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2016年度 販売ルート別 出版物販売額 寄稿:冬狐洞 隆也 氏

出版取次大手の日販より、2016年度 販売ルート別 出版物販売額が発表された。紹介したい。
 
 

販売ルート
販売額(百万)
前年比
構成比
書店
1,089,442
▲6.0%
63.3%
コンビニエンス
185,923
▲2.3%
10.8%
ネット書店
183,050
6.0%
10.6%
その他の取次経由
78,941
▲3.0%
4.6%
出版社直販
184,757
▲3.4%
10.7%
合計
1,722,113
▲3.4%
100.0%

※日販資料
※ネット書店はインターネット書店の紙媒体のみを推計。
※その他の取次とは全国大学生協・駅売店・スーパー・ドラックストアのスタンド・二次卸取次ぎを経由した出版物販売額。


どこまで落ちるのか、書店とコンビニエンスの販売額

2016年度、新刊書籍・雑誌を扱っている書店数は272店減少の10,583店となった。中には店舗数が増加した県もある。販売額はネット書店数店のみが増加を続けており、他の販売ルートは全て10年以上マイナスを続けている。特に書店とコンビニエンスの凋落は酷く底を打つ様な兆候すら出てこない。


コンビ二の総店舗数は56,160店。1店舗当たり出版物販売額は年間331万円。一日平均1万円弱となる。あれだけのスペースを取りながら1万円以下とは取次も採算が合わないのは理解しているはず。10年前の2007年には年間1店舗売上874万円だった。


出版社の読者直取引も最近10年間は連続マイナスが続いている。取次を経由しない直販も年間1847億円。2007年には2,626億円。


図書館市場・教科書市場・中古本市場を見ても全てマイナスとなっている。電子出版市場も前年比はクリアしているが、その伸び率は鈍化してきた。


その証拠に生産年齢人口の減少と少子化問題は避けて通れない。市場が縮小しているのに売上は増加せず、返品だけ増加している現実を直視する人が居ないのも出版業界の悲劇か。

 
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏