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[ 出版業界について ]

本の平均価格 推移 1997年-2010年  寄稿:冬狐洞 隆也氏

書籍の平均価格は2002年以降、値下がりしています。一方、雑誌は1997年以降、値上がりしています。1997年から2010年までの書籍と雑誌の平均価格における推移をご紹介いたします。
 

書籍
前年比
新刊書籍
前年比
雑誌
前年比
1997年
1173円
3.3%
1169円
1.8%
428円
2. 4%
1998年
1195円
1.9%
1192円
2.0%
429円
0.2%
1999年
1208円
1.1%
1187円
▲1.4%
433円
0.9%
2000年
1207円
▲0.1%
1188円
0.1%
434円
0.2%
2001年
1206円
▲0.1%
1181円
▲0.6%
434円
0.0%
2002年
1228円
1.8%
1192円
0.9%
438円
0.9%
2003年
1210円
▲1.5%
1212円
1.7%
445円
1.6%
2004年
1209円
▲0.1%
1217円
0.4%
452円
1.6%
2005年
1194円
▲1.2%
1191円
▲2.1%
459円
1.5%
2006年
1176円
▲1.5%
1174円
▲1.4%
465円
1.3%
2007年
1131円
▲3.8%
1152円
▲1.9%
468円
0.6%
2008年
1125円
▲0.5%
1170円
1.6%
479円
2.4%
2009年
1123円
▲0.2%
1146円
▲2.1%
495円
3.3%
2010年
1110円
▲1.2%
1126円
▲1.1%
503円
1.6%
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書籍の平均価格最高値は、2002年の1228円

以降8年連続で値下がり続けています。その原因は売れ行きの芳しくない新書・文庫の刊行が続き足を引っ張っている状況です。あくまでも平均値であって中央値がいくらであるかは不明です。


出版社は自業自得で済みますが、価格決定権のない現場の書店は価格が下がれば利益率が一定しているので売り上げも下がるという状況です。書籍は1997年消費税5%になってから前年比をクリアしておりません(ハリーポッターの刊行年は別)。書籍の売上減少の中でデフレスパイラル状態になってきております。今年は書店の仕入意思がはっきりしてくると返品率も下がりコストも下がるでしょう。


2011年は大震災があったにも関わらず前年比▲0.2%しか売り上げは減っておりませんが2012年も大震災が無くても売り上げは下がっていくでしょう。しかし読者の選択肢によって本は間違いなく読まれております。


電子書籍に期待以上の幻想を持っている出版社もあるようですが、デジタル市場は実売が数字としてハッキリ表れるので電子書籍は普及するかもしれませんが、それが紙の本のビジネスの様には成立しない事を認識することです。


逆に雑誌の平均価格は値上がり状態が続いています

2000年から販売不振が11年間続いているのに、値上げをして利益を価格に転嫁している状況では益々雑誌離れが起きるでしょう。雑誌の売り上げ減は民間所得減少が大きな原因でもありますが、広告会社も雑誌広告を見放したとの話もあり、広告収入を期待して雑誌を刊行している出版社は苦しい経営を迫られてくると思います。2008年以降雑誌の平均価格が急激に上昇しているのが目立ちます。これでは、ますます読者は離れていくでしょう。
  
 
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏