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[ 出版業界について ]

取次別書店数の推移と出版取次の現状 寄稿:冬狐洞隆也氏

2008年から2011年における取次別書店数の推移と取次の現状を紹介したい。
 

 
取次別
2008年
書店数
2009年
書店数
2010年
書店数
2011年
書店数
4年間
の増減
トーハン
5,415
5,114
4,930
4,783
▲632
日販
5,142
4,970
4,917
4,808
▲334
大阪屋
1,169
1,212
1,151
1,169
0
栗田
872
824
798
767
▲105
中央社
466
457
438
435
▲31
太洋社
576
547
521
514
▲62
その他
951
1,291
1,302
1,302
351
不明
370
2
2
2
-
合計
14,961
14,417
14,059
13,780
▲1,164

※アルメデア毎年5月調べ
※売場面積を公表している書店数をカウント

agentbookstore.JPG


廃業店と新規店の差だけをカウントしているので何店廃業しているかは不明である。最盛期は23,000店あったと聞いている。「その他」は本社があったり外商部があったり経理事務所があったり商品を置いていなくても取次口座がある数である。


出版取次の現状

(1) 取次の機能は大きく4つある。

    a、 仕入機能 (仕入能力は不明)
    b、 物流機能
    c、 金融機能
    d、 情報提供機能


(2) 取次の売上拡大の基本は大きく2つである。

    a、 新規出店
    b、 帳合変更


(3) 取次経由の売上

未だ底が見えず。消費人口減少・可処分所得の減少・地方からの脱出・読者の選択肢が増え書店で購入だけではなくなった。これに電子書籍の中抜きが加わると取次の売上は間違いなく減少する。


(4)取次の問題点

業態は25年前と変化なし同じことの繰り返し。委託制の弊害が顕在化しても物流の中心である取次は実質的に破綻しているシステムを護送船団的に維持してきたことによって駆ってない出版危機が深刻化してきた。雑誌の凋落によって利益の上がらなくなった取次の構造を露呈させている。


(5)取次の本音

出版社・書店とも『甘えの構造』から脱却できていない。いずれ出版社・書店とも自然淘汰されるのは明白であるが、どこまで持ちこたえられるかは個々の努力としか言いようがない。

寄稿:出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏