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教科書の市場 2014年~2016年の推移 寄稿:冬狐洞 隆也 氏

教科書市場(2014年~2016年)の推移を紹介したい。
 

年度
販売額合計
(億円)
前年比
(%)
小学校
(億円)
中学校
(億円)
高等学校
(億円)
教師用
(億円)
2014年
949.8
32.7
252.7
186.0
251.6
258.6
2015年
882.0
▲7.1
246.3
189.0
255.1
190.7
2016年
740.2
▲16.1
245.1
180.0
252.8
61.5

※「教科書販売額」は書店経由の販売額と、出版社直販の販売額の合計。
※特別支援学校の販売額は除いてある。よって実際の販売額合計は異なる。
 
 
 

教科書の売行きから今後をひも解く

平成10年(1998年)には教科書取扱い書店数は4,040店を有した。しかし、現在は3,000店舗を切っている状態。昭和60年(1987年)から児童・生徒数の減少が始まり30年間少しずつ教科書の販売額が落ち込んできた。


さらに、教科書の価格と手数料も下がり、書店の経営の存続が厳しくなっている。昔は教科書に付随した副読本・辞書等も売れたが今はほとんど売れない。塾の進化があり、また後継者不足も手伝って、教科書取扱いの辞退と書店の廃業がいまだに続いている。


教師用の販売額の減少は、学校の統廃合が原因と思われる。少子化による教科書の減少は今後も続くと予想する。教科書を供給する書店が、人口減少で廃業すると学校に供給するのは誰がするのか答えは出ていない。


電子教科書をタブレット版で供給する話はあるが、教室の設備投資・ネットセキュリティ・教師の指導説明等、問題は山積している。特に、電子教科書の供給についてはネットセキュリテイの問題が現時点で解決していない。全国津々浦々に電子教科書が浸透するにはあと10年かかると予想する。


2019年4月から政府はデジタル教科書を導入する方針を固めたようだが、先行する韓国のシステムに追い付くには並の努力ではできないと感じる。


図書館も同様。図書館に行かず電子書籍を無料で配信してくれると便利なことはないが、権益にしがみついてる輩の反対でなかなか実行に移すのは難しい。
 
 
寄稿 : 出版流通コンサルティング 冬狐洞 隆也 氏