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[ 出版業界について ]

出版業界が右肩下がりするワケ8つ  寄稿:冬狐洞 隆也 氏

2014年以降、出版業界の現状をどう見たらよいか、8つ紹介したい。
 

1)木を見て森を見ない出版業界

多段階的複合構造不況を理解していない。21世紀に入り書店数は減少し、大型チェーン店が地方都市を席巻し続ける事になってきた。しかし、地方の大型書店といえども出版物だけでは売り上げ確保が難しい時代になった。


2)過去の出版ビジネスモデルは、すでに崩壊している

にも関わらず既得権益にしがみつき、未だに過去を引きずっている。代表的なものが委託制度の弊害。


3)それでも出版業界内で元気な業態はある

ネット書店・中古ネット書店・中古書店・新刊書店の中古本並列店・レンタルコミック店。それぞれの業態でスーパースターは存在する。


4)大手企業子会社の書店が出版流通を変化させてきた

それに手を貸した取次に付けが回って来ただけである。CVS・駅売店・大学生協・スタンド販売店は既に最悪の状態になってきているのに手が打てない。


5)消費人口減少に従来の右肩上がりのマーケティングは通用しない

マスマーケティングからピンポイントマーケティングへ。地方都市の格差を理解していないし、地方の成長は幻想である。


6)出版は特別な産業ではない

かつて「出版は不況に強い」と出版業界内で言われた。出版業界の常識が世間の非常識だが、出版社でも元気な出版社は多数存在する。従来の発想から脱却できない取次依存型の出版社の未来は厳しい。


7)電子書籍の購入を書店経由とする話が出ている

電子書籍を誰がわざわざ書店に買いに行くか。二度手間になると思っていない上から目線が直らない業界。しかも配信プラットホームも多すぎる。専門電子書店は別にしてせいぜい3社で良い。
 

8)出版流通の中核的存在であった取次という業態の尻に火が付いた

トーハン・日販は別にして、それ以下の中堅取次の生き残り策はリストラか事業の縮小・再編成しかない。うわべは強がりを言っても実態数字がついていけないところまで来ている。


寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏