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[ 出版業界について ]

出版事業を2通りに分類した評論家、大宅壮一

※書籍「出版社の運命を決めた一冊の本(塩沢 実信 著)」より


「出版事業は企業としてきわめて特異なものである」として、その経営のあり方から、“漁業説”と“農業説”の二通りに分類したのは、評論家の大宅壮一である。


“漁業説”とは、魚の大群のいるところをいちはやく発見し、これに網を打って大漁----つまりベストセラーをつくり、一挙に産をなす業法だという。しかし、魚業方式だと、シケや不漁がつづくと、すぐに破産に追い込まれる投機性の強いのであるとみる。


“農業説”というのは、地道に一定の土地をコツコツと耕し、わずかではあるが確実に収益をあげる業法である。


年によっては多少の農凶はあるが、いわゆる略奪経営をやると、翌年からは収穫がガタ落ちするので、「もうけすぎないよう、損しないよう」にやっていかなければならぬという。


そして、今日の日本の出版界で、この“農業説”を代表し、忠実に実行している出版社として、大宅壮一は岩波書店をあげていた。

                
●書籍「出版社の運命を決めた一冊の本」より
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