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雑誌の健康診断法

雑誌を発行する出版社が健全な運営ができているか健康診断法があります。書籍『本とは何か(小林 一博 著)』より、その雑誌の健康診断法を学びたいと思います。
 

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書籍『本とは何か(小林 一博 著)』より


●雑誌の健康診断法

ジムマンは、雑誌発行を“火”にたとえている。雑誌がホットな時は、読者は入手に熱心で、広告主も競って広告を出してくれる。雑誌経営で難しいのは、冷却しつつあるのを正しく把むこと。

大部数の雑誌の場合は、冷却に向かっているときも時間がかかるから病状が正しく把めない。病状に気づいたときは手遅れで、いったん手遅れになると取返しがつかない、と。そして、雑誌の発行者や、編集者に対して次のようなテストを試みることをすすめている。


①あなたの雑誌のスタイルとかパーソナリティは、はっきりとまちがいなく認識できるか。
ホットな雑誌はユニークだが、表紙をはがすと他の雑誌と見分けのつかない雑誌がある。


②雑誌の内容が最近話題になりましたか。
話題になってなければ、雑誌は冷却期にある。


③雑誌編集上の意図を手短かにまとめられるか。
スタッフが編集意図を正確にまとめられないようでは、チームとしての仕事をしていない証拠である。雑誌が冷却しつつある証拠。


④最新号の記事で、ライバル誌が扱っていない記事はいくつか。
企画力が低下してくると、他誌と同じような記事となり特徴をなくしてしまう。


⑤ニュース記事は別として、最近号は二年前の号と似ていないか。
うっかりしていると、一年前、二年前と同じ目次になってしまう。よくあることである。


⑥有料部数の伸び率が、雑誌市場の人口の伸び率を下回っていないか。
市場人口が増大しているのに雑誌部数が増えないのはどこかに欠陥がある。


⑦一部売り販売部数が大幅な上下をしていないか。
上下しているならば、雑誌が、“健康”を害しはじめた徴候である。


⑧本文と無関係な広告を獲得するのに、広告スタッフが多くの時間を費やしていないか。
広告も記事である。広告の内容・コピーは雑誌の読者を意識したものでなければならないのに、関係ない広告が入っていないか。


⑨正規の予約料金を割引して予約読者を獲得していないか。


⑩最近号を受けとって一週間後にもその号を読んでいない読者の比率が高くなってはいないか。定期購読している雑誌を、一週間も読まずに放っておくようになったら、購読は中止したも同然である。

             
●書籍「本とは何か~豊かな読書生活のために」より
小林 一博 著
講談社 (1979年10月初版)
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