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2010年 本の販売額と2014年の売上推定額 (寄稿:冬狐洞隆也氏)

販売金額
前年比減小額
前年比
状況
全体
18,748億円
▲608億円
▲3.1%
6年連続マイナス
書籍
8,213億円
▲279億円
▲3.3%
4年連続マイナス
雑誌
10,535億円
▲329億円
▲3.0%
13年連続マイナス

※出版科学研究所資料より作成
※取次ルート
 

2010年の販売額は24年前の水準に

新刊書発行状況も取次仕入れ窓口扱いの新刊書は57,804点(▲5.1%)と点数・金額とも減少し、増加傾向にあった新刊発行点数も前年を下回り出版市場の縮小均衡へ本格的な下り坂マーケティングが始まった。


但し、注文扱いの新刊書は16,901点と前年比5.3%増加している。これが何を意味しているかは賢い業界の方々は理解しているが、これが返品率を大幅に下げられない要因の一つとも考えられる。


本の売上額が続けて、減額する要因にはどんなものがあるか?

  1) 少子年齢人口減少・生産年齢人口の減少 → 回復には30年必要
  2) 経済不況 → 可処分所得の減額による需給ギャップ
  3) 図書館の利用拡大 → 生活格差による二極化
  4) 新古書扱い書店の増加 → 新刊書店による複合化
  5) 書店の廃業 → 大型書店の出店・販売不振・後継者不足
  6) 携帯電話・ゲーム


以上が考えられるが、この他ネット書店・電子書籍も影響してくると思われる。出版社・取次・書店とも企業格差は拡大するも誰も儲からなくなってきた。読者と書店の質が変化しているのに市場を捉えていないのも要因の一つと考える


2014年 出版物の推定売上額 ※矢野経済研究所 試算

矢野経済研究所の試算による4年後の2014年出版物の推定売上額は、

推定販売額
2010年比減小額
2010年比
合 計
14,900億円
▲3,848億円
▲20.5%
書籍
6,700億円
▲1,513億円
▲18.4%
雑誌
8,200億円
▲2,335億円
▲22.2%

この推定結果を出版社・取次・書店がどう考えるかは各々の立場で違いがあると思うが、出版市場だけでなく売上の減額は全ての流通業で直面する問題になって来た。書店経営を続けていくには出版物だけの売上ではなく、ヴィレッジヴァンガードの『面白くなければ本屋でない』のコンセプトが他の複合書店にも影響を与えてくるだろう。専門出版社は自社関連のニッチな市場を丁寧に開発していく必要がある。


寄稿:出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏