPサービスで、煩雑なデータ管理や維持管理工数を削減をうたっている。
※インテージの「出版POSサービス」の詳細は→
http://www.intage.co.jp/subjectsearch/bpo/pos
   
 
 

オリコンの 「 ORICON BiZ online 」の詳細

●調査協力店(全国2,003店舗)


【全国・地方チェーン店】
紀伊國屋書店、丸善、三省堂書店、CCC、有隣堂書店、くまざわ書店、未来屋書店、八重洲ブックセンター本店、リブロ、 WonderGOO、三洋堂書店、明屋書店、フタバ図書、旭屋書店、戸田書店、江崎書店本店、ブックスタマ、いまじん、ジュンク堂書店 ほか


【EC書店】
アマゾンジャパン、セブンネットショッピング、楽天ブックス、ネオ・ウイング ほか


【ジャンル別専門店】
アニメイト、コミックとらのあな ほか


【地域店】
今野書店(東京)、BOOKS隆文堂(東京)、聚宝堂クララ館(東京)ほか

※順不動/敬称略


●データ集計サイクル
月曜~日曜までの1週間分を毎週水曜17:00に更新

■書籍基本:月額10万円(税別)

・マーケット動向
 ジャンル別、出版社別、エリア別、店舗形態別等のセールス動向が閲覧可能。

・ランキング
 期間別(週間/月間/四半期/半期/年間)の各形態(BOOK/文庫/コミック)ランキングTOP500、および各種ジャンル別ランキングが閲覧可能。

・検索
 ISBN/タイトル/著者等からの検索で発売以来の累積売上部数/売上推移等が閲覧可能。


■オプション ~コミック・アニメ:月額10万円(税別)

・コミック、ライトノベルに特化し、単刊での売上状況に加え、初動比較、シリーズ全体の売り上げ状況や上昇率など、深堀りしたデータが閲覧可能。

●お問い合わせ先

オリコン・リサーチ株式会社
ソリューションビジネス本部 営業部

〒106-0032
東京都港区六本木6-8-10 STEP六本木
TEL:03-6381-7959
FAX:03-5772-8600
e-mail:info-biz@oricon.jp
URL:http://biz.oricon.co.jp/online_info.asp