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[ 出版業界について ]

本の推定販売額 2007年~2016年の推移 寄稿:冬狐洞 隆也 氏

出版科学研究所が出版物推定販売額を公開した。どのような推移になったのか、ここ10年である2007年~2016年を紹介したい。
 
 

書籍
前年比
雑誌
前年比
合計
前年比
2007年
9,026
▲3.2
11,827
▲3.1
20,853
▲3.1
2008年
8,878
▲1.6
11,299
▲4.5
20,177
▲3.2
2009年
8,492
▲4.4
10,864
▲3.9
19,356
▲4.1
2010年
8,213
▲3.3
10,536
▲3.0
18,748
▲3.1
2011年
8,199
▲0.2
9,844
▲6.6
18,042
▲3.8
2012年
8,013
▲2.3
9,385
▲4.7
17,398
▲3.6
2013年
7,851
▲2.0
8,972
▲4.4
16,823
▲3.3
2014年
7,544
▲4.0
8,520
▲5.0
16,065
▲4.5
2015年
7,419
▲1.7
7,801
▲8.4
15,220
▲5.3
2016年
7,370
▲0.7
7,339
▲5.9
14,709
▲3.4

※単位億円
※出版科学研究所 
 
 
publication-sales-total-2007-2016.jpg
 
 

本の推定販売額は 12年間 連続マイナス

出版物推定販売額は2005年以降12年間連続マイナスとなる。その前も1997年以降マイナスとなっていたが、2004年だけハリーポッターのお陰でわずかながらプラスに転じた。2016年は売上を雑誌が書籍に抜かれてしまった記念すべき年になると見る。特に、数年後にもこの年に「雑高書低」から「書高雑低」になったということで語り継がれることになる。更に、2017年以降は雑誌の勢いは無くなるだろう。


また、消費者の意向で一冊の雑誌がバラバラに細分化されて売られることになるかもしれない。消費者は一冊全てほしいわけではない。


販売ルート別を見てもインターネット通販だけがプラスで、あとは全てマイナスとなっている。特に、CVSの売上が悲惨で流通コストの回収もままならない。電子出版の市場規模を見てみると出版科学研究所の調査で2016年は1909億円となった。

電子出版市場が2,000億円以上の市場規模になった場合、従来の出版・取次・書店という流通システムは徐々に消滅して行くことになる。紙と電子の合計は16,618億円で前年比0.6%減となった。電子出版市場も成長が鈍化し始めているのを見ると出版業界は紙の市場も電子の市場も、従来の売り上げを取り戻すことはできないと考える。


10年前から言われているように、その出版市場の縮小原因は、生産年齢人口の減少と少子化が最大の原因。全国の書店数が減り続けているのに売上げが戻ることは物理的に不可能。いかにしたら売上げの減少幅を縮小できるかがこれからの課題となろう。
 
  
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏