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[ 出版業界について ]

書籍売上と新刊点数の推移 2000年~2012年 寄稿:冬狐洞隆也氏

2000年から2012年までの書籍売上と新刊点数の推移を紹介したい。
 

書籍売上
(億円)
前年比
仕入扱い
新刊点数
注文扱い
新刊点数
合計新刊点数
前年比
書籍
返品率
2000
9,706
▲2.3
52,427
15,095
67,522
3.8
39.4
2001
9,456
▲2.6
53,669
15,344
69,003
2.2
39.1
2002
9,490
0.4
55,741
16,314
72,055
4.4
37.7
2003
9,456
▲4.6
55,462
17,146
72,608
0.8
38.8
2004
9,429
4.1
56,613
17,974
74,587
2.7
36.7
2005
9,197
▲2.5
58,155
18,373
76,528
2.6
38.7
2006
9,326
1.4
57,423
20,299
77,722
1.6
38.2
2007
9,026
▲3.2
58,301
19,116
77,417
▲0.4
39.4
2008
8,878
▲1.6
59,527
16,756
76,322
▲1.4
40.1
2009
8,492
▲4.4
60,914
17,641
78,555
2.9
40.6
2010
8,213
▲3.3
57,802
16,912
74,714
▲4.9
39.0
2011
8,198
▲0.2
56,877
18,933
75,810
1.5
37.6
2012
8,013
▲2.3
57,466
20,883
78,349
3.3
37.8

※出版科学研究所より作成

booksales.jpg

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書籍売上、減少の理由

書籍の売上は 6年連続前年比を割っている。老齢人口だけ増加し、年少人口と生産年齢人口が減少している影響と見る。書籍は低価格志向が強く、単行本から文庫本に需要がシフトしていく傾向にあると見ている。一方で、面白そうな新刊が減ったとの見方も出ている。


新刊点数は 3.3%の増加だが、これは書店の注文のみで流通する新刊銘柄が 10.3%増の 20,883点と大幅に増えたためである。販売額の低迷に点数を増やして売り上げの帳尻合わせをする出版社が増えている傾向が見て取れる。しかし、返品率だけは高止まりとなっている。委託制度を変更しなければ全てが永久に治らない。


日経産業地域研究所の「書籍購入調査」で分かったことは、団塊の世代が 65歳以上になり中心読者層の年齢上昇が重なり、老後の不安からか不要不急の支出は出来るだけ削ろうと『中古本を購入する』が大きく増えているのも新刊の売上減少の原因の一つと考えている。


過去、増税時に出版界はどう影響を受けたか

2014年~ 2015年と消費税の増額が続くと出版物も 10%の課税となる予定。1997年に 5%になってから出版物の売上は減り続け書店数も7年間も毎年 1,000店閉店した。1998年には書籍の返品率が恐怖の 41%となった。今回の消費税増税は出版業にどのような影響を与えるのか。出版業界人はそれほど深刻に考えてはいないようだ。


寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏