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[ 出版社について ]

編集者にとって「図書館」と「古本屋」の棚の違いとは

エース編集者になればなるほど、読者が本にふれる「場」に足を運びます。場とは、書店や古本屋、図書館です。つまり、読者が何を求めているのか、そのジャンルの傾向などを見るためです。


では、「図書館」と「古本屋」の棚の違いにはどんな点にあるのでしょうか。みずず書房を創業した小尾俊人さんの書籍『本が生まれるまで』(築地書館 刊)から、図書館と古本屋の棚には、どんな違いがあるのか学んでみたいと思います。
 

-------- 書籍『本が生まれるまで』(小尾 俊人 著) -----------------


編集者にとって図書館の棚と、古本屋の棚とは、どんなちがいがあるか。より分類され、より整理された図書館の場合は、より機能的、より効率的であるといえる。これは考えがある程度まとまり、恰好がつきはじめたときに、有益この上もない。


これに対し、古本屋の棚は、あるいは新本屋の平台でも同様であるが、世界の混沌のナマの表現である。その前に立つ編集者の頭脳の世界の既成のまとまりに、あるインパクトを与える。遠くから、かすかに聞こえてくるカミナリのようなもの、嵐の予告、稲妻の光がありうるのだ。それだけに面白い、しかし、足をこまめに運ばなければ、こうはいかない。

●書籍『本が生まれるまで』より
小尾 俊人 著
築地書館 (1994年8月初版)
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