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全国の「無書店自治体」が4分の1超に。本との接点はどう変わるか。私たちが住む街に、書店が1店もない自治体は今、どのくらいあるのでしょうか。
一般財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)が2024年8月時点の最新調査を発表しました 。
それによると、全国1,747自治体のうち、書店が一つもない「無書店自治体」は、2017年当時の水準を大きく上回る深刻な状況となっています 。
【2024年最新データの概況】
今回の調査結果を俯瞰すると、全国の無書店率は平均で25%を超え、いまや「4つの自治体に1つ」は書店が存在しない計算になります 。
特に、無書店自治体の数が2桁以上にのぼる都道府県は以下の通りです 。
※2024年8月時点・一般財団法人出版文化産業振興財団調べ
全国的に「本とのリアルな接点」が急速に失われている現状が浮き彫りになりました 。一方、かつて「無書店ゼロ」だった香川県でも、現在は約3割の自治体が「1書店のみ」となるなど、予断を許さない状況が続いています 。
一方、書店が充実している県もある。中でも5つの都道府県
このデータを見ると、自治体の数に対して「本屋がない場所」がほとんどない、つまり書店網が維持されている都道府県もあります。それが以下の5つの都道府県です。
都道府県 |
書店の普及状況 |
|---|---|
| 愛知県 (無書店率 3.7%) |
自治体数は多いが、無書店はわずか2ヶ所。非常に書店文化が強い地域。 |
| 兵庫県 (無書店率 4.9%) |
無書店自治体は2ヶ所のみ。文教地区を抱える強み。 |
| 石川県 (無書店率 5.3%) |
無書店自治体はわずか1ヶ所。北陸屈指のアクセス。 |
| 広島県・香川県 (無書店率 0.0%) |
全ての自治体に書店がある、全国でも稀有な「無書店ゼロ」県。 |
これらの地域で書店が踏ん張れているのには、単なる人口の問題ではない「地域特性」が色濃く出ていると分析しています。大きな理由は3つ。
これらの県には、全国チェーン(全国規模でビジネスを展開し、誰もが名前を知っているような大企業 )に負けない、地域に根ざした強力な「地元本屋連合」が存在します。
愛知県(精文館書店、三洋堂書店): 車社会のロードサイド戦略をいち早く確立した地場大手が強く、生活動線の中に本屋をしっかり組み込んでいます 。
石川県(金沢文苑堂、うつのみや): 「文化の街・金沢」としての自負が強く、地元の本屋を大切にする風土があります 。
広島県(廣文館、啓文社、フタバ図書): 広島は古くから取次(卸)との繋がりも深く、地場書店が非常にタフな経営をしている地域です 。
都内では駅前店舗が中心ですが、これらの県は「広い駐車場を備えた大型店」が主流です。
滞在型店舗の成功: 「リライアブル(コーチャンフォー)」のような、本だけでなく文具やカフェを併設した超大型店が、家族で休日を過ごす目的地(レジャースポット)として機能しています。
「ついで買い」の文化: スーパーやホームセンターの敷地内に書店が配置されているため、日常の買い物サイクルから本屋が外れていないのが強みです。
これらの地域は教育熱心、あるいは「実用的な知識」を重んじる傾向があります。
香川県(無書店率0%): 面積が小さいこともありますが、学習塾や学校教育が盛んで、参考書や実用書の需要が非常に安定しています 。
兵庫県: 阪神間の文教地区を含め、読書を「教養」として重んじる層が厚く、街の書店が「知のインフラ」として支えられています 。
無書店地域が広がる一方で、すべての自治体に書店が残っている広島県や香川県、そして無書店率が極めて低い愛知県や兵庫県といった「書店充実地域」も存在します 。
これらの地域を分析すると、SNS時代にこそ著者や出版社が注目すべき「リアルな接点」のヒントが3つ見えてきます。
愛知県(無書店率3.7%)や広島県(無書店率0%)が象徴的ですが、これらの地域には全国チェーンに負けない、地域密着型の強力な地場書店チェーンが根を張っています 。
彼らは地元の読者の好みを熟知しており、「この街の人は何を読みたがっているか」を正確に把握した棚作りをしています。
書店が残っている地域は、総じて教育への関心が高いという特徴があります。
特に香川県のように「すべての自治体に書店がある」地域では、書店は単なる店ではなく、街の「知のインフラ(図書館に近い存在)」として機能しています 。
こうした地域では、実用書やビジネス書、学習参考書といった「人生を豊かにする本」の需要が安定しています。
上位シェアを占める企業(リライアブルなど)、つまり信頼できる本屋に見られるように、生き残っている書店は「本だけを売る場所」から脱却しています。
とりわけ、カフェや文具、雑貨だけでなく、コンビニやガソリンスタンド、コインランドリーまでも併設した『大型複合店』は、家族で数時間を過ごせる『目的地』となっています。こうした場所が、ネット書店にはない『偶然の本との出会い』を演出し続けているのです。
都道府県名 | 書店数ゼロ の自治体数 | 1書店以下 の自治体率 |
北海道 | 77(42) | 70% |
青森県 | 16(40) | 58% |
岩手県 | 7(21) | 52% |
宮城県 | 10(29) | 54% |
秋田県 | 8(32) | 48% |
山形県 | 11(31) | 57% |
福島県 | 28(48) | 68% |
茨城県 | 6(14) | 32% |
栃木県 | 3(12) | 36% |
群馬県 | 11(31) | 51% |
埼玉県 | 6(10) | 30% |
千葉県 | 13(24) | 33% |
東京都 | 7(11) | 23% |
神奈川県 | 7(21) | 39% |
新潟県 | 7(23) | 37% |
富山県 | 2(13) | 13% |
石川県 | 1(5) | 11% |
福井県 | 2(12) | 41% |
山梨県 | 9(33) | 48% |
長野県 | 42(55) | 71% |
岐阜県 | 8(19) | 41% |
静岡県 | 4(11) | 31% |
愛知県 | 2(4) | 11% |
三重県 | 6(21) | 41% |
滋賀県 | 2(11) | 37% |
京都府 | 5(19) | 35% |
大阪府 | 5(12) | 28% |
兵庫県 | 2(5) | 17% |
奈良県 | 20(51) | 64% |
和歌山県 | 8(27) | 67% |
鳥取県 | 7(37) | 74% |
島根県 | 5(26) | 42% |
岡山県 | 5(19) | 44% |
広島県 | 0(0) | 26% |
山口県 | 5(26) | 32% |
徳島県 | 9(38) | 54% |
香川県 | 0(0) | 29% |
愛媛県 | 3(15) | 35% |
高知県 | 15(44) | 77% |
福岡県 | 20(33) | 50% |
佐賀県 | 4(20) | 55% |
長崎県 | 5(24) | 38% |
熊本県 | 21(47) | 67% |
大分県 | 2(11) | 33% |
宮崎県 | 10(39) | 65% |
鹿児島県 | 17(40) | 56% |
沖縄県 | 23(56) | 66% |
合計 | 443 | |
※出典:一般財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)調べ。2024年8月現在
※丸カッコ内は自治体数に占める割合(%)、小数点以下四捨五入
※「1書店以下率」は、無書店と1書店のみの自治体を合わせた割合
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