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[ 本について ]

書籍の取り扱い方と保存方法 13か条

「本には適切な取り扱い方や保存方法がある」というと驚くかもしれません。しかし、紙は湿気やジトっとした暑さ、日に当たったり、乾燥を繰り返すと、黒ずんでシワシワになっていきます。まるで、人が歳とっていくのと同じようです。


とりわけ、昔の本は和紙でできており、少しでも長く多くの人が読み続けるよう、取り扱い方や保存方法に気を配ったようです。そんなことを感じる書籍があります。書籍『現代読書法』(田中 菊雄 著、講談社 )に一節にある「書物の取扱い注意と保存法」です。同書からその一節を紹介したいと思います。
 

 

書物の取扱い注意と保存法

一、日光に直射させぬこと。

二、火にかざして読まぬこと。

三、枕にして寝ぬこと。

四、頭垢(ふけ)を本の上に落とさぬこと。

五、手に唾をつけてページを繰らぬこと。

六、紙小口を折らぬこと。

七、本を開いた上で物を食べぬこと。

八、湿気のあるものの上に置かぬこと。

九、小口をとんとついたり、又は下向きに置かぬこと。

十、書架に曲げて立てぬこと。

十一、書物の保蔵には暑熱、湿潤、乾燥いずれも極端を避けること、人間の住まうのに適する処がやはり書物にも適する処である。

十二、梅雨季など書物に黴(かび)の生じた時は一刻も猶予せず、取出して布片でていねいに拭き去り、風に当ててしばらく乾す。ただし直接太陽にあてることは禁物である。

十三、本は少くとも年一回書架から出して埃を払い、風にあて、防腐剤で装幀の箇所をていねいに擦る(こする)。埃を払う時は湿気の少ない好天気な日を選び、書斎から書物を下す際には、持った手を緩めず、上の方を下向きにして刷毛(はけ)で軽く払い、蠹魚(しみ)などの有無をしらべたならば、しばらく本を開いたまま卓上にたて、風を通し、防腐剤で擦ってから書棚におさめる。


●書籍『現代読書法』より
田中 菊雄 著
講談社 (1987年2月初版)
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