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[ 出版業界について ]

コンビニにおける出版物売上の推移 寄稿:冬狐洞隆也氏

コンビニエンスストア(CVS)における出版物売上の推移をご紹介したい。取次経由のCVSルートの売上結果、2000年から2009年を見てみると年々販売額は落ちている。
 

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年度
CVSルート
売上
(億円)
伸び率
取次経由の
雑誌売上
(億円)
伸び率
CVS店舗
平均売上
(万円)
2000年
5,142
14,261
▲2.8
1,241
2001年
5,123
▲0.4
13,794
▲3.3
1,229
2002年
5,300
3.5
13,616
▲1.3
1,257
2003年
5,178
▲3.3
13,222
▲2.9
1,211
2004年
5,150
▲0.5
12,998
▲1.7
1,174
2005年
5,059
▲1.8
12,767
▲1.8
1,154
2006年
4,852
▲4.1
12,200
▲4.4
1,102
2007年
4,044
▲16.1
11,827
▲3.1
925
2008年
3,673
▲9.2
11,299
▲4.5
809
2009年
3,166
▲13.8
10,864
▲3.9
682


コンビニ1店舗における本の平均売上が9年で45%も減っている

CVSの売上は多い時で取次の雑誌売上の約40%前後を占めていた。CVSの雑誌売上が落ちると取次の売上に相当な打撃を受ける。CVSの店舗数は09年12月末51社46,470店となるがCVSは既存店の落ち込みを新規店の売上でカバー仕切れていない。委託制度上、売れなければ返品可能であるのでCVS側はそんなにコスト負担は無い。


CVSの店舗平均売上が2000年は1241万円売り上げていたが2009年は僅か682万円となり10年間で▲559万円下がってしまった。昔、CVSの雑誌販売は「人寄席パンダ」と揶揄されていたがその効果も徐々に薄れてきた。


取次経由の雑誌販売額のピークは1997年1兆5644億円である。その後12年間販売額は下がり続けている。2006年以降販売額下落が鮮明になったのは、少子高齢化の影響と団塊世代の退職が影響していることは駅売店も同じように下落していたことで証明される。


「活字メディア」と「ITメディア」が入れ替わるのは2015年以降

「あなたはどんな時に雑誌を読まれるのか」との調査問いに、


  1位   自宅でくつろいでいるとき。
  2位   CVS・本屋に行ったとき。 
  3位   暇なとき。 
  4位   美容室・病院・駅での時間つぶし


との回答を得た(以下省略)。2位と4位が問題でこの読者たちは殆んど立ち読みが多く雑誌を買っていない。図書館では無料で雑誌を読めるし、貸し出しもしていることも雑誌の売上が下落した原因とも言われている。


雑誌はスピード・コスト・ボリューム等その流通手段がインターネットに全く歯が立たず雑誌の廃刊が常態化してくるだろうと予想する。同時にデジタルコンテンツビジネスの試行錯誤が続き、活字メディアとITメディアが併走しながら徐々に主役が入れ替わると思うが2015年以降と考える。それまでに出版流通ルートも変化していると思うが。


寄稿:出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏